胡のつくもの
  胡椒 胡麻....

胡麻、胡瓜、胡弓、胡椒、胡桃などは西域から伝えられたから、胡の字がついた とされる。

直木賞作家で経済評論家の邱永漢によれば、この胡の字のつくものは
多いという。
胡麻、胡瓜、胡椒、胡桃(くるみ)、胡菜(あぶらな)、胡蒜(ニンニク)、
胡豆(大豆)

また中国の野菜には蕃という字のついたものも多い。
蕃茄(トマト)、蕃瓜(パパイヤ)、蕃薯(さつまいも)、蕃椒(唐辛子)、
蕃紅花(サフラン)、蕃石榴(ざくろ)、蕃南瓜(カボチャ)など。
この場合の蕃は南蕃だけでなく、外国という意味である。

日本の場合、中国で蕃椒と呼ばれたものが日本に入ってくると唐辛子
となるし、胡瓜が唐瓜、蕃南瓜が唐なす、蕃薯が唐薯となった。
野菜だけでなく他にも、唐犬、唐絵、唐帯、唐織、唐傘、唐紙、唐木、唐絹、
唐草、唐櫛、唐琴、唐衣、唐獅子、唐装束、唐墨、唐太刀、唐玉、唐手、唐錦、
唐船、唐物、唐様など広範囲にわたっている。
(これらの言葉の大部分はもはや死語に近いが)
唐衣や唐帯はただのキモノとオビになってしまった。これは唐の時代の中国の
衣装だったことを、日本人でも知らないだろう。
蕃薯が唐薯となったわけだが、唐薯がサツマイモのことであり、唐豆が枝豆(大豆)
のことであるとは、たいていの日本人は知らないだろう。

邱永漢は台湾で生まれ、その後中国大陸と日本を行ったり来たりしているため、
日本語も中国語(福建語、広東語、北京語)も上手で、中国人の発想や風俗習慣
も、日本人のそれらと同じくらい熟知している。
このくらい日本と中国のことを知っている人は珍しい。貴重な存在である。

 漢字文化の硬直性とカナ文化の融通性