ドイツのパン製造法
Getreide (ゲトライデ = 穀物)というのは、以下の7種類のことを言います。
Weizen
ヴァイツェン
小麦
Roggen
ロッゲン
ライ麦
Hafer
ハーファー
からす麦
Gerste
ゲァステ
大麦
Mais
マイス
とうもろこし
Reis
ライス
米
Hirse
ヒァゼ
きび
このうち、小麦とライ麦だけが、そのもの100%でパンを焼くことができるので、パン用穀物と特に呼びます。
Spezialbrot 変わったパン
Mehrkornbrot (メーァコーンブロート = 複数の穀物のパン)
この名称よりも、
Dreikornbrot ( ドライコーン= 3種類の穀物)、Vierkorn-( 4)、Fuenfkorn-(5)、Sechskorn-(6)とはっきり明示することが多いです。
パン用穀物に、からす麦〜きび + 蕎麦粉を明示した数の種類だけ配合したパンを Mehrkornbrot と呼びます。
パン用穀物以外は、1種類につき5%以上、合計で20%以上加えないといけません。
例 小麦(80%) + からす麦(10%) + とうもろこし粉(5%) + 米粉(5%)
Saatbrot(ザートブロート = 種子入りパン)
ドイツのパンには、木の実や種子がたくさんくっついていたり、混ぜ込んであったりします。
Sonnenblumenkern( ゾネンブルーメンケァン = ひまわりの種)、 Kuerbiskern( キュルビスケァン = かぼちゃの種)、
Sesam( ゼザム = ごま)、 Mohn( モーン = けし)、 Leinsamen( ラインザーメン = 亜麻の種子)、 Nuesse(ニュッセ = ナッツ) ・・・・・
これらの種子も、粉100kgに対して8kg以上加えないといけません。
Mehrkornbrotと違って、粉の分量に混ぜるのではなく、追加するのです。
ちなみに、ごまやけしについては、混ぜるというより表面にくっついているだけでいいようです。だから重さは関係ありません。
ひまわりパン ひまわりパン ひまわりパン このパンの売っているパン屋さん
Pumpernickel プンパーニッケル
ルフトハンザ機に乗って、初めてこの黒いパンを食べた方も多いでしょう。
K屋キッチンのオープンサンドのパンの1種類はこのパンでした。(1991年頃)
酸味があって、重たくて、香りが強くて・・・・とりあえずとってもとってもクセのあるパンで、
最初から「美味しい!!」という日本人は珍しい部類に入ると思います。
このパンはヴェストファーレン地方(デュッセルドルフなど)から広がったもので、ライ麦の粗引き全粒粉からできています。
生地の水分は、約90%(他のパンは50%ぐらい)、ゆっくり約1時間もかけて捏ね上げ、さらに4時間近く発酵させます。
こんなにゆっくりやったら、粉の性質上から考えても、しっかり水分を含んでくれて、香りや味が強くなるだろうって
予測できますね。
更に焼き方にも特徴があります。このパンこそまさに Spezialbrot ですね。
蓋のできる特別なパン型に生地を入れ、約110℃という低温で最低16時間かけて、水蒸気でパンを焼きます。
型の中の湿気は十分にあるので、いわゆるパンの皮はできません。まさに、蒸しパンのようにパンの身だけの状態が
できます。
また、ゆっくりゆっくり低温で焼くことによって、何がおこるかというと・・・・
そうです!!アミラーゼ(でんぷん分解酵素)が活発に活動して、でんぷんを糖に分解するのです。
熱によるでんぷんのデキシトリンへの分解、糖のカラメル化から、あの独特な黒っぽい色、香り、苦いような甘いような
風味が引き出されます。
ベーマ
Gersterbrot(ゲァースターブロート = 焦がしたパン)
これは、ハノーファーを始め北ドイツを中心に、ノルウェーでも行われているという「焦がし」のテクニックの入ったパンです。
軽く発酵した状態のパン生地の表面を、直火で軽く表面が固まるまで焼いてから、オーブンで焼き上げるのです。
生地のオーブン発酵は固い表面で閉ざされてしまっているので、アロマ成分はパン内部にしっかり閉じ込められます。
もちろん、焦がしテクニックの入ったパンの皮には、独特の焦げた斑点がつきます。
Steinofenbrot(シュタインオーフェンブロート = 石釜焼きパン)
石で出来た天板の上で焼いたものを石焼パンっていうらしいです。
Holzofenbrot(ホルツオーフェンブロート = 薪オーブンのパン)
木を焚いた熱で焼くオーブンです。(みちえさんが行ったことのある)旧東ドイツの村にはBackhausがありました。
Backhausというのは、小さな石造りの小屋で、中には大きなオーブン釜があり、昔は共同でここでパンを焼いたのでしょう。
現在は、村のお祭りのときだけで使うようです。直径1mぐらいの大きな丸い天板いっぱいのピザやケーキを焼きます。
焼いてる途中で新しい木をくべたりはしないので、中の温度が自然に下がりながらパンが焼けます。
木の独特な香りがパンに付くことで、風味豊かなパンが出来あがり、特にBuche( ブーヘ = ブナの木 )がよく使われるようです。
みちえさんのドイツパン職人修業の道
を参考にしました。
中国の麺文化