Freundschafrt ―― 交 友 ―― ドイツ人は個人主義者で、自己主張が強烈でありながら他面友人・交友を たいへん重視し大切にします。勤務先の同僚が即友人になるということは なく、むしろ同僚は仕事場だけの関係であって、夕方5時に 「さようなら」と言って別れたら、もうそれっきりです。 帰りに1杯なんていうことがまるでありません。日本の会社動めの帰り、 赤提灯に寄って腹を割って話し合うような習慣はありません。 だから飲み屋での「根まわし」もないのです。 友人は,仕事場の同僚の中からもありえますが、一般に仕事とは関係なく、 信条や趣味や人間的好みで決まります。 若いあいだ、特に学生の場合は好ましいと思う仲間とは非常に早く Sie「あなた」からdu「君」の関係になります。高校生や大学の初学年 の青年は、会った初めからduを使います。異性同士でもそうです。 昔(第2次大戦の終わりまで)は,nach dem ersten Kuβ 「最初のキスの後」 にはじめてduzen「duで話す」間柄になる、と言われたものですが、 最近はとても早くこの関係に入り、キスなどする必要はありません。 学生も、少し大人っぽくなってきた上級生や社会人ともなると さほど簡単には duの関係にはなりません。 duの間柄になるのは、年上のほうから、あるいは社会的上位の人、 年上の女性から提案します。OKとなると、右腕を組み合わせて乾杯し、 異性同士は軽く両頬に kuessenします。 これを Freundschaftskuβといい、 ディープ・キスは恋人に限られますからご要心! 日本人にとっては Siezenの(Sieで話す)ほうが、動詞の語尾がみな -nか -enなので楽です。 duだとーstの語尾だけでなく、 Sie fahren―du faehrstのようにウムラウトするものがあるので面倒です。 でも、老若男女にかかわらず duの友人ができることは、心を許せる友人が できたことですから、うれしいことです。ですから盃を挙げて祝い合います: Prosit auf unsere Freundschaft! 「われらの友情のため,乾杯」。 Nun sind wir schon so lange gute Freunde. 「われわれはもうずいふん長いことよい友人だ」。 Wir wollen nicht mehr siezen. 「もう《あなた》で話すのはよそうよ」。 ☆ ☆ ☆ du を使うのは難しい。 でもドイツ人の子どもはみんな du を使う。先生も子どもたちに向かって 複数のihr (おまえたち) を使う。 聞いていると上手だなと思う。あたりまえのことだが。