ウィンチェスター城の大広間の壁にアーサー王の円卓がかけられてある。
アーサー王は、5世紀半ばにアングロサクソンと戦ったブリトン人(ケルト人の一派)の王。
アーサー王の騎士たちが互いに自己が上位であることを主張することがないよう
円卓にしたと言われている。
(一揆の首謀者が特定できないように書かれた唐傘連判状と似ている)
ラザフォードのモデル
地球にそそぐ宇宙線によって大気中に中性子が生み出され、
単位時間内の原子の崩壊個数(崩壊率)は、現在の原子数に比例する。
dN/dt=−λN 崩壊定数 λ>0
この微分方程式を t=0においてN=N0という条件を与え解くと
N(t)=N0e−λt
したがって t=τにおいて N=N0/2とすれば
N0/2=N0e−λτ
これより τ=log2/λ (τは半減期)
炭素同位元素、炭素14に対する崩壊定数は
λ=log2/τ=log2/5568年=1.245*10−4/年
それが窒素と結びついて炭素14が作られる。
生きている植物が体内に炭素14を取り込む割合は、炭素14の自然崩壊とバランスが
とれている。つまり生きている植物の炭素14の崩壊率は一定である。
(自然崩壊で失う分だけ取り込んでいると考えればよい)
木材になると、生きていたときの炭素14がそれ以上吸収されることなく崩壊を続ける。
したがって、木材の生きていたときの崩壊率と、現在残っている木材の崩壊率を
比べることによって、その木材がいつ作られたのか推定できる。
円卓が t=0で作られたとする。
R0を木材が生きていたときの崩壊率とすると
R0=(−dN/dt)t=0=λN0
現在の t=tにおける崩壊率R(t)は
R(t)=−dN/dt=λN(t)=λe−λtN0
∴ R0/R(t)=eλt
これより t=log〔R0/R(t)〕/λ
生きている木に対する崩壊率は測定によると 6.68
円卓が作られた当時もこの崩壊率に等しいと仮定すると
R0=6.68
いっぽう 1977年に行われた測定から
R(t)=6.08
よって円卓の年齢は
t=log〔6.68/6.08〕/1.245*10−4≒700年
つまり円卓が作られたのは 1977−700=1277より
1275年頃と推定される。
この円卓はアーサー王のものではない。(王は5世紀の人である)
もう少し難しい例題 フェルメールの絵の贋作