岩手医科大学医学部清水新司先生のお祝いの文章

科学談話会60周年に寄せて                     岩手医科大学医学部  清水新司 科学談話会が設立されてから60周年を迎えた。私がこの会に入会したのは、大学を卒業 して、現在所属している岩手医大医学部生化学講座に助手として採用された昭和59年から である。当時教授であった小野繁先生が、「科学談話会という会があるから、その事務を やるように」とおっしゃられたので、この会がどのような経緯で設立され、続いてきたの かを深く考えることもなく、小野先生の指示の下、例会の司会や事務をしていた。例会に は現在でもお世話になっている岩大工学部の宮本 裕先生、農学部の岡田幸助先生、教育 学部の菅原正和先生や既に亡くなられたが佐藤好文さんや工藤敏夫さんがおられ、これら の先生方に囲まれて非常に緊張したことを覚えている。また、当時、岩手医大から年に 2回程度例会の講師を出していたが、小野先生に紹介していただいたどの先生も、若輩者 で初対面にもかかわらず、快く講師を引き受けていただけたことは今でもありがたく思う。 それから24年、この会の設立の経緯や歴史あるいは関わってこられた諸先生のことを記念 誌や資料で読むにつれ、この会のすごさに驚くとともに、一会員としてこの会に関わって こられたことを名誉に思う。  最後に、宮本先生から60周年記念誌の原稿を書いてくださいとのメールを頂いたが、何 を書けばよいか私には思い浮かばないため、私の手元にある科学談話会に関する資料をも う一度読み返してみた。その中に、設立時の結成趣意書があった。         科學談話會結成趣意書 人心の頽廃、科學の貧困、今日の世情極めて無氣力なるを痛感する。  限られた國土を限られたる人力を以て開發し、産業の振興を招來するにはどうしても優 れた科學技術の探索研究と、之が實地應用にまたねばならない。  殊に制限された殻の中から振起するためには綜合された科學技術の結果を必要とする。  郷土岩手を基盤とする科學技術同好の士の力を結束し、或は談じ、或は書き、或は大地 にいとみふることのよりよき姿を實現せしめ、以て祖國に應へんとするものである。   昭和二十三年五月八日                                 發起人一同 発起人の先生方の科学技術により郷土岩手にとどまらず日本の復興に貢献しようとする意 志が強烈に伝わってくる。先輩の先生方が連綿として受け継いできたこの会が今後も末永 く続くように微力ではあるが努力していきたいと思う。

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