Ehescheidung ―― 離 婚 ―― 昨1977年7月にドイツでは新しい離婚法が施行されました。 この法律の新しい要点は、夫婦が5年以上別居していれば、裁判所は ohne weiteres 「問題なく、さっさと」離婚を認めることになった ところにあります。 Ehebruch 「姦通」だの、性格の不一致だのと理由について やかましいことを言わないのです。法律的に Scheidung「離婚」が 実に簡単になりました。 それ以前も、アメリカやソ連程ではないにしても、離婚数は相当な 数にのぼっており、年々増える一方でした。ですから、この新しい Scheidungsgesetz 「離婚法」の成立、施行によってドイツ人の離婚は アメリカ並みに激増するだろう、と言われておりました。 ところが、ここ一年、離婚件数は逆に激減しているのです。 その理由は? 離婚後の扶養義務がたいへん厳しくなり、並たいていの 夫は妻を離婚できなくなったからなのです。 夫に負債があろうと、病気だろうと、裁判所は強大な権限で一生涯夫から 扶養料を厳格にとり立てます。ちょっとでも怠ると、勤め先はおろか、 預金先まで調べ上げます。そのあまりの厳しさに、とても離婚はできない、 ということになってしまいました。 日本ですと、一応慰謝料と扶養料の話が出て、約束はしますが どこかへ雲がくれしたり、いわゆる「病気」や「倒産」になったり、 再婚すれば、もう扶養料など送らないのが普通です。妻の座は 離婚後も弱いもので、大部分が泣き寝入りです。 ドイツは徹底した法治国なので、そんなことは不可能なのです。 こういう事情もあって、ドイツの青年たちはいたって気軽に同居、 同棲 Zusammenlebenをしますが、結婚はなかなかしなくなりました。 用心深くなったと言えましょう。ちなみにドイツ人の結婚年齢は 男性27〜29歳、女性23〜24歳、離婚者の平均年齢は35〜38歳だそうです。 Sie hat sich scheiden lassen. 「彼女は離婚した(離婚を訴訟で認めてもらった)」。 Die Zahl der Ehescheidung hat abgenommen. 「離婚(件)数は減った」。 ☆ ☆ ☆ ドイツ人は徹底した民族だから、それこそ地獄のはてまでも追いかけてきて 慰謝料をとるでしょう。