19回目から24回目まで
ロンドン、アムステルダム、スタバンゲル、ムーミン・トロル、コペンハーゲン
スタバンゲルのホテル
早朝の散歩と買い物をすませて
いよいよ、第2番目の公式視察
9:30からホテルで北海油田の説明を受けた。
今回のツアーの目的は、将来津軽海峡に長大吊橋を架けるため
ヨーロッパの進んだ技術を見てこようということで、
ノルウェーでは重力式コンクリートプラットフォーム(Troll)
を視察することになっていた。
これはノルウェーのスタバンゲルで建設され、ベルゲンの北西80km
水深303mの所に設置された、天然ガス採取のための全高370mの
施設で、1995年に完成した。
ベルゲンはノルウェー第2の都市で、スタバンゲルの北200kmくらい。
スタバンゲルは鉄道終着駅なので、列車でベルゲンに行くなら内陸を通って
オスロ経由でいかないと行けない。また陸を走る道路だけ通って行くにも
遠回りしないといけない。
車とフェリーを使って、海岸を回ってスタバンゲルからベルゲンまで
行くコースが地元のガイドブックに出ていた。
これは長大吊橋の橋脚などの基礎工事に大いに参考になると思われた。
今回のツアーの中でも最大の期待のものであった。
ところが、参加者の中には現地の北海に船で行くものだと思っていた人が
いたが、10月の北海は荒海で危険で出港しないということであった。
添乗員は、海に船を出さないことは始めからわかっていたことと
説明するのだが、ここまできて現物が見られないとは困ったことだと
参加者から言われて、添乗員の困る顔。
まあ、なんとかなるでしょうと、添乗員を慰めたつもりで
昨日の夕方は、私は市内にくりだしたのだった。
講師である Aker会社の Rosendahl氏は予定の時間より早く会場に現われた。
ガイドさんに通訳をしてもらって、なんとかわかったことは
ホテルでの講演の後に、海上には危険で行かれないが
構造物を組み立てたドックなどの建設現場には案内する。
ただし工事は終わって次の工事の予定はないので、端境期(はざかいき)
だから何もないけど
ということだった。
ともかく作った場所を見たらイメージもわくから、
見学できることになって良かった良かったと、一同は安心納得。
講演はカラーのOHPを使っての丁寧な説明で、
我々の質問にも、きちんと明確に答えてくれた。
なにしろ、このプロジェクトの始めから終わりまで手掛けた
技術者中の技術者の話だから
聞いていてもリアリティーはあるし感動したものだった。
なんども国際会議や視察団に説明したことがあるように思われた。
別なプラットフォームが完成したと思ったら、突然海中に沈んで、
人は幸い事故に気がつき緊急避難できたが、大金が海の底に沈んでしまった
失敗談も聞かせてくれた。
石油基地の施設の設計や工事では世界一流の会社であるが、
このような苦労と失敗を重ねた末、現在の技術力を誇れるように
なったのであろう。
失敗も隠さず説明してくれたことに我々は感銘を受けた。
北海油田の大部分はノルウェーに権利のある大陸棚。
今採掘しなくても将来必要におうじてガスや石油を採掘できる。
ノルウェーは金持ちであるということを我々に説明してくれた。
そうだ、ノルウェーは海産物も豊富。石油もガスも地下に
備蓄してあるようなもの。
ロシアとの国境問題があって、慣習としてノルウェー領の海なのに、
ロシアは強引に自国の領土だと、幾何学的に線を引こうとしている、
と説明してくれた。
ここでもロシアが嫌われていることがわかった。
私など不勉強で、フィンランドにも北海に面した領土があると思っていたので、
この後、地図で調べたら、北海に面した領土を持っているのは
ノルウェートとロシアだけだった。
講演の後、Akerの会社に連れて行かれ、社員食堂で食事をしてから、
工事した現地の後をさっと見せてくれた。
ドックでは、波が荒くて繋いでいた作成中の構造物が、波で被害を受けないよう
いろいろな工夫をしていることを説明してくれた。
さて会社の敷地の中に、ギリシャの神殿の円柱を
ずんぐりした柱に変形させたような、
斜めに立っている塔があった。
大根足を斜めに立てたような塔。
これは天然ガス採取のための構造物を支える太い支柱の1本の
一部をデモ表示のため、会社の敷地内に建設したものらしい。
心臓の弱い人、高所恐怖症の人はやめてください
体力のあると思う人だけ登っていいですよ、
と何度も繰り返して言うので、
メンバーの半分くらいが挑戦した。
遠くからみると、あんな塔くらい簡単と思ったのだが、
登り始めるととんでもない、斜めになったそのへりを登っていく
のだから、海に迫り出した崖をよじ登るようなもので、
上に行けば行くほど、下を見ると怖くなる。
なるべく下を見ないようにして、我慢しながら登り続け
