地震に備える その4

[第16回] 木造一軒家の中にいるとき地震が起こったら その木造の建物の建築年数によって避難の時期が異なってくる ○建築年数の短い木造住宅の場合   一般的に最近の木造住宅は軽量化されているため耐震性が十分あり、建 築年数の短い木造住宅の場合、地震発生時にあわてて外に飛び出すよりは 室内の方が安全である。したがって、揺れがおさまってから避難する。  ただし、火災が発生したとき、あるいは壁が崩れて家が傾き始めたとき  はすぐ外に出る。 ○建築年数の長い木造住宅の場合   建築年数の長い木造住宅の場合、すぐに外に飛び出すか否かが生死を  分けるといっても過言ではない。数秒のためらいも許されないのである。  メキシコ大地震や阪神大震災の際、多くの死者を出した原因の一つに、  住宅の倒壊による圧死があげられている。   メキシコ大地震の場合、メキシコの住宅は風土にあった土造りが主と  なってるため、壁が崩れ落ち、多くの人々が生き埋めになった。   阪神大震災の場合、台風の多い風土にあわせ、屋根瓦で家を重くして、  強風による被害から家を守ってきていたが、今回のような強い揺れを受け  た際、それが裏目に出てしまい、木造の古い柱は重い瓦の屋根を支えきれ  ず、一瞬にして崩れ、住宅は瓦礫の山と化してしまったのである。  (地震の力は、構造物の重さに比例するので、重い瓦屋根には大きな地震  の力が働く。そして古い家の柱は建築基準が最近の建物よりゆるい上に  痛みもあって弱くなっていたから破壊してしまったのである)  (反対にプレハブ建物は軽いから地震力は少なく、しかも建築基準は昔の  家より高い基準になっているので結局破壊が少なかった) ○家の中での安全地帯   地震の際の家の中安全地帯といえば、狭くて頑丈な壁や柱に囲まれた  トイレだが、浴室や押入などもいざというときの避難場所になる。  浴室はトイレ同様に柱に囲まれて丈夫な上、湯舟の中に身を隠せば落下物  から身を守ることができる。また押入の中も柱に囲まれてい安全な上、  布団や毛布などクッションの役目を果たす物があるので身を守ってくれる。 [第17回] マンションの一室にいるとき地震が起こったら ○もしドアが開かなくなったら   マンションで被災した場合、とにかく避難口を確保するようにする。  ドアは強い地震の衝撃を受けると、壁や柱に生じたゆがみで開かなくなる  からだ。   ただ、ドアが開かなくなっても揺れが続いている間はゆがみが戻ること  があるので、そのときを利用してドアを開けるようにする。   同じく本震がおさまったあとでも余震の揺れを利用してドアを開ける  ことができるから、あきらめないことが大切。 ○ドアが開かない その時の部屋からの脱出方法 どうしてもドアが開かない場合は窓から脱出しなければならない。最近 のマンションには非常用の避難ばしごが設置されていることが多いので、  日頃から点検を怠らずその使い方を身につけておく。避難ばしごがなけれ  ば非常用にロープなどを用意しておく。いざというとき、なければ  カーテンを裂いて結び、即席のロープを作るという方法もある。  そしてそれらをベランダの手すりに結びつけ、両手でしっかりとロープを  握り締め、両足を壁につけ、ちょうどロッククライミングの要領で降りる。   別の方法としては、あらかじめ布団などクッションになりそうなものを  飛び降りて着地しそうな場所に投げておき、そこに飛び降りるという方法  もある。 しかし、この方法はせいぜいマンションの2階までで、また体力的に自信  のある人にしかすすめられない。 (マンションの2階なんて幸運) ○弱者を第一に考えた避難方法   被災した場合、まず大切なことは弱者をいち早く安全な場所へと避難さ  せることである。弱者とは幼児やお年寄り、身体にハンディをもつ人、  ケガをした人である。そのような人々が部屋から避難する場合、はしごで  降りたり、ベランダから飛び降りるなどできるはずがない。こういう人を  部屋から脱出させるには、まずシーツや毛布、さらに地上まで届く丈夫な  ロープ、なければカーテンなどで即席のロープを用意する。そして、用意  したシーツか毛布を広げ、その真ん中に運び出す人を座らせる。四隅を  風呂敷のように結び、この結び目にロープを通して窓やベランダから  ゴンドラのようにぶらさげ、地上まで降ろす。このとき、ロープを柱など  にひとまわりさせて力の分散をはかって下げると、それほど力もかからず、  ゆっくり降ろすことができる。   また、下にいる人に助けを求め、降ろした人を受けとめてもらうように  すると、降りている人も心理的に楽になる。  (死ぬか生きるか必死だから、安心できる状態になるのが大事)

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