1 ファイル操作の大切さ
 
 コンピュータで文書や表を作る利点は何であろうか。手書きよりもきれいでわかりやすいからだろうか。それならタイプライターとかわらない。字のうまい人は手書きのほうがよいだろう。「一度作成した文書を少し変更して、また新しい文書を作る。」ここでコンピュータの威力が発揮される。データ(文書)がどんどん蓄積されていくと、ますますコンピュータの威力が発揮される。表にしても同様である。一度だけなら、電卓でも計算できる。同じ表に何回もデータを入れ替えて計算できることがコンピュータの利点である。同じ文字をまた入力したり、同じ表をまた作成することは、めんどうくさいだけでなく間違いの原因にもなる。「同じことは2度入力しない。」を合い言葉に、コンピュータの利点を十分生かしながら活用しよう。
 前述のように、コンピュータを活用するためには、文書や表をきちんと保存しておくことが大切である。従来はハードディスク(HD)にワープロや表計算などのアプリケーションソフトを記憶させ、データはフロッピーディスク(FD)に保存するという利用者が多かった。しかし、文書に表や図を貼り付けたり、画像や動画を扱うとなるとと容量も大きくなりFDには収まらなくなってきた。また、FDは読み書きのスピードも遅い。そこでデータもHDに保存し、バックアップ(消えてしまったときの予備)は外付けハードディスクを使う方法が一般的になっている。また、USBメモリー等の持ち運びにも便利なものや、ネットワーク上の各自のホルダに保存する方法もある。さらに、ひとまとまりとなるものや、長期保存をしようとする場合はCDR,CDRW、DVDも用いられる。
 自分の作った文書がコンピュータの中で迷子になったことはないだろうか。文書の保存場所をワープロソフト任せにしていないだろうか。保存場所を指定しなくてもワープロソフトはそのソフト独自の場所(一般にはmydocumentホルダ)に文書を保存してくれる。しかし、主体的にこの文書はどの装置のどの入れ物に入れるという具合にしていきたいものである。。
 ワープロや表計算ソフトによって作られた文書や表を、コンピュータはファイルとして扱う。このようにファイルとは作られた文書や表そのもの、あるいは、その入れ物と考えることができる。ただし、どんな短い文でも(たとえ1文字でも)、何十ページもある長い文章でも1つのファイルとなる。ファイルを新しくつくり、自分の意図する場所に保存したり、すでにあるファイルを移動・複写・削除したり、たくさんのファイルを入れる入れる物(ホルダ)を作って整理したりする操作をファイル操作という。
 
2 ファイルの入れ物
(1)ドライブ
ファイルを保存するところです。たとえばフロッピーディスクドライブ(FDD)、ハードディスクドライブ(HDD)等です。これらにはA、B、C、等の記号が割り当てられ、「AドライブはFDD、CドライブはHDD」とか言います。正確には、ファイルを保存する媒体がフロッピーディスク、フロッピーディスクを動かし、データの読み書きをする装置がフロッピーディスクドライブとなりますが、混同して使われることも多いです。
 
(2)パーティション
   Cドライブとして割り当てられているハードディスク(HDD)には、OS(Windowsなど)やワープロ、表計算等のアプリケーションソフトが入ってる。「そこに、自分の作ったデータを入れるのは、ごちゃごちゃになりそう」という感覚もある。このような場合、ひとつのHDD(物理ドライブ)を2つに区切りCドライブ、Dドライブ(論理ドライブ)として使うことができる。この作業を「パーティションを切る」という。こうすると、アプリケーションソフトはCに、データはDに入れることができる。
 
(3)フォルダ
 フロッピーディスク(FD)くらいの入れ物ならば、ファイルをそのまま保存し、そのディスクにラベルを貼って何枚ものFDを箱にでも入れて分類しておけば良いかもしれません。しかし、MOやハードディスクなど大容量の記憶装置に、ファイルをどんどん保存していくと、後で探すのが大変です。そこで、ファイルをいくつかずつ入れて整理する入れ物が必要になります。これをフォルダといいます。大きなフォルダの中に、小さなフォルダを作ることもできます。たとえば、「測量」という大きなフォルダに「多角測量」「路線測量」という小フォルダを作ることができます。
 
   ドライブ  
    フォルダ  




 









 
  フォルダ  



 
 


 

