土木工学の意義
社会資本(インフラストラクチャー)と土木工学
公共財的特徴の河川堤防や一般道路は公共事業で
私的財的特徴の鉄道や電力は公営企業、公社公団、第3セクターで
民間のビル住宅建築は個人の注文で
社会資本は住民福祉、安全な暮し、健康な生活、豊かな文化、余暇活動の実現のため
社会資本の特徴
サービスの必要性が高い
料金の徴収が困難
多数の利用が可能
大規模で多大な投資
長期の利用
地域に影響を与える
土木工学の学問体系
基礎科目 (構造力学、流体力学、測量学など)
設計学 (橋梁工学、トンネル工学、ダム工学など)
社会基盤施設 (道路工学、港湾工学、上下水道工学など)
社会基盤システム (都市計画、交通計画、防災計画など)
事業実施 (土木史、施工管理工学、環境評価法など)
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この講義の感想アンケート
橋の歴史やコンクリートの歴史は橋の文化史を参考にせよ。
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発表者に対する感想アンケート
荷重の組合せ 偶発荷重、変動荷重、永久荷重
橋の寿命 50〜100年
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外力Q=骨格R+水圧U
地盤沈下の場合
外力は不変 地下水の汲み上げによる水圧低下
骨格にかかる力が増加 バネモデルのバネが縮み地盤沈下
地盤沈下は粘土層に起こる
斜面崩壊の場合
すべり抵抗τr≧滑らせる力τb
τr=C+(σ−U)tanφ
C:粘着力 σ:土破壊面に作用する垂直応力 U:水圧
tanφ:摩擦抵抗
降雨により水圧が増加 骨格に作用する力の減少 摩擦抵抗力も減少
砂地盤液状化の場合
地盤の振動により砂の粒子間がずれ拘束がはずれる
骨格の受ける力Rはゼロとなる 土は液状化する
水圧Uが増加して砂をまき込み地上に吹き出す
地表面に近く砂層が厚く堆積
砂がゆる詰めの状態
地下水位が高く地表面に近い
礫層は水が容易にぬけ水圧が消えるから液状化しない。
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みんなは淀川水系(木津川、宇治川、桂川)の下流の大阪市が、
上流から下水処理した水が流れてくるので、
その水を浄化しても厳しい状況であることを認識して、
東北や盛岡の水がきれいなことを実感した。
アンモニアが多いのは屎尿が原因と思っていた。
川の水を汚さぬため、カップラーメンの汁や醤油・ソースの残りを流しから
流さぬこと。必要以上に洗剤を使わないことも大切。
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多欠席者の成績のつけかたアンケート
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土木 かつては普請 フランス語 ポンゼショッセ ponts et chausses 橋と道路 オランダ語 waterstaart 水利 Ministerie van Verkeer en Waterstaat「交通と水利」省 土木工学 土木技術(地域開発、災害防御、環境創造、地域住民の文明の発展)の 学問的な基礎として計画、設計、施工、維持管理をするための工学 それを実践する土木事業は性格上、公共事業が多い。 土木工学の対象 1.土木構造物 2.土木構造物を主体に必要機能をもつ施設 3.構造物と施設の建設による地域の開発と保全 土木施設の分類 ・交通施設(鉄道・道路・港湾・空港)・エネルギー施設(発電所・送電施設・パイプライン) ・都市施設(上下水道・ゴミ処理場・都市ガス施設) ・国土保全施設(河川堤防・治水ダム・防波堤) 江戸時代まで 土木技術 建築技術 鉱山技術 平城京・平安京 ため池 大仏建立 築城 干拓 江戸の水道 都市建設 水運 江戸時代から日本の文明開化にひろく貢献したオランダ人たち 明治 お雇い外国人 鉄道 イギリス人エドモンド・モレル 新橋横浜 水利 オランダ人ファン・ドールン 安積疏水(猪苗代湖から安積平野に) 技術自立 井上勝 鉄道建設 田辺朔郎 琵琶湖疎水(英国土木学会テルフォード賞) 水工技術の発展 治水・港湾・水道 信濃川の大河津分水(新潟平野を水害から守る放水路事業) 米の安定生産 