31回目から36回目まで
コペンハーゲン、北欧のこと、パリ、パリの橋
歴史と言語
民族的にも共通の先祖をいだくスカンジナヴィアの国民とドイツ人は、
もともとゲルマン大移動でヨーロッパに来たらしい。
ただ、北の地に住み着いたのがスカンジナヴィア民族で、
ドイツに住み着いたのがドイツ民族となった。
ドイツの
あのニーベルンゲン伝説(竜の血を浴びたジークフリート)に類する
伝説は北欧にもあると、昔ドイツ人から聞いたことがあります。
ドイツ人もドイツ語が通じる上、民族的にも近いので、
長期休暇(ウアラウプといいます)には北欧に車で旅行することを
楽しみにしている人もいました。
バイキングの歴史があるが、キリスト教を受け入れた時期も遅く、
ドイツやイギリスのようなローマ字では記録していなかったので、
北欧が歴史として記録に残ってくるのは、11世紀にデンマークの
クヌート2世がイギリスやノルウェーを支配した時からです。
それまでの歴史としてデンマークには次のような遺跡が残っています。
ユトランド半島の北の町イェリングには、バイキング王たちの住居が
あった。12世紀に起源をもつトラバーチン製の教会の遺跡の下から、
もっと古い木製の2つの教会の残りが見つかった。
碑のひとつに、
デンマークの最初の王と考えられているゴーム長老王とその妻ティラが
埋葬されている。
2つのルーンの石【バイキング文字であるルーン文字】
が彫刻されている)のうち、小さい方の石は妻の記念にゴーム王によって
建設され、大きい方は伝説によるとデンマークの創立の印(しるし)で
あるとされているが、息子ハラルド「青歯」王が両親の思い出に作成
したもの。
「ハラルド王は、その父ゴームとその母ティラのために、
この記念碑を建てる。ハラルドはデンマークとノルウェーを全征服し、
デンマークをキリスト教国とした」
いっぽう百科事典からの説明も紹介します。
ハラル王はフランク系統の聖職者アンスカールにデンマークのキリスト
教化の事業にあたらせた。その後東フランク国のハインリヒ1世は、
シュレヴィヒの地をデンマークに分割させた。
このようなフランク勢力の進出は
ドイツ側からみれば、いわゆる東方植民の1つの現れとみられる。
しかし、11世紀になって、デンマークの自主的発展の傾向が生まれて
きた。有能な国王クヌート2世が出現したのである。
(平凡社世界大百科事典)
世界大百科事典のハラル王とハラルド王とは、おそらく同一人物と
思いますが、イェリングのルーン文字の遺跡「ハラルド王は、...
デンマークをキリスト教国とした」の写真は、我々の見学した
オーレンス・リンクの建設資料(展示)館にも展示されてあった。
ガイドさんからデンマークの発祥伝説のいわれを聞いた。
記録に残る
クヌート王が倒れてからしばらく諸民族の歴史が続きますが、
1397年からデンマーク王の娘マルガレーテの提唱(カルマル会盟)
で3つの国は統合されます。
実際はノルウェー、スウェーデンは デンマークの支配下になるわけです。
デンマークはナポレオンに
味方して、
ナポレオン没落の後に、国は小さくなっていきます。
すなわちスウェーデンはノルウェーをしたがえて、デンマークから
独立します。
ノルウェーの独立はなんと1905年に民主的に
国民投票で実現したのです。
この間にデンマークなどは、ハンザ同盟でドイツとの密接な関係あり、
イギリスやフランスやオランダとの戦争あり、貿易ありと外国の
文化の影響も入ってきます。
コペンハーゲンが島にあるように、デンマークは島が多く、
どの場所からでも51km行けば海に出るとか。
デンマークはバルト海の出口(入口)なので、貿易の歴史は古いし、
今も外国の船が通る海の番人みたいなものです。
デンマーク、ノルウェー、スウェーデン北欧三国が共同で運営
しているのがSAS(Scandinavian Airlines System)です。
ドイツ語が北欧で通じることは何度も書きましたが、
単語など例を上げて紹介したいと思います。
