Deutsch in Europa ―― ∃―ロッパでのドイツ語 ―― 海外旅行に多少は英語の知識が必要なことは、誰でも知っています。 しかし∃−ロッパを旅するには、ドイツ語も少しは知っていた ほうがよろしい。 東欧圏からモスクワにいたる社会主義諸国では、街角のおまわりさんも、 英語は知らなくてもドイツ語ならわかる人が多いので驚いてしまいます。 モスクワで病気になったら、ドイツ語を知らないと医者に診て もらえない、とさえ言われます。ソ連では有能な医師はユダヤ人が 現在も多く、これらの人はドイツ語を話すからです。 西側でもパリのド真ん中、凱旋門のあるシャルル・ド・ゴール 広場で事故処理の方法を親切に教えてくれたイキなパリのお巡りさんは、 うまくはないけど一応通ずるドイツ語を話してくれ、こみ入った ことになると私のフランス語よりはよく通じました。 これがイタリアに行けば、北部からローマまでは、すべてドイツ語で なんの不自由もありません。ずっと南のほう、長靴のかかとの あたりまで行くとそれほどでもありませんが、それでもドイツに Gastarbeiterとして出稼ぎに行っていたという人たちは、喜んで ドイツ語を話してくれます。 むろん土地のことばを、片言でいいから話せればそれに越したことは ありませんが。 ただ率直に言って、かつてナチ・ドイツによってひどい日に会った お隣りのオランダとデンマーク、それに東欧のポーランド。 この国々の人は今でもドイツ語がよくわかりますが、あまりうれし そうな顔をしないので、私はそこではドイツ語を使わないよう にしています。 同じスカンジナヴィアでもノルウェー、スウェーデン、それに フィンランドではドイツ語が大歓迎です。 ドイツ・マルクの強さも その一因でしようが、歴史的背景もあります。 現在のドイツ語は、昔のように長いセンテンスで副文を長々と 続けるということをせず、短い歯切れのよい文章を使います。 トーマス・マンの文章などは文学としては立派でも、日常生活には 向きません。 旅行者としてはごく短い重要文型をいくつか、単語としては 250語ぐらい正確に覚えておくとよろしいと思います。 長期滞在には単語数が最低800ほど、できれば2000語ほど知って いるとよろしいでしよう。単語はアクセント、文はイントネイション が大事です。 Die Eisenbahn ist dort intemational. 「鉄道はそこでは何といっても国際的です」。 Wir brauchen nicht nur Englisch, sondern auch Deutsch und Franzoesisch. 「英語だけでなく,ドイツ語とフランス語も必要です」。 ☆ ☆ ☆ ヨーロッパを旅行するとドイツ人が驚くほどよく通じる。 北欧や東欧だけでなく、ベルギーでも通じた。