利根川の洪水主流を銚子へ導く治水事業 港湾整備 明治20年 横浜の水道鉄管使用の近代水道 大正から昭和 ダムによる水力発電 朝鮮半島や中国東北地方の巨大ダム建設 昭和18年 水豊ダム 大正12年 関東大震災 耐震設計 昭和9年 丹那トンネル完成(温泉余土 16年間工事) 第2次大戦後 荒廃した国土の復興 治水工事 ダム建設 機械化工事 高度成長期 都市土木 道路・鉄道・地下鉄・上下水道・ニュータウン建設 東海道新幹線 名神高速道路 安定成長期の環境問題 昭和48年 オイルショック 四大公害裁判(水俣病、四日市、イタイイタイ病、第二水俣病) 自然環境や社会環境との調和が求められる 環境アセスメント
--------------土木工学通論 ・社会資本と土木工学 ・土木の歴史 ・構造物の強さ ・構造物に作用する外力 ・構造物の設計・工事・管理 ・土と基礎 ・地下空間の利用 ・地盤と災害 ・海岸の自然・利用・保全 ・河川の現象と自然 ・交通施設と運用 ・都市計画と都市施設 ・水の循環 ・都市廃棄物の管理 ・都市環境の改善 (放送大学教材 1991.3)
土木技術史 時代により土木技術の形態は異なる。 社会、経済、技術は、それぞれ互いに深く関係しあっていて、 その相互関係において土木技術の発展の歩みを考えることが重要である。 土木事業の特性 ・自然を直接に対象とする 地球の表面の改造 地震、地滑り、洪水などに対応 自然との共存、新たな環境の創造 ・不可逆性 やり直しがきかない ダムによる河川や土砂の流れの変化 狭軌鉄道 ・公共性、社会基盤整備 鉄道、道路、港湾、空港 宅地造成 日本の自然特性 ・気象特性 大量の降水と降雪 高温多湿のアジアモンスーン地帯 ・土壌特性 沖積層(約1万年前〜現代) 洪積層(約200万年前〜約1万年前) ・地形特性 7割の山地 急流河川 火山帯 ・日本の自然特性と開発史 江戸時代までの土木技術 弥生時代の登呂遺跡 かんがい設備 大和時代 淀川周辺の河川事業、平城京、古墳、東大寺大仏 戦国時代 信玄の治水工事 牛類による水制 江戸時代 参勤交代のための道路整備江戸の水道 利根川と荒川 神田川 九州の石橋 伊能忠敬の日本地図 19世紀 スエズ運河などの運河網の整備、マカダムによる道路建設、鉄道 鉄鋼とセメント 欧米の土木技術の大発展が明治維新前夜に集中的に発生 明治維新は土木技術革新の時期とシンクロ 明治維新から第二次世界大戦までの土木技術 お雇い外国人 英国人928 米国人374 仏国人259 中国人253 独国人175 蘭国人87 鉄道のモレル 安積疏水のドールン 砂防ダムのデ・レーケ(レイケ)(31〜60歳在日) 水源涵養林 淀川、木曽三川の工事 利根運河のムルデル 灯台のブラントン 北海道開拓のケプロン トンネル技術 鉄道の父井上勝 逢坂山トンネルの国沢能長と生野銀山坑夫 留学生 フランス留学の古市公威(工科大学長、京釜鉄道総裁、土木学会初代会長) 琵琶湖疎水の田辺朔郎 廣井勇 丹那トンネルの難工事 破砕帯と薬液注入 青函トンネル、ドーバー海峡トンネル 信濃川の大河津分水 越後平野を洪水から守る 青山士と宮本武之助 関東大震災 震災復興事業 耐震設計 大ダム時代 水力発電、洪水調節 朝鮮の水豊ダム 台湾の烏山頭ダム 南満州鉄道 アジア号世界最高時速110km 関門トンネル 土木学者の著作 廣井勇:英語のプレートガーダー設計法(1888) 日比忠彦:鉄筋混凝土の理論及其応用(1922) 林桂一:独語の弾性床上の梁の理論とその応用(1921) 鷹部屋福平:架橋新論(1928) 鷹部屋福平:独語のラーメンの具体的解法(1930) 妹沢克惟:振動学(1932) 物部長穂:水理学(1933) 林桂一:高等関数表(1941) 第二次世界大戦後の土木技術 大型土木機械による佐久間ダム 全国総合開発計画 北上川総合開発計画 黒四ダム 東海道新幹線と名神高速道路 東京オリンピック1964 住民運動 筑後川上流ダム 蜂の巣城紛争 環境問題 四大公害裁判 オイル・ショック1973 アメニティ 用・強・美 山陽新幹線 東北・上越新幹線 国土開発幹線自動車道建設法 関西国際空港 青函トンネル 瀬戸大橋 環境問題 大気汚染 水質汚濁 振動騒音 欧米に遅れている貧弱な生活基盤(下水道普及率、住宅面積など) 高齢者幼児などの弱者対応 国際化 情報化 高齢化社会対応 国民のニーズ配慮 学際化 総合工学としての土木工学 −−−−−−−−−−− オランダ人技術者ファン・ドールン 安積疏水 猪苗代湖のファン・ドールン銅像 埋められ供出まぬがる 野蒜港 台風の激浪で突堤決壊 北上運河(鳴瀬川河口から北上川までの運河) オランダのような水深の浅い海で発達した築港技術 日本のような潮流の流れが速く急に水深の深くなる海岸にはそぐわなかった。 