ドイツ語 続コーヒー・ブレイク その11
Einladung
―― 招 待 ――
家庭への招待がドイツではいちばん重要な人づきあいです。学生同志
でも親しくなると、たがいの両親の家なり、下宿なりへちゃんと
招待します。
「家庭に招かれるまでは、けっして気を許すな」とドイツ人は
よく言います。
「ある人をほんとうに知るためには、その人の家庭に行かなければ
ならぬ」ということをゲーテも言っています。
そして招待には、いちおうはっきりした形式があります。
午後の1時なら昼食。これはドイツ人の家庭の正餐(せいさん)
ですから、家族の一員として親しく迎えられることになる。
4時から5時ですと、お茶(カフェー)によばれたことになるので、
6時から7時のあいだぐらいに失礼して帰ります。
7時から7時半の招待ですと夕食。8時以降で、夕食にお招きすると
言われない限りは、ワインです。
そして夜の招待のときはだいたい夜12時ごろまでゆかいに話し合う
のが礼儀で、それより早く帰るのは失礼に当ります。やむをえぬ用が
あって早く失礼しなくてはならぬときは、ちゃんとわけを言った方が
よろしい。
さて、よその家に入ったらすすめられぬ限り自分から座っては
いけません。主人側がスッと手ですすめた席に、まず女性から座ります。
すでに相客がある場合は、先客のそばに行き、女性から女性へ
の順で挨拶をはじめ、男性同志の挨拶がいちばんおしまいです。
この際、座っている女性は、あとから来た人がどんなに偉い人でも
立つ必要はありません。これが日本人にはいちばん苦手ですね。
このレディーファーストの習慣、つまりドイツ語でいうDamen
zuerst[ダーメン・ツエーアスト]は、室に入るときも出るときも、
乗り物のときも、あらゆる場合にあてはまりますが、レストランや
カフェーに入るときだけは、男性が先です。それはレストランの
なかに座っている人たちが、ドアを開けて入ってくる人を
いっせいに見るからで、そういった視線に女性をさらさないため
です。
食事であれカフェーであれ、招待された時にはつとめてお話を
楽しむこと。楽しいお話こそ礼儀なのです。会話は下手でいいの
です。英語を混ぜても何でもよろしい。そうやって会話もうまく
なります。とくに異性に話しかける自己訓練をしておきましょう。
異性との会話には、やはりキラメクものがありますからね。
Damen zuerst, bitte!
「レディー、どうぞお先に」。
Danke!―Bitte!
「ありがとう」。一一‐‐「どうぞ(どういたしまして)」。
☆ ☆ ☆
ドイツにいた時いつだったか、ドイツ人を夜に招待したら
夜中までしゃべり続けて会話も疲れてしまった。
しかし、彼らとしては最大のサービスのつもりだったのであろう。