表計算ソフトはワープロソフトと並んで、一般の業務でのコンピュータ利用で最も使用されるソフトです。
1 表計算ソフトの主な機能
(1)表計算機能
表計算ソフトの主要な機能です。計算式または関数を入力し、表の縦横の合計、平均等の計算をはじめ、順位付け、表引き、各種の統計計算等ができます。
一度計算式を入れた表を作成しておけば、何度でもデータを入力し計算することができます。
(2)グラフ機能
棒、円、折れ線、立体等のいろいろな種類のグラフを簡単に作成できます。グラフの色や凡例等の細かな部分も指定することができます。また、表のデータを変更すると、連動してグラフも変更されます。立体グラフが簡単に作成されることから、何でも立体グラフにしがちですが、どんなグラフが最も適当かを検討し、作成することが必要です。グラフは表計算ソフトが作成してくれますが、グラフの種類を選択するのは使用者です。
(3)データベース機能
データの並べ替え(ソート)、抽出(条件に合ったデータを選び出す)等ができます。表計算ソフトでは、気軽にデータベース的な操作ができますが、表計算ソフトのデータベース機能を用いることは軽自動車で高速道路を走るようなもので、本格的なデータベースではデータベースソフトを使うことをすすめます。
2 表計算ソフトの基本
(1)ワークシートとセル
表計算ソフトを開くと大きなシート(ワークシート)が表示されます。
このシートは行と列で区分されています。1つの行と列で表される区画をセルといい、これが表計算ソフトの基本単位です。セルB2のように列と行で表される。
(2)ワークシートを束ねたブック
ワークシートが複数枚用意されています。 ワークシートの左下に「シート見出し」をクリックすることでシートを変更することができます。
3 基本操作
(1)アクティブなセルとセルポインタ
表計算ソフトは前述のセルに数字や文字や数式を入力します。まさに今入力しようとしているセルを「アクティブなセル」といい、濃い枠で表示されています。この枠を「セルポインタ」といいます。
(2)セルポインタの移動
セルポインタを移動するには@Enterキーを用いる(ひとつ下に移動するだけ)A上下左右の矢印のキーを用いるBマウスでクリックするなどの方法があります。数値を次々と入力していくときは@やAの方法が便利ですし、離れたセルにセルポインタを一気に移動したいときはBの方法が便利です。
このほかにもセルポインタを一気に端まで移動させる方法があります。
(3)データの入力
ア 数値の入力
数字を入力しセルポインタを移動すると、セルに数値が入力されます。数字だけのキー(テンキー)を使って入力すると便利です。入力後Enterキーを押すと、同じ列の次の行にセルポインタが移動します。
イ 文字の入力
IME(日本語入力機能)を起動(Altキーを押しながら半角/全角キーを押す)し、入力します。
文字をローマ字あるいはかなで入力し確定をした後、セルポインタを移動すると入力されます。IME(日本語入力機能)を起動したときと同じ操作(Altキーを押しながら半角/全角キーを押す)でIMEを終了します。
A1からC1に以下のように、文字を入力しましょう。
ウ 数式の入力
セルC2にセルA2の値とセルB2の値をかけた結果を入れる関数を入力するには
@ セルポインタをC2に移動
A =をキーボードから入力
B セルポインタをA2に移動
C キーボードから*を入力
D セルポインタをB2に移動
E Enterキーを押す
セルポインタはC3に移動しますが、セルポインタをもう一度C2に移動して確かめてみましょう。
4 複写
複写は表計算ソフトで最も大切で便利な機能です。
ここに、例題での動作を示すとともに、参考となる事項を述べておきます。
C2に入力した計算式をC3とC4に複写する方法を以下に示す。
@セルポインタをC2に移動
Aツールバーの「コピー」を選択
BC3とC4をドラッグして範囲指定
Cツールバーの「貼り付け」を選択
複写を行えば、自動的に参照するセルを変えてくれる。
たとえばC4には「=A4*B4」の数式が入る。
参考1 移動
移動の操作は複写と変わりません。
選択するメニューが「切り取り」「張り付け」となるだけです。
参考2 オートフィルを用いた複写と移動
ツールバーのボタンを用いる方法を示したが、以下の方法でも「複写」や「移動」ができる。
ア 複写
セルポインタの右隅の枠上ににマウスカーソルを移動すると白十字のマウスカーソルが黒十字に変わる
この状態で右または下にドラッグすると、複写される
イ 移動
セルポインタの枠上にマウスカーソルを移動すると白十字のマウスカーソルが矢印に変わる
この状態で移動先までドラッグする。
参考3 値複写
計算式が入力されているセルをただ複写すると、計算式が複写される。この操作は、気をつけて行わないと、意図しないセルを参照し、思わぬ失敗に結びつくことがある。
計算結果だけを使用したいときは、値複写を使うと良い。ただし、値複写は、データを変更して、再計算するような場合は、計算が複写先へは反映されないので、注意が必要である。
以下に、値複写の方法を示す。
@ 複写元のセルにセルポインタを移動
A ツールバーの「コピー」を選択
B 複写先にセルポインタを移動
C メニューバーから「編集」「形式を選択して張り付け」を選択
D ウインドウが開くので、「張り付け」のところの「値」を選択し「OK」をクリック
5 関数の入力
C5にC2からC4の合計を求める関数を入力します。
関数は普通は関数ウイザードを用いて入力しますが、合計だけは、オートSUMボタンで入力することができます。
@セルポインタをC5に移動
