Vier Jahreszeiten ―― ドイツの四季 ―― 1月 Januar Neujahrstag 正月元旦。特別元旦らしい行事のない、静かな 一日です。 町も村も午前中はゆっくり眠っています。大晦日の 夜、爆竹をうちならし、飲み明かしたのですから、のんびり寝坊 をするのです。 ラジオは終日バッハの曲を静かに流し、おもてを走る車も少なく、 ほんの少し日本のお正月のようです。しかし新年賀状がドサッと 届けられるなんていう習慣はまったくありません。 むろん 「新年おめでとう!」と口でも挨拶し、手紙にも書きますが、 カードに印刷して新年だけ祝うことはなく、すでにクリスマス賀状の 終わりにつけそえて出してしまっているのです。 1月2日から市民生活は、もうお正月ではなくなり、いつもと 変わらぬ活気をとりもどします。学校・大学だけは5日頃まで休み ときまっています。 日本では年の暮にベートーヴェンの『第九シンフォニー』を上演 しますが、あれは各交響楽団の餅代かせぎでして、ドイツでは 年の暮にはシュトラウスの "Fledermaus"『こうもり』など賑や かなものをやり、かえってお正月になってから第九交響曲をよく やっています。 2月 Februar Karneval カーニバル 2月の終わりから3月はじめにかけて、 とくにライン河畔の地方で謝肉祭のもよおしが、さかんに行われ ます。これはカトリックの国々、たとえばイタリア、スペインで さかんな祭りで、ドイツでいえば、ライン地方がカトリック の強いところだからです。 キリストの復活節から逆算して40日前に、昔は肉断ち といって肉を食べない40日間の四旬節がはじまるので、 その前にたらふく食べかつ飲んで、春の近づくのを祝っておこう というわけではじまったものです。 今でも仮装行列がマインツ、ケルンなどで盛大に行われます。 年に一度の底ぬけ無礼講で、ライン地方の人びとは、 家財道具を何もかも質に入れででも、飲み料(しろ)つくって 楽しみます。カトリックといえば、スペイン系の南米アルゼンチン のカーニバルは有名ですね。 ライン地方ではカーニバル Karneval といい、バイエルンや さらに南のオーストリアではファッシング Fasching とよんでいます。 Gluckliches Neues Jahr! Ein gluckliches Neues Jahr! 「新年おめでとうございます」。 Ein frohes, gesundes Neues Jahr! 「喜ばしい、ご健康に恵まれた新年を」。 ☆ ☆ ☆この説によると、カーニバル(謝肉祭)から復活祭までの40日間は
肉を食べないのがカトリックのヨーロッパ人の習慣ということになる。
実際には現代のカトリック信者も肉を食べているのだろう。