土木技術(者)と地質学(者)

小畠郁生編:ヨーロッパ自然史博物館 世界の博物館5、講談社

ルイ・ドロー(フランス)
 ベルギーのイグアノドンの研究  
 リール大学土木工学科卒業 地質学と動物学に興味

恐竜の最初の発見者
 オックスフォード大学教授ウィリアム・バックランド(1784−1856)、
 開業医ギデオン・マンテル(1790−1852)とメアリー・マンテル(歯の化石発見)らは
  それぞれ1820年代の初め頃にメガロサウルス、
 イグアノドンを発見した。
   イグアノドン 中米のイグアナの歯に似ているから名付けた。

恐竜 dinosaur
  1842 イギリスの古生物学者リチャード・オーウェン(1804−1892)が名付けた。
  deinos (恐ろしい)+sauros (トカゲ)

小林英夫:イギリス産業革命と近代地質学の成立、築地書店

 イギリスには先カンブリア紀から氷河時代までのあらゆる時代の地質系統を
備えている(地質学の研究にとって恵まれている)。
 製鉄業と木炭生産(森林資源枯渇) 石炭利用のコークス製鉄法

ベリンガー(1667−1740)
バイエルンの化石図集を出版した(1726)。
その中に星やクモの巣などの化石が入っていた。
ヴュルツブルクの偽化石

なんと光学や力学の研究者ロバート・フック(1635−1703)も化石のことを本に書いている。

ジェイムズ・ハットン(1726−1797)
エディンバラ大学在学、法律事務所で法律の勉強、大学に戻り医学の勉強、ライデン
大学で血液に関する研究で学位、農業経営
近代地質学の創立者

ウィリアム・スミス(1769−1839?)
独学で測量を勉強、エドワード・ウェップに雇われる、サマーセット州石炭運河
に雇われる、英国地質図出版、建築ブームで採石事業に乗り出すが失敗、債務者監獄
に入る。
地層観察から、特定の地層には特定の化石を産することを発見し、
化石による地層の同定を確立したことから、「層位学の父」と呼ばれる。
 地層の累重の法則(下層は上層より古い) 
 化石による地層の同定の法則(標準化石をもとに、対比により各地の地層の新旧関係を判定)
 建設現場での観察から結論を得た。

チャールズ・ライエル(1797−1875)
近代地質学の父 イグアノドン発見のギデオン・マンテルの理解者
地質学原理により「激変説」に止めをさし、「斉一過程説」を広めた、ダーウィン
の先駆者
オックスフォード大学卒、父の意向にしたがい初め弁護士にこころざす、ハットン
が一歩手前まで到達していた「斉一過程説」を完成した、

ラマルク(1744−1829)
パリの自然史博物館の教授
彼の進化論はキュビエらの猛反対にあう
用不用説 獲得形質の遺伝(これらはダーウィンの進化論から異端視される)

ダーウィン(1809−1882)
 種の起源 地質学と生物学の統一


井尻正二:化石、岩波新書673

英語fossil化石 ← ラテン語Fossilis発掘された物(掘るfodereの過去分詞fossus) 化石 過去の生物の遺物 べリンガー事件 ヴュルツブルク大学の哲学と医学の教授 病院長 司教の侍医 ベリンガー 1670ー1740 同僚のねたみをかう。 ヴュルツブルク産の化石の石版図集(1726) クモ、昆虫、星や太陽、ヘブライ語の文字の化石 ついに自分の名前の書かれた化石発見 ダ・ヴィンチ ひそかにノートに記載。 ・聖書の天地創造やノアの洪水を否定 ・化石は生物の遺物である。海底に堆積したものが地殻変動で地表にもたらされた 朱子(1130−1200)も同じ化石観を述べていた。 比較解剖学の父 キュヴィ(1769−1832)  モンマルトルの丘の第三紀層を研究 下の地層から古い型の動物化石  上の地層から現生種と同じ動物化石 古生物の時代的配置  天変地異説
メモ 2002.8.20
セイスモサウルス
全長35メートル  体重42トン

鳥盤類(鳥型骨盤類) ステゴサウルス イグアノドン 草食性
  恥骨と坐骨が平行
竜盤類(トカゲ型骨盤類)
  恥骨と坐骨は股関節から放射状に
 獣脚類 → 鳥類 チラノサウス 肉食性
 竜脚類(トカゲ型骨盤類) → ディプロドクス(セイスモサウルス) ブラキオサウルス 草食性

三畳紀後期 恐竜の起源 真の哺乳類も

ベルニサール
地下332mで石炭層を掘っていた鉱夫たちは1枚の粘土層に遭遇した。
そこでイグアノドンの化石が多数発見された。
その後、第二の坑道が掘られ、深さ365mのところでまたイグアノドンの化石にぶつかった。
これらの場所から、完全不完全あわせて約40体のイグアノドンの骨格が発見された。
これらの骨は、石炭層を垂直に貫通している狭い粘土層の中に埋まっていた。
1億年以上前に、そこに魔の峡谷が口を開けていたらしい。
凶暴な肉食恐竜に追いかけられたイグアノドンの大群が、崖から落ちて
泥の中にたまり窒息死したと推定される。

(ノーマン、動物大百科 恐竜、平凡社、1988)
(濱田隆士監修、恐竜のくらし、くもん出版、1991)