ペルシアの神話


中央アジアとは、狭義には、東・西トルキスタンのオアシス定住地帯を指す。
トルキスタンとは遊牧トルコ系民族が多く住むからである。
この遊牧トルコ系民族と関係の深いイラン、そこでイランの神話を紹介します。
イランとトルコ、関係が深いが、実は仲がよくないのです。
その歴史をペルシアの神話の中にさぐりたいです。

参考にしたのは 岡田恵美子:ペルシアの神話(世界の神話 全10巻 筑摩書房) 1982年の本 著者はテヘラン大学文学部博士課程修了 東京外語大学の先生です。 要旨だけメモ的に紹介します。 アラブのザッハーク王は両肩に二匹の蛇がはえている。 この蛇の餌に人々を殺す残忍な王であった。彼はイランを支配しイラン人を蛇に食わせた。 やがてイランの中から英雄が誕生する。 牝牛に育てられたファリードゥーンは、鍛冶屋に牛頭の矛を作らせた。 戦いの後に、蛇の王ザッハークを滅ぼしイランの王になった。 ファリードゥーン王には三人の息子が生まれた。息子の嫁を探して、 イエメンの三人の王女を見つけた。 それぞれ花嫁を得た王子たちに、ファリードゥーン王は 長男にはルーム(小アジア)と西方、次男にはトゥーラーン(トルキスタン地方)とシナ(中国)、三男にはイランを分け与えた。 父は領土の名に息子の名をあわせて、長男サルムにはギリシア人の住むルームと西方を、 次男トゥールにはトルコ人の住むトゥーラーンとシナを、三男イーラジにはイランを 分け与えたのである。 やがて兄たちは嫉妬にかられ、三男イーラジ王子を殺してしまう。 イーラジの孫マヌーチェフルは祖父の仇をうち、祖父の兄サルムとトゥールを倒す。 ファリードゥーン王はマヌーチェフルに王座を譲り、後見にナリーマン家のサームを 命じた。 しばらく子どもに恵まれなかったサームにやっとさずかった男の子ザールは白髪で あったため、エルブルズ山脈に捨てられ、霊鳥スィームルグに育てられる。 やがて成長して、イラン王に召し抱えられたザールは、アフガニスタンのカーブルに 狩りで行ったとき、そこのメヘラーブ王の王女ルーダーベを知り、恋におちいる。 しかし、ルーダーベ姫はイランにとって魔の王、両肩に蛇をもったザッハークの子孫 なので、イラン王もザールの父も許さず、ついにイラン王はザールの父サームに カーブルの国を攻め落とすことを命じる。 困ったザールは父に頼み、結局サーム親子から戦わぬよう懇願された王は、 司祭たちに相談した結果、ザールとカーブルの王女の結婚を許す。 二人の子どもは、長く母親の胎内にいたため難産の末生まれ、母がやっと楽(ロスタム) になったという意味でロスタムと名付けられた。 英雄ロスタムは数々の手柄をたてたが、トゥーラーン(トルキスタン)のサマンガーン国 を訪れたとき、その国の姫と結ばれ息子ソフラーブを得る。 しかし、トゥーラーンはイランの宿敵のため、ロスタムはイランに帰ってしまう。 やがてソフラーブは大きくなり、母から自分の父親のことを聞く。 ソフラーブはイランと戦い、父と息子は互いに知らずに戦い、父は子を倒して 悲劇は終わる。

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