ヨーロッパ旅行記(8)

47回目から50回目まで
 ロンドンから日本まで、まとめ

ヨーロッパ旅行記 その50

あとがき(下の巻)
外から内へ。 外国から日本自身のことへ。

外国で日本を考える。

海外旅行を通じて、違う世界にふれたら
改めて日本とは何か、日本人とは何かと考えることになります。

人間は、その中にいては、自分の周りのものの価値がわからないと
言われます。

いったん、そこを離れて、その影響から脱出しないと、
自分をとりまくものの意味や重要さが理解できないのは、
たとえば、火事で煙にまかれたり、地下室で酸欠におそわれて
1分間呼吸できなかったら、空気のありがたさがわかります。
砂漠に行ってはじめて、水とは貴重なものであり大事にしなければ
ならないものであることがわかります。

しかし、盛岡にいて、水道の水を流しっぱなしにして、文字通り湯水のごとく
浪費している人には、水の貴重さは理解できないでしょう。

風とともに去りぬ
のスカーレットが夫が去っていく時、はじめてレッドバトラーの価値
に気がつく、
自分が愛していたのは夫であることを気がつくように、
その中にいては本当の価値はわからないのでしょう。

一旦は、そこから自分を切り放ち、影響の及ばないところに置く、
そういうことが、我々に色々影響を及ぼしているものの価値を考えるには
必要なことと思われます。

中学校のときの先生の言葉「いつまでもあると思うな、親と金」を思いだします。

海外に少しでもいたことがあると、
日本人とはいったい何者であるのかというテーマに
悩みます。
(悩まないで、ああ面白かったと帰国する人もいるようですが)

そういうことを考えている私は、岩手大学のネットワークニュースに
自分で考えるヒントとして、
岩手県の歴史散歩シリーズを連載しています。
日本人を考えるとまではいかなくても、日本の中で岩手とは、岩手県人とは
というテーマを考えることは意味のあることです。
生まれてからずっと岩手に住んでいる人はあんがい地元のことは知らない
ものです。名所旧跡もいつでも行かれると思って、見ていないことが多いです。
その他にも、学生や教職員で縁があって岩手の地に来た人と一緒に岩手を考えて
みましょうという思いで始めたわけです。

よくいわれることですが、
国際交流とは英語が上手になることではなく
(もちろん英語に限らず外国の言葉を上手に使えたほうがいいのですが)
自分と違った相手の風俗習慣ものの考え方を受け入れることだと
言われます。

相手を受け入れるには、相手を理解しないといけません。
対等の関係でつきあうためには、相手から日本の習慣や伝統のことを聞かれたら、
ちゃんと答えられないといけません。

相手を知るには自分のことがわからないといけません。
自分のことがわかって、相手のこともわかるのです。
相手のことがわかるということは、同時に自分のこともわかるということです。

それにしても私を含めて我々は日本のことをよく知りません。

クリスマスにキリスト教徒でなくてもメリー・クリスマスといい、
大晦日には除夜の鐘を聞き(仏教の習慣)、元日には神社に初詣をする。
柏手を打って、今年もよいことがありますようにと神様に祈る。
結婚式は神主さんによる神道で、お葬式はお寺でする、
とくれば一体宗教は何を信仰しているのかと聞かれたら返答に困ります。

昔東ベルリンで買ってきた日本を紹介する子供の絵本を読んだら
日本人の宗教は
 神道   8300万人
 仏教   8200万人
 キリスト教 100万人
と書かれてありました。
(これを全部加えたら、日本の人口をはるかに越えてしまう)
(ただし日本国内で発表される、宗教統計がこのような数値なのです)

日本人は一人で複数の宗教に所属するとも書かれてあったので、
外国人も日本人の宗教事情は知っているのでしょう。

この本の絵はあやしげで、挿絵の人物は日本人だか中国人だか見分けがつきません。
我々の目から見ると、日本をよくわかっていないのではないかと
思います。

日本には芸者がいて客に踊りを見せたり唄ったりサービスをするというが、
芸者も死語に近いのではないだろうかと思います。
もっとも、まだ現存する盛岡の芸者の伝統を絶やさないように
しようという動きもあるようですね。
皆さんは日本各地に芸者は何人残っていると思いますか。

この本には、毛利元就の1本の矢は手で折れるが3本にしたら折れない
という言葉を載せているから、日本のことをよく知った人が書いていると
思うのですが。

外国を知るために自分の国のことを知るべきだ
ということについて、思いつくこともまだありますし、
他にも色々なことを書きたいのですが、忙しく時間もないので、
ひとまず、これで終わることにします。

旅行をして専門の知識も増えました。

日本の大学で教育したり研究したりしていることが、
そのまま外国にはあてはまらないことも具体的に見てきました。

今回の旅行で私が勉強したことや身につけた知識は、
今後の講義やゼミなどで私の学生たちに
与えたいと考えています。

  〜   〜   〜
いちおう土木学会東北支部役員会で この旅行報告をしました。

OHPや資料などを作って
準備をしていったおかげで、面白かったと言われました。
岩手大学のネットワークニュースで旅行メモを整理して
自分の感想や考えをまとめたのが良かったようです。

まとめとして
1.技術調査の成果をあげた
2.毎年あるこの調査団の危機管理の十分なことを確認した(今年のパリスト対応)
3.海外旅行をして日本を外から眺め、日本と日本人を考え直した

の3項目を結論にもってきたわけです。
大きな旅行会社だから、22名もの団員の飛行機やホテルの変更がスムーズにできたのです。

特に最後の、日本を考え直すということで
前の土木学会東北支部長のA氏は
そのとおり、海外に行ったら日本食など食べないで
毎日現地の食事を食べ、その国の中にひたるべきである
と力説されました。

(せっかく外国に行ったならその地でしかない物を食べるべきである。
日本食など日本に帰ったらいくらでも食べられる)

また海外旅行に行くなら事前によく歴史など調べて
十分観察してくることが肝心であるとも述べられました。

誠に同感で、私なりにそういう点に心掛け
したがって、そういう観点でこのシリーズを書いてきたつもりでした。

しかし、初めての海外旅行を体験する人にとっては
慣れない食事、通じない言葉、外国の接客ルール等に
戸惑い、ストレスの受けすぎで疲れてしまう場合がよくありますから
この土木学会の旅行はそういう初心海外旅行者には
行き届いたツアーだと思います。
  〜   〜   〜

ご愛読ありがとうございました。

この調査団メンバーとして同行した
兜恁嚥Z術コンサルタントの 斎藤俊二氏のホームページ

なお、10月のこのヨーロッパ旅行の後に、国際会議出席のため12月に香港に 行って来ました。
香港旅行記に興味のある方は、 香港旅行記をどうぞご覧ください。

 

初めて海外旅行にでかける人のための海外出張マニュアル

    添乗員の苦労がわかります誰も書かなかった旅行業界

   

ここをクリックすると ヨーロッパ旅行記の始めのページに戻る。

 

このヨーロッパ旅行記の作者に電子メールを送れます。