サンダカン八番娼館 ビデオ

山崎朋子原作の「サンダカン八番娼館」の映画を見たくても現在は無理で
代わりにビデオを見たいと思っていた。留学生の日本語教授O崎先生がビデオを
もっているというので借りてきて見てみた。

限られた時間内で話を全部説明するからところどころはしょっている。
やはり、崎津で昼食のため食堂を見つけ、そこにいた先客の老婆と話をするところから
物語は始まる。映画だからムカデの這う腐った畳の上の場面は迫力がある。

主人公のからゆきさんを演じる、若い女優はみずみずしい。
彼女はやがて日本に帰ってくるが、故郷では兄一家のところでもあまされる。
その兄夫婦の会話に絶望的になるヒロインの演技は映画だからのもの。小説では
読者が想像するしかない。老婆を演じた女優はこの映画で国際賞を受けるが
これがほとんど遺作となってしまった。まさに遺作にふさわしいできばえであった。

当然のことながら、この映画は「サンダカン八番娼館」の他に
続編にあたる「サンダカンの墓」もふまえた内容となっている。
最後の場面では、八番娼館経営者のおクニや多数のからゆきさんの墓を確認した
のである。
つまり、映画でも墓は日本に背を向けて建てられていたことに
山崎朋子たちは気がついて終わるのであった。

本と映画、それらを比べてみればメディアの特徴がわかる。