構造力学1の最終試験 その分析

   試験のできなかった学生の答案の間違い分析

2000.9.18のいつもの講義の時間に1時間の最終試験をしました。

毎年のことながら、採点していて、計算力不足が気になります。
明らかに勉強不足で、手も足も出ないという答案もあるが、最初の式はあっている
のに計算を進めていくと、間違いが出てくる答案が意外に多い。
そこで、分析して、ホームページに記録しておこうと思う。
来年以降に参考になるでしょうから。

     こちらは数年前の分析結果です。だいたい傾向は同じ。

トラスの斜材の角度(sinθ、cosθ)を間違えている。
たいてい問題に出すのは、計算しやすい数値を使うのだが。
おちついて高さなどの寸法を正しく図に書いて、sinθ、cosθを
計算することが必要である。

教科書の例題では対称構造に対称荷重が働くから、垂直反力は半分ずつだけど、
試験問題は非対称に荷重が作用するのだから、つり合い式をたてないといけないのに。
垂直反力はいつも荷重の半分ではありませんよ。
学生がよく間違えるものだから、教科書も改訂版にしたとき非対称荷重の計算例を
少し付け加えたのでした。

つり合い式は正しくたてたのに、かんじんの外力の大きさを間違えている。
そうかと思うと別の答案では、荷重までの距離を間違えている。
これでは正しい反力は得られない。

モーメントのつり合いを考えている支点から荷重までの距離を間違えている学生に
聞いたら、上弦載荷の場合に、その荷重を斜材に分担させ、その斜材の下端に
それぞれ荷重として作用させたとのこと。ユニーク。だが、力の置き換えをする
なら完全にしないといけない。
もう一人の説明は上弦載荷の荷重にトラスの高さをかけていた。
水平荷重だったらその方法は正しいのだが。不完全な記憶は身を滅ぼす。

反力を正しく求めているのに、断面法や節点法で、RAとすべきところにRB
使って釣り合い式をたてている。これでは正しい結果は得られない。

トラスで部材力を計算する式は正しいのに、cosθを次の式で忘れてしまって
計算結果を間違えている。
つまり U4=(U6−U5)cosθ+U3
これを(29.1+29.1)−147.1 としている。
正しくは(29.1+29.1)*0.8−147.1 としなければならない。

曲げモーメントの値から曲げ応力を計算するとき、与えられた曲げモーメント
はtfmで表されているのに、断面2次モーメントや断面係数はcm4あるいは
はcm3で計算した数値を使い、単位を統一していないから
答の桁数を間違えている。

(断面2次モーメントの)和の計算で、1243333.4となるべきところを
124333.4としている。おそらく電卓の読み取りミスであろう。

断面2次モーメント式はh3に比例するのに、h2に比例する
している。当然、結果はおかしくなる。
公式の記憶間違い。これも試験だ。

断面2次モーメントの数値の計算で、結果は426666.67となるべきところを
42666.67としている。これも電卓の読み取りミスであろう。

途中経過の式も説明もなく、突然天から降ってきたかのごとく
答だけ書いている答案。(普段の小テストの成績が悪いと、この試験答案を疑ってしまう)
計算式が途中ぬけて誘導が続けられているのに、答だけあっているというのも疑わしい。
カンニングしていないと思うが、インスピレーションで正解が頭に浮かんだのか?

単位をつけ忘れていたり、とんでもない単位をつけている答案も少なくない。
分数の答も平方根や立方根も、数学としてなら間違いではないが、
設計に使うには小数で出さないといけない。

次のようにおかしい理解をしている学生がいる。
支点反力の計算で、つり合いをとる点(支点)からの距離を反対にとっている。
(つまり、反対の支点からの距離をとっている)