41回目から46回目まで
ロンドン、大英博物館、そして日本まで
三越近くの Piccadilly Circus
から地下鉄で4つ目のSouth Kensington
地下鉄の切符は自動販売機で、行先を確かめてから、
往復ボタンを押して帰りの切符も買いました。
乗場も案内表示を読みながら進むとあんがい簡単。
誰かが言っていましたが、パリよりロンドンの地下鉄の方が
乗りやすい。 私もそう思います。
フランス語がわからないからだけでなく、通路の配置や案内標識が
日本人には、フランスよりイギリスのほうが、馴染みやすいように思われました。
地下鉄 South Kensington駅のホーム そしてエスカレータ
地下鉄の車両は思ったより狭い。
これはロンドンの地下鉄が世界最初の地下鉄で、
円形断面のトンネルを掘ったから、
円に内接する四角形になってしまった。
はじめから矩形に近い断面で掘った東京や札幌の地下鉄の方が、
車両は広くなるのは当然のことか。
ただし私は この PICCADILLY線しか乗らなかったから、
他の線がどうかはわかりません。
大男でなくても
小柄の日本人でも、向かい合った座席の間の通路を、
2人が並んで歩くのは困難と思いました。
そのくらい電車の中は狭いという印象を受けました。
降りる乗客の歩く廊下と、乗る乗客の歩く廊下は分れているようです。
これはパリもそうだったと思います。
日本の地下鉄の場合は改札口の所で、出ていく人か入ってくる人か、
動く方向を制御していると思います。
日本は行くも戻るも自由ですが、混雑もはなはだしいですね。
地下鉄の駅をおりて、めざす博物館への通路の案内を見ながら、
しばらく歩いてゆくと
なんとか無事に
自然史博物館に着きました。
実は、ここは期待するものがあったのです。
1981年ころ上野の
国立科学博物館の恐竜化石など見て、
また当時の古生物の部長だった小畠郁生博士に教えてもらって、
ヨーロッパの見るべき博物館リストの中で、ロンドンでは
この自然史博物館がありましたから。
ドイツの
フランクフルトのゼンケンベルク博物館や
バイエルンの山の中のアイヒシュテットの博物館や
シュツットガルトの南ホルツマーデンのハウフ博物館や
ベルリンのフンボルト自然史博物館を見たし、
スイスのバーゼル自然史博物館で海ユリ化石や魚竜化石をたくさん見てきたし、
ウィーンの自然史博物館も見てきた私としては
ロンドンの自然史博物館には期待がありました。
世界に貴重な
始祖鳥の化石(この化石の画像はおそらくベルリンのもの)
を見たかったからです。
このロンドンの自然史博物館は、大英博物館に所蔵されていた
生物や化石などの標本を移転して開館されたものです。
建物が教会のようなネオ・ゴシック様式でとても立派です。
さて、中を2時間近く見て歩いたのですが
期待は裏切られてしまったというのが私の感想でした。
恐竜はなぜ滅びたのかというテーマを、子どもにも
わかりやすくしかも科学的に標本やテレビ画面を使って
上手に説明していたり、
イギリスいや世界で最初に恐竜の化石を見つけた学者の説明パネル
を整備したりして、実に丁寧に作られていると思いました。
恐竜を最初に発見したのはオックスフォード大学教授の
ウィリアム・バックランド
そして
開業医ギデオン・マンテル夫妻でした。
マンテル夫妻の写真が掲示されていました。
バックランドが論文に書いたのはメガロサウルス。でも実際に
彼は発見したのではなかったようです。
一方。マンテルはイグアノドンを自分で発見したのです。
しかし、第一発見者はマンテル夫人の方。
マンテル医師の奥さんは夫が往診している時、夫について行って
夫が診察が終わるのを外で待っていた時、道路工事の砂利の中から
動物の歯らしいものを発見したと言います。
はたして夫に見せたら、これはすごいということになった。
夫もそこらを探したが見つからない。それで工事現場の監督に
砂利をとった採石場の場所を聞いて、そこからイグアノドンの
骨や歯を発見したということです。
夫が化石採集の趣味があって、彼女も感化されたようです。
もともと科学に興味があった女の人だったのですね。
自然史博物館内に、このマンテル夫妻の写真が掲げられてありました。
しかし、
私が一番見たかった「始祖鳥」のオリジナル化石は展示されて
いませんでした。
展示されていたのはコピーだったのです。
コピーだったら上野の科学博物館にもあります。
世界で最初に発見された始祖鳥の化石は高い値段でロンドンに買われ、
それがドイツ人に悔しく、2番目に発見された始祖鳥化石は、
ともかくドイツ政府が高額を出して買い、ベルリンに置いたという
話を聞いています。
アイヒシュテットの博物館ではオリジナル化石を見ましたが、
せっかく行ったベルリンでは始祖鳥のオリジナル化石を見られなかった
ので、ロンドンでも大事にして一般開放していなかったのかもしれません。
ベルリンの始祖鳥の標本は東京で読売新聞社が開催した展示会で見ました。
(昭和59年7月7日−10月14日 新宿駅南口のイベント広場)
これは本物だろうかと思うほどハッキリした化石で、羽根も見えました。
この展示会は、フンボルト大学創立175周年記念ということで、
他にも巨大恐竜ブラキオサウルスの展示がありました。
羽根の化石はミュンヘンの州立古生物収集館にもありました。
偶然、そこを訪れたら貴重な化石と一緒に見学できました。
この羽根の化石は羽根の特徴がきれいに残っているもので
反対側の化石はベルリンのフンボルト大学にあるそうです。
始祖鳥の化石はこれまでに確認されたものは5つです。
ロンドンの自然史博物館
ベルリンのフンボルト(大学)自然史博物館
ゾルンホーフェンの博物館
アイヒシュテットの博物館
オランダのテイラー博物館(これは不完全品)
だと記憶しています。
大英博物館には英国のマグナカルタなど英国のものが
展示されていたように、
やっぱり自然史博物館にもイギリスの展示があって、
イギリスの地層や化石が整然と整理されていたのは価値があると感心しました。
宮沢賢治が見たら何と言うでしょうか。また創作意欲が高まった
かもしれません。
ともかく全部見て、館内の売店でお土産を買いました。
博物館には3箇所以上の離れた場所に売店がありました。
もっと数は多かったかもしれません。
グッズもいろんな種類の品々が溢れて、
この方面のサービスもなかなかのものだと思いました。
また地下鉄で三越へ戻りました。
地下鉄の駅からの地下道には、パリにもあったように
大道芸人がいました。なかなか演奏が上手で道行く人々が
お金を投げ入れていました。
私も少し硬貨を入れてきました。
ヨーロッパの街角には、芸をする人がいっぱい見かけますが、
下手だと誰も相手にしません。
ほとんど無視され、汗だくで演奏している若者を見たことがあります。
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