Urlaub 休暇 人間は未来に向かって、なんといっても幸福を求めて生きています。 よりよい生活、よりよい社会をつくり上げてそこに住む幸福を、 あるいは真理を獲得する幸福を、あるいはある人とともに在る さいわいを。あなたが未来にかける期待は何か、未来に求める しあわせは何か、そう問われたら何と返事をしますか。 現在のドイツ人はこの問いに対して、大部分の人が言下に Urlaub 休暇と答えるでしょう。これについて私は皮肉屋ぶるわけ ではありませんが、確信をもっています。 彼らはつまり８月になったら２０日間の休暇をとって、どこか遠くへ 旅をすることを１年中の期待としているのです。ドイツ人って かわいいじゃありませんか。 ８月、それは旅の季節なのです。車一杯に家族と荷物を詰め込み Autobahn の上を窓をあけてまっしぐらに北か南へ突っ走る。 ともかくどこかに部屋を借りるか、安いホテルに泊まり、できれば 食事も自炊でなくのんびり過ごし、陽光を浴びて肌をやきたい。 経済的に、しかし静かで太陽の光のあるところで！ そう願って くり出すドイツ人は、車で国内どころかヨーロッパ中、東欧諸国 にも溢れに溢れます。国内の道路では８月中は交通マヒのもとに なるからとて、Autobahn はむろん、それ以外でも道路工事は さしひかえます。 一般の商店だって、ただ今 Urlaub 中、と紙片を貼って扉を閉め、 どこか遠くへ旅に行ってしまいます。ゴールデン・ウィークだの レジャーブームだなどというのとけたが違う。まさに国をあげ、 家中こぞっての断乎として壮大なる大事業であり、１年の夢であり、 ドイツ人がたえず８月によせる幸福への願いなのです。 ☆ ☆ ☆ ウアラウプは道路も込み合うので、ドイツでは州ごとに小学校も 休みをずらして家族旅行が全国一斉にならないよう配慮しているとか。 当然フランスでもバカンスがあります。 その時期に行けば、町の商店や医院も休みが多くて旅行者は困る。