ファイル
 


 

ファイル
 


 


 

ファイル
 






 
  フォルダ  



 
 


 

ファイル
 


 

ファイル
 


 
 


 

ファイル
 

 

ファイル
 


 
   
 
 
)ディレクトリ
   ディレクトリとは名簿という意味です。そのファイルがどこの場所に保管されているか を示す、住所のようなものです。フォルダと同じと考えてよいのですが、ディレクトリは よくツリー構造で表されます。
 
   ルートディレクトリ     サブディレクトリ     サブディレクトリ   ファイル



 
    ファイル
  サブディレクトリ   ファイル
 
  ファイル、ファイル
 
3 プログラムもファイル
  ファイルはみなさんが作成した文書や表だけではありません。文書や表を作成するときに使用したワープロソフトや表計算ソフト(アプリケーションソフト)自身もファイルです。更にコンピュータの基本ソフト(オペレーティングシステム)もファイルです。
つまり、ファイルとして見ればすべて平等です。間違えてこれらのファイルを移動したり削除したりするとコンピュータが動かなくなったり、アプリケーションソフトが使えなくなったりします。くれぐれも慎重に
 
4 ファイル操作の実際
 ここでは、Cドライブを用いるが、パーティションを切ってある場合は、CをDとして練習してほしい
 
  ファイル操作にはいろいろな方法がありますが、ここでは、「マイコンピュータ」からの方法を主に説明していきます。
(1)フォルダの作成
   cドライブにデータを入れる「data」というフォルダを作成してみます。
  @ デスクトップから「マイコンピュータ」を選択
    参考:デスクトップに「マイコンピュータ」のアイコンがない場合は、画面右下の「スタート」をクリックし、ポップアップメニューを表示させ、そこから、「マイコンピュータ」を選択する。
  A cドライブ「(c)のアイコン」を選択
    cドライブにあるフォルダやファイルが表示されます
   参考:表示形式を変更するにはメニューバーの「表示」を選択肢プルダウンメニュ      ーを表示させ「詳細」等を選択
  B メニューバーの「ファイル」「新規作成」「フォルダ」と選択
    「新しいフォルダ」という名前のフォルダが作成されます。
  C 続けて、つけたい名前「data」をキーボードから入力
    参考:漢字で名前をつけたいときは日本語入力システム(IME)を起動してから       入力
 
(2)ファイルの新規作成
   Excelで作成した表をcドライブの「data」というフォルダの中に「rei1」という名前  をつけて作成してみましょう。
  @ 「ファイル」「名前をつけて保存」を選択
    「ファイル名をつけて保存」のウィンドウが開く
  A 「保存先」の欄の右にある下向きの三角を選択
  B ドライブ等が表示されるので、「cドライブ」を選択
  C cドライブ中のフォルダやファイルが表示されるので(1)で作成した「data」を選択
  D ファイル名の欄にファイル名「rei1」を入力
    rei1.xlsというファイルがcドライブの「data」というフォルダの中に作成される。
 
(3)上書き保存
   ファイル操作とはいわないのかもしれませんが、各アプリケーションの「上書き保存」を  選択すれば、変更した文書や表が同じファイル名で保存されます。この場合前のデータは  削除されたことになります(1つ前に限ってバックアップファイルとして、保存して  ある場合もあります。)ので、前のデータも残しておきたいときはファイル名を変えて保  存(「「ファイル」「名前をつけて保存」と選択して別なファイル名を入力する)が必要です。
 
(4)移動と複写
   移動と複写の操作はほぼ同じです。操作後に元のファイルが残っていれば、複写で  すし、消えていれば移動です。
   いま、(2)で作成した表(rei1)をフロッピーディスク(FD)に複写してみま  しょう。
  @ デスクトップから「マイコンピュータ」を選択
  A cドライブ「(c)のアイコン」を選択
  B cドライブにあるフォルダやファイルの中からフォルダ「data」を選択
  C フォルダ「data」の中から「rei1」を選択
  D 「ツールバー」の「コピー」を選択
  E 「ツールバー」の「戻る」を「3.5インチFD」の表示が出るまで選択 
  F 「3.5インチFD」を選択
    FDに保存されているファイルが表示される
  G 「ツールバー」の「貼り付け」を選択
    これで、複写が終了
 