とうとう上に到着した。
(丈夫な手すりがあるから大丈夫なはずですが)
ロッククライミングの崖が上の登れば登るほど
こちらがわに迫り出して転落の恐怖を感じるようなものだと
思ってください。
上から見ると海もよく見える。
展望台の感じは、青森のピラミッド形の建物の展望台や
東京タワーの展望台のようなもの(そんなに高くないか)。
しばらく、上で風を受けながらノルウェーの風景を楽しみ
こわごわ下に降りた。
津軽海峡に架ける吊橋は、塔と塔の間の径間長(支間長)が3000メートル級で、
主塔の基礎は水深200メートルの海底に作らないといけない。
しかし、この北海油田の重力式コンクリートプラットフォームは水深300
メートルの海底に作っているので、この技術を学べば
津軽海峡の吊橋も建設可能ではないかということを、
最後にRosendahl氏に質問したら、
自分は津軽海峡の自然条件を知らないから確かなことは返事できないが、
日本の技術者が北海油田の施設のノウハウを勉強したら、
技術的には可能であると思う、
日本の橋梁技術の発展を期待すると答えてくれた。
ありがとうございましたと挨拶をして帰ろうとすると、
説明してくれた老技術者 Rosendahl氏は、
この近くに世界一深い道路トンネルがあるから、
そこへ行ったらいいとしきりに勧める。
トンネルを見ないで町に出て買い物もしたいメンバーもいて、
どうするかバスで相談した。
結局、そんなに勧めるのだから行ったほうが親切に答えることになる
という日本人的な考え方をする人もいて、
メンバーは半分ずつに別れて、
バスがまず町によって買い物グループをそこに降ろして、
トンネル見学グループは、降りずにそのままバスで行くことになった。
ただしトンネル見学をしても、後で買い物に1時間くらい時間がある。
レーンファストトンネルというのが、その世界一深いトンネルで、
海底の地形からそういう条件になったらしい。
<海底下223m>
トンネルに入ると、ずっと下り坂が続く、しばらく下っていったら、
やがてすぐ上り坂になって、どんどんバスは走ってあっというまに
地上にでた。
このような海底トンネルは2つあった。
帰国してから、ゆっくりスタバンゲルの資料を開き、ドイツの国鉄の路線図
も参考にして、ノルウェーのフィヨルドの一部である
このスタバンゲル郊外のドライブコースを整理したら次のようなことが
わかった。
この世界一深い道路トンネルを通ったのは、スタバンゲルから
Rennesoy の Mortavika(幼魚の湾)までの道路。
このルートを Rennfast linkという。
Rennfast link には2つの海底トンネルがあって、
1つは Byfjord tunnel 全長5830m,海底から223m、
もう1つは Mastrafjord tunnel 全長4390m,海底から133m
であった。
この先さらにフェリーを利用すると、やがてベルゲンに達する
と書いてあった。
排水はどうなっているの、トンネルの底に水が溜まらないのか
と質問したら、バス運転手の言うことには、
ここは雨が比較的少ないし、トンネルの入口に排水装置があるから
大丈夫と答えた。
同行の中にはトンネルに詳しい人もいて、いろんな設備を確認して
説明してくれた。
花崗岩のトンネルだった。
トンネルを越えてバスは走り続け、
フィヨルド海岸の雰囲気を楽しんできた。
私には八戸の種差海岸をドライブしているような気分だった。
海、草原、岩、山、羊。
上にも書いたが
フェリーに乗れば北のベルゲン(Bergen)に行ける。
だいぶ時間がかかるが。
Bergen とは全くドイツの町みたいな名前。
世界一のトンネルを見学してスタバンゲルの町に戻り
簡単なショッピングをした。
小さな町なので、ツアーのメンバーに至るところで出会った。
小さな町でも買い物はクレジットカードも使える。
私は以前に秋田大学の先生からいただいたトロルの人形を見つけて
自分でも買い求めた。
このトロル人形は後にデンマークの飛行場にも置いてあったのが
わかった。ただし、ここで買うより飛行場では2〜4クローネ分
高くなっていた(100円くらい高め)。
Troll トロルは最初の説明に
重力式コンクリートプラットフォームのところに出てきた名前だが、
ノルウェーでは天然ガスや石油の油田の場所を示す名前に
北欧の伝説の名前をあてているとのこと。
トロルとは童話にも出てくる、北欧の海や川にいると言われる
妖怪のことです。大きな目玉、テングみたいな長い鼻をもっている。
しっぽもついている。
トロルをやっつける山羊の話がありますね。
スカンジナヴィア トロル バイキング
これは一連のキーワードです。
(岩手 さんさ踊り わんこソバ)
ここをクリックすると ヨーロッパ旅行記の始めのページに戻る。