日本語 英語 ドイツ語 オランダ語 デンマーク語 スウェーデン語 歓迎 welcome willkommen welkom velkommen Vaelkommen 両替する change wechseln wisselen veksle vaexla 硬貨 coin Muenze munt Mont Mynt 買う buy kaufen kopen kobe koepa 空港 airport Flughafen vliegveld Lufthaven Flygplatsen 航空便 air mail Luftpost luchtpost luftpost Flygpost スーツケース suitcase Koffer koffer Kuffert Vaeska コーヒー coffee Kaffee koffie Kaffe Kaffe ジャガイモ potato Kartoffel aardappel Kartoffel Potatis トウモロコシ corn Mais mais Majs Majs 貝 shellfish Muschel mossel Musling Mussla 砂糖 suger Zucker suiker Sukker Socker 東 east Osten oosten Ost Oest 長い long lang lang lang laeng 短い short kurz kort kort kort 静かな quiet ruhig rustig stille lugn 教会 church Kirche kerk Kirke Kyrka 市庁舎 city hall Rathaus stadhuis Radhus Stadshus 男性用 GENTLEMEN HERREN HEREN HERRER HERRAR 女性用 LADIES DAMEN DAMES DAMER DAMER デンマーク語の Lufthavnenが空港(飛行場)であることは、 なんとなく勉強しなくてもわかりました。 飛行場をドイツ語では Flughafenといいますから、 Luftは空気で ルフトハンザ(ドイツの飛行機会社)から連想 するようにルフトは飛行機のイメージです。 havenは hafen つまり港ですから、 Lufthavenが空港(飛行場) であることは、ドイツ語の知識があればわかります。 航空便をドイツ語で Luftpost、デンマーク語でもluftpost ということからも類推できます。 ジャガイモがドイツ語もデンマーク語もほぼ同じなのは、 もしかするとジャガイモが南アメリカから持ち込まれた時、 ドイツ経由だったからかもしれませんね。 もともとヨーロッパにはなかったジャガイモですが、フランス でもドイツでも東欧でも大事な食物です。 トウモロコシを corn というのは米語で、イギリス英語では maizeです。 最後の2つの言葉はトイレの男性用と女性用です。 ドアの上に ドイツではHとあれば男性用、Dとなっていれば 女性用。これはオランダもデンマークも共通というわけです。
説明のために、ドイツ語に近い言葉を選んで紹介しましたが、
英語かドイツ語を並べたら、たいてい近い言葉にあてはまります。
時々フランス語が外来語として入ってきますが、それはその国の
外国語を取り入れたときの事情によるのでしょう。
昔、フライブルクのゲーテ・インスティテュートで外国の若者と
一緒にドイツ語を学んでいたとき驚いたことがあります。
イタリア人がイタリア語を話し、スペイン人がスペイン語しか
話さないのに立派に会話が成り立っています。相手の言葉を
話せなくても聞くことさえできれば、たがいに自分の国の
言葉を話すだけで会話が成り立つ。
ここにフランス人の若者が会話に加わりましたが、同じように
相手の国の言葉は話せないのです。しかし、聞くことはできる
それで会話が成り立っていました。同じラテン系の言語だから
共通の文法、近い単語が多いから、すぐ聞くことができるよう
になるのでしょう。
もし、ドイツ人、オランダ人、デンマーク人、ノルウェー人、
それにスウェーデン人が集まったら、相手の言葉を正確に話せ
なくても聞いて理解できれば、自分の国の言葉を互いに
話し合って会話が成り立つと思います。ゲルマン系の言語
ですから。
日本でなら、薩摩弁を理解できる津軽の人と、津軽弁を理解
する鹿児島の人が、相手の方言を話せなくても、聞いてわかれば
自分の国の方言だけ話して立派に会話が成り立つようなものです。
言葉は、話す、聞く、読む、書く という能力を磨くことが
必要ですが、さしあたってどれか1つでもできれば、
それを活用することが大切です。
話せても読めなかったり、書けない人が大勢います。
聞くことはできても話せない人もいるわけです。
むしろ、そういう状態の方が自然だと言えるでしょう。
努力して「話す、聞く、読む、書く」能力を磨きましょう。
ここをクリックすると ヨーロッパ旅行記の始めのページに戻る。