東日本大震災報告

地震動

 マグニチュード 9.0  プレート境界に起きた海溝型地震  継続時間が3分間と長い  地震動強さが大きい地域が広い(南北500km 東西200km)  K-NET築館で最大加速度2933Gal  宮城県栗原市で震度7  短周期成分が卓越(木造構造物被害の多かった阪神大震災では1秒以上の周期が卓越)  マグニチュード7クラスの余震、直下型の余震

     くしの歯作戦とは東西方向の国道活用

                   以上の図は土木学会誌による

全体的な考察

陸上構造物の地震被害に比べ津波被害は甚大 東北地方の太平洋沿岸の津波被害と関東地方の液状化被害が目立つ 気仙沼市や大槌町では、石油タンクが破壊し、漏れ出た石油に引火し火災となる 過去の津波、デジタル記録がないが今回並みのものもあったのではないか 記録が書き換えるたび対策も向上 津波は浮力だけでなく流木や流船や他のものが一緒になりパワーアップさせた これまでの構造物耐震対策は効果的 防潮堤もそれなりの効果をあげた 河川の霞堤のように被害を全部は防げないが被害を最小限に食い止めた 津波の到達を遅らせて避難の時間をかせいだ 松島の例   石巻ハリストス教会の例 津波のとき緊急避難できる施設を 原発の安全対策を徹底的に     放射線被曝 高規格道路の活躍 社会資本は大切 北海道南西沖地震 一部高台移転 新潟県中越地震 道路崩壊、集落孤立 集落ごと移転 東日本大震災 高台の適地が非常に少なく、かさ上げして元の場所にとどまりたい被災者多い ローカル線の復旧に時間かかる 急げ医療福祉再生 職場の確保、漁業環境整備 海岸と高台を結ぶ避難のための街路整備

津波による被害

激甚な被害(6月22日現在)  死者15,477人  行方不明者7,464人   宮城県 死者9,259人、行方不明者4,705人   岩手県 死者4,555人、行方不明者2,419人   福島県 死者1,597人、行方不明者336人  全壊家屋104,173棟、半壊98,309棟  被害総額(世界銀行による)19兆円       (阪神大震災では10兆円) 津波来襲の実態と流況の解明(女川町における例)  第一波到達後約15分で最大遡上点へ(女川町立病院)  浸水深5m、流速6m/s程度で家屋が流失  第一波遡上(押し波)と戻り流れ(引き波)時における流れの比較  同じ浸水深でも引き波時には射流に  家屋流失率・死亡率急増の目安は浸水深2m    多重防護により浸水深2m以下の地域を増やす

がれき再利用

がれきは 廃棄物(処分)かリサイクル資源(有効利用)か 処分(焼却、投棄)  焼却の課題    焼却場への運搬方法(燃料の確保も)    焼却のための前処理(塩分除去など)    焼却中の排出ガス対策    焼却後の灰の処理  投棄の課題    処分場への運搬方法(燃料の確保も)    有害物質の混入の有無    投棄後の有害物質の溶出制御 有効利用の課題   分別(木材、コンクリートの鉄筋除去など)   汚損状況の把握方法(現地簡易分析など)   前処理(油分、塩分除去、粉砕など)   有害物質の除去(洗浄、汚染水処理など)   仮保管先、利用先の確保   利用後の有害物質の溶出制御 木材、木くず  型枠かチップなどの建設資材 コンクリートは採石にして路盤材 土砂類は盛土造成材

まとめ

これまで地震の度に設計基準が見直され 耐震構造物は地震に強くなってきた。 災害復旧にあたって耐震構造物は貢献した。 津波の記録がデジタル的にとられ 津波対策が整備されてきたのはここ100年くらいである。    貞観津波(869.7.13) 今回並み?   明治29年三陸津波 1896.6.15 過去の記録が整備され、より最新のデータに対して、耐震設計・津波防災が向上することが期待される。 日本の防災技術力を高めよう。

「2011年東北地方太平洋沖地震」調査 4月9日 野田村、宮古市、山田町、大槌町 こちら 4月10日 南三陸町、気仙沼市、陸前高田市、大船渡市、釜石市 こちら 石巻  (旧)北上川河口   日和山 被災前後の対比