鬼池(おんのいけ)の久助どんの 連れんこらるバイ
島原の子守唄
むかし天草の鬼池に久助どんという女衒(ぜげん)がいて、
娘を売る農家をたずねてそのあっせんをしたという。
島原の子守唄の前から、親は子どもに言うことを聞かないと、鬼池の久助が連れに来るとおどした。
鬼池は天草下島(しもしま)北東にある。
早崎瀬戸をはさんで対岸に島原半島の口之津町がある。
姉しゃんなどけいたろうかい
山ん家(ね)はかん火事げなばい
青煙突のバッタンフル
唐はどこんねき
海のはてばよ しょうかいな
サンパン船はよろん人
姉しゃんなにぎん飯で
船ん底ばよ しょうかいな
大正のはじめ三池築港が完成し三池の石炭が大牟田から積み出される前は
口之津が三池の外港で、そこまで有明海を小舟で運び、外国船に積み替えられた。
口之津には香港のバターフィルという船会社の船が出入りしていた。
それを土地の人が「ばったんふる」と呼び、のちに外国の貨物船の呼び名となった。
あつめられたからゆきさんたちが密輸船に乗る夜にかぎって、火事が起こり
その騒ぎの中ひそかに娘たちを乗せた馬車が口之津港に走る。