日本の急流河川は土砂が流れ込むから。 オランダ流の河川開発港湾(艀方式)から イギリス流の横浜築港 大防波堤建設 繋船岸壁埠頭 英国人技術者パーマー オランダ人技術者デ・レーケ(レイケ) オランダ堰堤(えんてい) 山から流れ出す土砂を防ぐ砂防ダム 低水制工法 洪水を起こさない 河川を水路として使う オランダのような川の流れの緩やかな地形向き 日本のような急流河川では大雨で洪水になるから向かない 高水制方式 洪水を起こさない 河川交通もすてる 高い堤防 ダム 粗朶工法 柿本人麻呂「明日香川 しがらみ渡し せかませば 流るる水も のどかにあらまし」 編柵工もしくは粗朶柵工 オランダ人技術者 粗朶沈床(洗掘を防ぐマット材)和蘭式粗朶沈床 間伐材利用 生態系に良い影響 里山保全 明治3年 オランダから治水と築港の技術者として ファン・ドールンが招かれた。 彼は協力者としてオランダから ジョージ・アーノルド・エッシャーとヨハンニス・デ・レイケを呼ぶ。 エッシャーは貴族出身で正規の高等教育(王立アカデミー卒業)を受け オランダ内務省土木局のキャリア技師だった。 デ・レイケは父を堤防職人にもつ、学歴のない敬虔なカルヴァン信者だった。 日本政府はファン・ドールンに長工師として月給500円、 エッシャーには一級工師として月給450円、 デ・レイケには四級工師で月給300円を払った。 当時の日本人指揮官は最高でも250円の給料 クラーク博士はなんと月給600円だった。 当時の駅弁の料金 エッシャーは学歴のないデ・レイケの人柄とその高い技術力に感心し、 日本政府にデ・レイケの給料を上げるように働きかけた。 その結果再契約の時、デ・レイケの給料は400円になった。 エッシャーは帰国したが、デ・レイケは日本に残った。 二人の文通は34年間続く。 このエッシャーの五男がだまし絵で有名なエッシャーである。 明治13年松方正義はデ・レイケに会って、山の木を切るな という主張を聞いて 誠実な人柄や技術やものの考え方に感銘を受けた。 やがてデ・レイケは勅任官になった。 これは天皇から任じられた官吏で、技術者としては最高の地位になった。 四国脇町の大谷川(吉野川支流)の堰堤は明治19(1886)年 デ・レーケの作。道の駅藍ランドうだつ近く デ・レイケが60歳の時、日本を離れる。 山県有朋は彼の誠実さと正直さを高く評価し 彼に日本政府は5万円(現在の金なら4億円相当)の退職金を贈ったといわれる。 デ・レイケやエッシャーは、英国の技術者とは違っていた。 仕事の中で自国の利益を図ることはなかった。 英国は鉄鋼を輸出していたので、英国人は工事に鉄鋼を使おうとしていた。 オランダ人は粗朶(そだ)で十分だと言い、できるだけ安上がりな工事を心がけた。 英国人はオランダの田舎技術者は粗朶ぐらいしか使えないのだと嘲笑をあびせ、 英字新聞で盛んに攻撃した。 オランダに帰ったデ・レイケは女王によって準爵位の称号が贈られた。 オランダ人技術者デ・レイケが日本の河川工事の恩人であった。 井上省三 国産最初のラシャ工場 明治13年 千住製絨(せいじゅう)所 軍服 ドイツ・ザガン市のカール・ウルプリヒ織物工場で学ぶ 明治4〜8年 企業秘密の染色技術 工場の娘と結婚する約束で父親から教わる 養子先井上家の娘カメと結婚する約束だったのを グスターフ・ヘードビヒと結婚 明治11年 (明治9年帰国して工場建設計画 再度渡独し夫人と共に帰国) 明治19年急逝 明治21年 陸軍が工場所轄 軍用ラシャ地や毛布生産 日清日露戦争に使われた 小西一郎編:土木工学通論、森北出版(1985.3) 高橋裕:現代日本土木史、彰国社(1991.5) 中村英夫:土木工学 −社会資本の技術−、放送大学教材(1991.3) 清水慶一:建設はじめて物語、大成建設(1994.1) 椹木亨・柴田徹・中川博次編:土木へのアプローチ、技報堂出版(2000.2) 合田良実:土木文明史概論、鹿島出版会(2001.4) おがたひでき・かこさとし:人をたすけ国をつくったお坊さんたち(1997.10) おがたひでき・かこさとし:おやとい外国人とよばれた人たち、全国建設研修センター(1998.11)