地震に備える その3
[第13回]
ビル火災・地下街火災に遭遇したら
かなり実際的な話です
○余裕があれば初期消火
火が出ていて避難するまでに余裕がある、と判断したら近くの消火器、
屋内消火栓などで周りにいる人と協力して初期消火に努める。
○屋内消火栓の使い方
1 赤いケースの上部にある起動スイッチを押し、非常ベルを鳴らす。
2 ケースの中からホースを取り出し、根本の栓を開ける。
3 腰にしっかりホースをあてて、放水する。
○煙・有毒ガスに注意
ビルや地下街の火災で気をつけなければならないのが、火よりも煙や有毒ガス。
煙は水平に秒速0.5〜1m、上には秒速3〜5mという速さで進み、
あっという間に充満してしまう。早目に発見できればいいが、煙に
巻き込まれてしまったら避難するしかない。
○どう避難すればいいか
・非常口に多くの人が殺到すると将棋倒しになって圧死の危険もある。
地下街では60mおきに出口を作るように定められている。
安全な出口が他にないか、火災の発生場所の確認と共に判断する。
・煙が充満しても床から50cmほどの高さまでは視界がきく。
顔を床につけるように低い姿勢をとって避難する。
・水をしめらせたハンカチなどで口をふさぐ。
・ドアがあれば最後に脱出する人が必ず閉める。煙が充満するのを
少しでも防ぐことができる。鍵はかけない。
・引き返さない
・エレベーターは絶対に使わず、階段を利用する。
○大火から逃れるために
地震が原因で火事が発生した場合、初期消火の遅れなどから大火災になる
可能性がある。近くで火災が発生したら一刻も速く避難する。
・原則として指定されている避難所へ避難する。消防職員や消防団員が
風向きや火勢に応じて別の避難場所を指示した場合には、これに従うこと。
・炎の中をくぐらなければならないときは、頭から水をかぶって一気に
突破する。
・鎮火後も油断は禁物。大火災の場合、鎮火した後も地熱が高く、火種が
あちこちに残っている。再出火には十分な注意が必要である。煙草の火の
不始末や通電時にも再出火の危険がある。
☆ ☆ ☆
昔、炭坑の町の映画館で映画を見ていたとき、非常口から友人が入ってきて
ある人を探していた。何でも、その人の近所が火事になったことを知らせに
来たようだった。我々には直接関係がなかったのだが、隣の友だちに
火事だということだよ、と小声で話したら、火事だそうだ、火事だ
があっというまに映画館の中に広まって、火事ならあぶないとばかりに
一斉に観客が非常口から逃げ出したことがある。
あっけにとられたのは我々、とうとう最後に残されてしまった。
もちろん、映画館の中はなんともない。
しばらくしてから、係員に案内され、みんな映画館の中に戻ってきた。
再び映画が上映された。
教訓 デマは怖い、非常口に一斉になだれこんだら、とても混乱して
逃げられるものではない。
私の住んでいた町も炭坑が閉山になり、あの映画館は往時の面影を残して
残っているのだろうか。北海道にはゴーストタウン化した炭坑の町に
大きな映画館の建物だけが残っている所がある。 昔の光いまいずこ。
有毒ガスから身をまもるのに、水をしめらせたハンカチで口をおおう
というのは、地下鉄サリン事件でも学習したこと。
火事でいったん逃げてから、忘れ物を取りに戻って、そのまま帰らぬ人と
なった場合がある。
三陸津波の時でも、いったん逃げてから、家の中に金品を取りに戻った人が
津波にさらわれるという話がある。民話として残っている話は、だから欲張ると
命を失うという教訓の話として伝えられている。
[第14回]
気象庁が従来の地震の震度階級を修正しました。
従来の震度階級
0 1 2 3 4 5 6 7
新しい震度階級
0 1 2 3 4 5(弱)5(強)6(弱)6(強) 7
つまり今までの震度5と6をそれぞれ2つに分けるのです。
計測震度 階級 人間 屋外の状況 屋外の状況
4.5ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
多くの人が身の安全 つり下げ物は激しく 窓ガラスが割れて
を図ろうとする。 揺れ、棚にある食器 落ちることがある。
一部の人は行動に支 類、書棚の本が落ち 電柱が揺れるのが
5(弱) 障を感じる。 ることがある。 わかる。補強され
座りの悪い置物の多 ていないブロック
くが倒れ、家具が移 塀が崩れることが
動することがある。 ある。道路に被害
が生じることがあ
る。
5.0ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
非常な恐怖を感じる 棚にある食器類、書 補強されていない
。多くの人が行動に 棚の本の多くが落ち ブロック塀の多く
支障を感じる。 る。テレビが台から が崩れる。自動販
5(強) 落ちることがある。 売機が倒れること
タンスなど重い家具 がある。多くの墓
が倒れることがある 石が倒れる。自動
。変形によりドアが 車の運転が困難と
開かなくなることが なり、停止する車
ある。一部の戸がは が多い。
ずれる。
5.5ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
立っていることが困 固定していない重い かなりの建物で、
難になる。 家具の多くが移動、 壁のタイルや窓ガ
転倒する。開かなく ラスが破損、落下
6(弱) なるドアが多い。 する。
6.0ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
立っていることがで 固定していない重い 多くの建物で、壁
きず、はわないと動 家具のほとんどが移 のタイルや窓ガラ
くことができない。 動、転倒する。戸が スが破損、落下す
6(強) はずれて飛ぶことが る。補強されてい
ある。 ないブロック塀の
ほとんどが崩れる。
道路に被害ある。
6.5ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
揺れにほんろうされ ほとんどの家具が大 ほとんどの建物で