(5)削除
  (2)で作成した表(rei1)をcドライブから削除してみましょう。
  @ デスクトップから「マイコンピュータ」を選択
  A cドライブ「(c)のアイコン」を選択
  B cドライブにあるフォルダやファイルの中からフォルダ「data」を選択
  C フォルダ「data」の中から「rei1」を選択
  D 「ツールバー」の「削除」を選択
    HDから削除したファイルは「ごみばこ」に移動します。この時点ではまだ復活   できます。ごみ箱をからにすると完全に消去されます。
(6)エクスプローラを用いる方法
 デスクトップの左下の「スタート」を右クリックするとポップアップメニューが表示される。
ここから「エクスプローラ」を選択(左クリック)し、エクスプローラが起動される。
エクスプローラでは、フォルダやファイルがツリー状に表示される。ここから、前述の方法と同様に操作できます。また、ドラッグアンドドロップという方法を用いることもできるが、詳細は省略します。
 
5 ファイルを知ることはコンピュータを知ること
 
 前述のようにコンピュータを動かす基本プログラム(OS)や、ワープロや表計算ソフトそのものもファイルでできています。これらのファイルが保存されているハードディスクの中を調べていくとコンピュータの中身がわかってきます。フォルダ名や後述の拡張子やプロパティーを手がかりにコンピュータを動かしているファイルの役目を調べていくとコンピュータの仕組みに迫ることができます。
このファイルはどんな役目をしているかを確かめていくと良いでしょう。
 
ここで、参考にWindows で使われている主なフォルダをあげてみます。
Windows : Windoesの本体が入っています。扱いは慎重に
        ここには、さらにたくさんのフォルダがあり、それぞれ、大切なプログラムやデータが記憶されています。
Recycled  : 削除したファイルが入っています。ここから削除すると元に戻せなくなり       ます。
MyDocuments : マイクロソフトのアプリケーション(word、Excel等)で作成したフ         ァイルは、保存場所を指定しないとここに保存されます。
ProgramFiles : いろいろなアプリケーションソフトが記憶されるところです。インス        トール(CD等で供給されるアプリケーションソフトをHDに記憶させる       作業)のときに、インストール先を特に指定しなければ、ここに記憶され       ます。
 
6 ファイルの種類を表す拡張子
 拡張子はファイル名の後のピリオドの次にくる3〜4文字で表されています。この拡張子 を見れば、そのファイルがどんな働きをするのか、また、どんなアプリケーションソフ トで作られたファイルかを知ることができます。
 ファイルを開くときは、普通は、そのファイルを作成したアプリケーションソフトを起動してから行いますが、次のようにして、行うこともできます。マイコンピュータからアプリケーションソフトで作成されたファイルを選択し、ダブルクリックする。この操作でそのファイルを作成したアプリケーションソフトが起動して、今ダブルクリックしたファイルが開かれます。これは、拡張子によって作成したファイルとアプリケーションソフトとの関連付けが行われているからです。このように拡張子はファイルの関連づけにも用いられています。
 それでは、この拡張子を種類別に見ていきましょう。
(1)システム関係
.com  バイナリ形式の実行可能なプログラムのファイルでコンパクトなもの
.exe  バイナリ形式実行可能なプログラムのファイルで、実行時にdllとリンクして作   動するものが多い。
.bat  テキスト形式の実行可能なプログラムのファイル
.dll  ダイナミックリンクライブラリ
.dic  日本語変換のための辞書
.drv  デバイスドライバ(周辺機器を動かすためのソフト)
.fon  フォントファイル(明朝体、ゴシック体等の文字)
.hlp  ヘルプファイル(機能の説明等)
 
(2)テキストデータ
.txt  テキスト形式のファイル 一文字一文字をコードで表したものです。これに改行のコードをプラスした最小限の情報で造られたファイルです。そのため、一番標準的なファイルとして、アプリケーションソフトの違いに関係なく、利用できるものです。
.htm  .html   HTML(Hyper Text Marked Language)形式のファイル
インターネットのホームページの作成に使うファイル形式です。
 
(3)文書
.doc  MicrosoftWordで作成した文書ファイル
.jtd   一太郎で作成した文書ファイル
 
(4)表計算
.xls .xlsx   MicrosoftExcelで作成したファイル
.123  lotus123で作成したファイル  削除をお願いします
 
(5)データベース
.mdb .adp  MicrosoftAccessで作成したファイル
.dbf   dBaseのファイル形式であるが、多くのアプリケーションで使われている。
 
