宮本分原稿 e-mail

パソコン通信の時代から、パソコン通信は「時と空間を越えるコミュニケーション システム」と言われている。インターネットになって、いっそうその感は強い。 電子メールは ・留守番電話のように自分の都合の良い時間に使うことができる。 ・内容はディジタルのデータなので、保存も編集も容易である。 ・添付ファイルを使えば、文書だけでなく、画像ファイルなども送ることができる。 ・海外の時差を越えた使い方もできる(電話なら相手の都合を考えてかけないといけない)。 ・一度に多数の相手に送ることもできる。 などの利点がある。 電子メールは相手の私書箱に相当する電子メールアドレスのファイルに送ることができる。 したがって、自分のアドレスも、自分の所属するシステムの管理者から与えられることになる。 もし、プロバイダーを利用して電子メールを使うときは、そのプロバイダーの発行する アドレスが自分の電子メールのアドレスになる。 電子メールを使う上での一般的な注意事項を整理すると次のようになる。 ・受け取る人のために、(先頭に)簡単な題名を入れ、最後に2〜3行以下の連絡先と  署名を書くのがよい。 ・長文の電子メールは、相手のファイルの容量を圧迫したり、通信時間が長くなるので、  長文にならないようにする。相手のメッセージを引用する場合も、必要最小限の引用  をするべきである。 ・1行の長さは、半角65文字未満で、50行程度にしよう。 ・電子メールには、ハガキに書かないような事項(クレジットカード番号やパスワード  などの他人に知られたくない個人情報や非公開情報)を書かないこと。 ・送信メールを送るときは慎重に何度も読み返してから送るようにし、受信メールの  内容には寛大になろう。激論になりそうなメッセージ(これをフレーム・メッセージ  という)には、時間をおいてから対応するのがよい。 ・いわゆる幸福の手紙のような、次々に同じ文面の電子メールを転送することを要求する  電子メール(これをチェーン・メールという)を送ってはいけない。 ・日本語文字を送ろうとして、文字化けをすることがある。文字コードには何種類かある  ので、そのときはシステムの管理者や相談員(あるいは契約プロバイダー)などに相談  すること。 電子メールの利点(記事の保存性、空間と時間を越えた通信方式、一度に多数の相手に 送ることのできる等)を生かして、電子メール会議をすることができる。 電子メール会議(ML、メーリングリストともいう)の長所は次のようである。 (1)定例の会議の制限時間を越えた、深い議論、多数の参加者による徹底的議論が   行える。 (2)他人の書いた記事や意見を読んでいくうちに、自分自身の理解が深まり、疑問   が解けてゆき、問題の本質が見えてくる。 (3)定例の会議の前に打ち合わせの電子メール会議を十分しておくと、本会議が   短い時間で最大の成果が得られる。 (4)定例の会議の後にも、電子メール会議で理解不足の点を補ったり、後処理的な   問題処理活動ができる。 (5)自分の都合の良い時間に会議に参加できる。 (6)会議の日時の相談、議事録の確認など連絡事務が合理的に行える。   過去の会議記録の参照や検索や引用なども容易にできる。 しかし、電子メール会議は万能ではない。次のような問題がある。 (1)会議メンバー全員が電子メールの送受信ができるよう、各自が端末や回線などの   設備を用意する必要がある上に、通信ソフトの利用に慣れていないといけない。   日本語を扱うため、文字化けの問題もある。 (2)相手の顔を見ながらの発言では出てこない、過激な発言もディスプレィを一人で   見ているから、出てくることもある。相手の言葉じりをとらえる傾向も出てくる   ので、注意する必要がある。 (3)対人コミュニケーションでなくコンピュータを使ったコミュニケーションに、   とまどいを感じたり違和感をおぼえるメンバーもいる。 (4)会議の中でリーダ的立場のメンバーは自分の意見を書くことで、会議の方向を   誘導することになるのを恐れて、故意に書こうとしない場合がある。 (5)書いたものが記録されるので、場合によっては相手に言質(げんち)を与える   ことを恐れて、書こうとしない場合がある。 (6)世の中は理屈だけできまるものではなく、妥協の結果という場合がよくあるが、   電子メールの会議になると、理屈やスジ論が先行すればなかなか現実的対処と   いうものになりにくい。 したがって、電子メール会議を最もよく活用するためには、議論の整理をするために 電子メール会議を使いながら、時として必要なメンバー同士で集まって話し合いで意見の 調整をすることも、全体の効果を上げるものと思われる。パソコン通信のオンラインが この電子メール会議にあたり、パソコン通信のオフラインが定例会議にあたるといえる かもしれない。また議題も電子メール会議向きのものと、そうでないものがあると 思われる。

電話、FAX、電子メールの比較