、自分の意志で行動 く移動し、飛ぶもの 、壁のタイルや窓
7 できない。 もある。 ガラスが破損、落
下する。補強され
ているブロック塀
も破損するものが
ある。
計測震度 階級 木造建物 鉄筋コンクリート構造物
4.5ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
耐震性の低い住宅で 耐震性の低い建物で
は、壁や柱が破損す は、壁などに亀裂が
るものがある。 生じるものがある。
5(弱)
5.0ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
耐震性の低い住宅で 耐震性の低い建物で
は、壁、柱がかなり は、壁、梁、柱など
破損したり、傾くも に大きな亀裂が生じ
5(強) のがある。 るものがある。耐震
性の高い建物でも、
壁などに亀裂が生じ
るものがある。
5.5ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
耐震性の低い住宅で 耐震性の低い建物で
は、倒壊するものが は、壁、柱が破壊す
ある。耐震性の高い るものがある。耐震
6(弱) 住宅でも、壁や柱が 性の高い建物でも壁
破損するものがある 、梁、柱などに大き
。 な亀裂が生じるもの
がある。
6.0ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
耐震性の低い住宅で 耐震性の低い建物で
は、倒壊するものが は、倒壊するものが
多い。耐震性の高い ある。耐震性の高い
6(強) 住宅でも、壁や柱が 建物でも壁、柱が破
かなり破損するもの 壊するものが、かな
がある。 りある。
6.5ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
耐震性の高い住宅で 耐震性の高い建物で
も、傾いたり、大き も、傾いたり、大き
く破壊するものがあ く破壊するものがあ
る。 る。
7
計測震度 階級 ライフライン 地盤・斜面
4.5ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
安全装置が作動し、 軟弱な地盤で、亀裂
ガスが遮断される家 が生じることがある
庭がある。まれに水 。山地で落石、小さ
5(弱) 道管の被害が発生し な崩壊が生じること
、断水することもあ がある。
る。
(停電する家庭もあ
る)
5.0ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
家庭などにガスを供
給するための導管、
主要な水道管に被害
5(強) が発生することがあ
る。
(一部の地域でガス
、水道の供給が停止
することがある)
5.5ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
家庭などにガスを供 地割れや山崩れなど
給するための導管、 が発生することがあ
主要な水道管に被害 る。
6(弱) が発生する。
(一部の地域でガス
、水道の供給が停止
し、停電することも
ある)
6.0ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ガスを地域に送るた
めの導管、水道の配
水施設に被害が発生
6(強) することがある。
(一部の地域で停電
する。広い地域でガ
ス、水道の供給が停
止することがある)
6.5ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(広い地域で電気、 大きな地割れ、地す
ガス、水道の供給が べりや山崩れが発生
停止する) し、地形が変わるこ
7 ともある。
もともと横長の表を3つに分けたので、見にくくなりました。
東京都防災会議地震部会による震度階級表
[第15回]
大地震 行動10のポイント
(1)揺れを感じたらまず火の始末
揺れを感じたらすぐに火の始末や家電製品のスイッチを切る習慣をもとう。
(2)身の安全を確保する
地震発生後2,3秒の間に「もぐる・かぶる」を実行する。
とにかく頭部を保護することが大切。ヘルメットがそばにありますか ?
テーブルや机など頑丈な家具の下にもぐりこむか、座布団でもよいから
かぶること。
(3)脱出出口を確保する
地震の振動で窓や扉がゆがみ、開かなくなることがある。開かなくなった
場合は余震などの揺れを利用して開ける。
(4)あわてて外に飛び出してはいけない
大揺れは1分ほどでおさまるので、周囲の状況を確かめること。あわてて
外に飛び出すと、瓦やガラス、看板などの落下で、思わぬけがをすること
がある。
(5)火災が発生したら素早く消火する
大きな地震では消防車を呼ぶことさえできないので、火災が発生したら初
期のうちに消火しないとどんどん燃え広がる。
(6)崩れやすいもののそばに寄らない
塀や門など地震により倒壊しやすくなっている建築物のそばから離れる。
特にブロック塀は危険である。
(7)みんなで協力しあって応急救護を行う
災害の規模が大きくなれば専門家によるケガ人の手当てが行き届かなくな
る。
そこで日頃から応急救護の方法を身につけ、お互いに協力しあいケガなど
の処置に当たるようにする。
(8)避難は徒歩で
火事を恐れて、早く、たくさんの物をもって逃げたくなり、車を使いたく
なるだろうが、これはダメ。必ず渋滞して立ち往生してしまう。
(9)山崩れ、津波に注意する
山のきわや急傾斜地域ではガケ崩れ、山崩れの危険がある。震源が海底の
場合、海岸地帯では津波の危険がある。市町村役場、消防署、警察署など
から指示があるときはこに従い、速やかに安全な場所に避難すること。
(10)デマや噂に惑わされず正しい情報をつかむ
混乱しているときは誤った情報が流れ、パニックが起こりやすい。ラジオ
やテレビの報道に注意し、デマや噂に惑わされてはいけない。
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