(6)静止画像
.bmp  ビットマップ形式のファイル。Windowsの標準画像形式で、画像ソフト「ペイント」のファイル。
.gif    圧縮したファイルですが、画像は解凍後も圧縮前と同じ品質を維持します。
     256色までしか使えません。
.jpeg .jpg .jpe (Jペグと読む) これも圧縮したファイルだが、圧縮率がgifよりも大きくなるので、通信に適する。しかし、解凍後の画像は圧縮前とやや違い、品質劣化したりする。
.tif   ほとんどの画像ソフトで用いられているファイル形式。
 
(7)動画
.avi    Windows専用のファイル
.mov   Quick Time用のファイル
.mpg   Jpgの方式を動画で用いたもので、圧縮されたファイルです。
                  
(8)音声
.wav (ウエーヴと読む)Windouwsでの音声の標準的なファイル。PCM音源に用いら    れる。
.mid          電子楽器に用いられる 追加
.mp3
.wma WindowsMediaAudio 用ファイル。圧縮率が高い。追加
(9)圧縮されたデータ
.zip  WinZipなどの圧縮解凍ソフト(アーカイバ)で作成したファイル。世界標準の圧    縮ファイル形式
.lzh  圧縮解凍ソフトLHAで圧縮したファイル。圧縮率が高く、最も多く用いられてい    る。
 
7 ファイルの属性を表すプロパティ
(1)プロパティとは
 プロパティとは「財産」という意味ですが、ここではファイルの「属性」あるいは「特性」という意味で使われています。
 プロパティを表示させるとそのファイルの「種類」「場所」「作成年月日」等がわかるとともに、「読取専用ファイル」「隠しファイル」等の指定ができます。
(2)表示方法
  @ ディスクトップの「マイコンピュータ」からドライブ、フォルダを指定して、プ    ロパティーを表示したいファイルを選択する。
  A 右クリックしメニューを表示させ「プロパティー」を選択する。
 * この「プロパティー」は、ファイル操作にとどまらず、いろいろな場面でお目にか   かります。何か困ったとき「プロパティー」を調べてみて下さい。
 
8 バックアップ
 ワープロソフトを起動し、フロッピーディスクをドライブに挿入し、以前作成したファイルを開き一部を変更したい。このとき、「このフロッピーディスクは使えません」などという冷たい表示に出くわす(出くわした)ことがきっとあるはずです。「ここ数ヶ月で作成した文書が全部入っているのに」となげいても後の祭りです。フロッピーデスクもハードディスクも壊れるのです。壊れることを前提に同じものを別の記憶媒体に保存しておくことが大切です。これをバックアップといいます。バックアップの方法には「保存するとき別の媒体にも保存する」「前述のファイルコピーを用いる」「アプリケーションソフトを用いる(圧縮してバックアップしたり、変更したファイルだけをバックアップする等)」などがあります。あなたの作成した貴重な文書や表、あなたの収集したデータ等は、他では得られない貴重なもののはずです。バックアップはコンピュータ活用の基本であるとともに、強調してもしすぎないほど重要なものです。
 
9 ファイルの管理
  皆さんの作った文書や表等のデータの中には、個人情報を含んでいるものもあると思う。ニュースでよく個人データや機密データ等の流出が報道されるが、一度インターネット上に流出したものを回収することは不可能である。だからこそ、データの管理には十分留意する必要がある。主な原因等を述べるに留めるが、セキュリティ関連の専門書で学習し、対策を取ってほしい。
・ LANのホルダに保存したファイルが他人からも見られていた。
・ インターネットからの流失
  自分のHPに掲載したり、掲示板に書き込んだりすることは論外であるが、ファイル 共有ソフト、スパイウエア、ウィルス等により、知らないうちに流出している。
 「HDDには保存せず、USBメモリーだけに保存し、取り外したから安心」とはな  らない。作業した内容がHDDにも残っている。
・ メディアの紛失
   特にUSBメモリーなどは小さいので注意が必要
   パスワードを設定したからといって、紛失しても安心とは言えない
・ 友達に譲ったり、中古として販売したパソコンのHDDのなか。
  ファイルを全部削除しても安心とは言えない。