AツールバーのオートSUMボタンを選択
B合計範囲を確認後Enterキーを押す
(範囲が違うときは、ドラッグして再度範囲指定をする。)
セルポインタをもう一度C5に移動して関数を確かめる。
6 入力されたデータの削除
別なデータを入力すれば、上書きされ、前のデータは削除されます。削除した後、なにも入力しないときは、削除したいセルにセルポインタを移動し、キーボードのDelキーを押す。
7 絶対参照
D2に500円の1160円に対する割合を計算する計算式「=C2/C5」を入力する。
その後、この計算式をD3とD4複写する。この場合自動的に参照するセルが変わり、セルのD3には「=C3/C6」の計算式が入る。しかし、C6には値がないのでエラーになってしまう。
つまり、複写によって、割られるセルは変化しても良いが、割るセルC5は変化しては困る。
複写をしても参照するセルを変化させない操作を絶対参照という。
以下にその方法を示す。
@セルポインタをD2に移動
Aキーボードから = を入力
BセルポインタをC2に移動
Cキーボードから / を入力
DセルポインタをC5に移動
Eここでキーボードの F4 キーをおす。
この操作でCと5に$マークがつき絶対参照となる
FEnterキーを押す。
GこれをD3とD4に複写する。
複写が終了したら、セルポインタをD4に移し、計算式を確認しよう。
絶対参照の部分が変化していないことがわかる。
参考
ここでは、行Dと列5の両方を絶対参照としたが、行だけあるいは列だけを絶対参照とすることができる。F4を続けて押すことで切り替わる。
8 行と列の挿入
この例題では一行目に「単価」「数量」等の項目名を入力しましたが、その上に、表題を入力したくなります。また、一列目に通し番号を入力したくなります。このように、後になって、途中に行や列を挿入したいことが出てきます。まず、一行目に一行挿入します。
@行番号の1をクリック
一行目が、青く表示される
Aメニューバーから「挿入」「行」と選択
B同様に列も挿入する。
9 連番の作成
@セルA2に「番号」と文字入力する。
AセルA3に「1」セルA4に「2」を入力する。
BセルA3とセルA4をドラッグ
CセルA4の右下の黒十字をセルA5までドラッグ
セルA5に3が入力される
セルA5に3と入力するほうが簡単だと思うでしょうが、この連番入力は、何十とうデータを扱うときなど大変便利です。また、数字だけでなく、月や曜日でも可能です。試してみましょう。
10 セルの書式設定
@「メニューバー」から「書式」「セル」と選択
セルの書式設定のウインドウが開く
このウインドウには「表示形式」「配置」「フォント」「罫線」「パターン」「保護」の各機能がありタグをクリックし、各機能を使うことができます。
まえもって書式設定したいセルをドラッグし範囲指定しておけば、一度に書式設定ができます。
A「表示形式」のタグをクリックし「番号」〜「割合」の文字をセルの中央に表示させる。
B「OK」を選択
CセルA2からセルE5までドラッグして、範囲指定
D「メニューバー」から「書式」「セル」と選択
E「罫線」タグをクリックし罫線を作成する。
F同様にE3からE6のセルをパーセント表示してみよう。
11 列幅の変更
列記号「A」と「B」の間にマウスカーソルを持っていくとマウスカーソルの記号が変わる。
そのまま左右にドラッグすると列幅が変わる。
12 表引き
@A列とB列の間に2列挿入し、「コード」「品名」と入力
AI列とJ列に下図のように入力
BマウスポインタをC3に移動
Cメニューバーから「関数ウイザード」を選択
D「すべての関数」「VLOOKUP」と選択
E下図のようなウインドウが開くので、ドラッグして表が見えるような位置にウインドウを移動する。
F「検索値」はB3からB5までドラッグし、入力
G範囲の右の窓をクリックし、I2からJ7までドラッグ
HキーボードからF4を押し、絶対指定。
I列番号の右の窓に2と入力し、「OK」を選択
JこれをC2からC3に複写
K「コード」の列に数字を入れることで、それに対応した品名が表示される。
13 シートを越えたセルの参照
例題ではひとつのシート内でのセルの参照を行ってきたが、前述のように表計算ソフトには複数のセルが用意されており、タグで選択することができる。例えば例題の表を「4月分」と名前をつけてこのシートをそっくり次のシートにコピーし「5月分」とする。最後に「年間」というシートを作成し各シートを参照しながら集計することができる。
14 グラフ機能
@ グラフに表したい範囲を指定
(範囲が連続していないときはCtrlキーを押しながら範囲指定をする)
A 「ツールバー」の「グラフウイザード」を選択
B マウスカーソルの形が変わるので、グラフを表示したい場所をドラッグ
(これは適当で良い。あとで変更できる。)
C ウイザード(魔法使い)の指示に従い、作業を進める。
15 データベース機能
データベースで言うデータとは表計算で言うと1つの行で表されるものです。このデータ(行)は絶対にばらばらになっては困るものです。しかし、表計算ソフトは行と列で表されるセルを基本単位としています。そのため、操作が悪いと、データがばらばらになってしまいます。細心の注意が必要ですし、本格的にデータベースをしたいときは、データベースソフトを使うことが賢明です。
表計算ソフトのデータベース機能を用いることは、ワープロソフトで表計算をするのと同様にやってやれないことはありませんが、あまりお勧めできません。
16 マクロ
一連の操作を記憶しそれをボタンに登録し、このボタンをクリックすることで一連の操作を実行される記録マクロはべんりです。
詳細は省略