PCカンファレンスの原稿(1次案)です。

8月6〜8日に信州大学工学部で行われます。
原稿締切は6月末です。
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インターネットを使った力学系教育の活用例

   岩手大学工学部 宮本 裕 岩崎正二 出戸秀明 miyamoto@iwate-u.ac.jp 1.まえがき  岩手大学では、インターネットを使って、種々の教育・研究・連絡などに成果を上げて いる。昨年のPCカンファレンスにおいては、階段教室に設置された大画面高輝度プロジ ェクター(1280*1024,1500ANSIルーメン)を利用して、建設環境工学科の学生教育を教官 のホームページを使って行った例を報告した。また、構造力学や設計の講義・演習に活用 した経験について、その利点と欠点を整理した。 2.大画面プロジェクター利用システム  階段教室で大画面スクリーンを見せることにより、学会のスライド発表やOHP提示と 同じように、多人数に見せる方式で、学生(生徒)集団にまとまってメッセージを伝える ことができた。 OHPを使うテクニックから連想されるように、1つの画面に沢山の情報を与えて も効果は期待できない。できるだけ大きな文字で、単純明快な内容を提示するように心が けないといけない。  毎回の講義のまとめをスクリーンに提示してみたが、理解の確認という点で、効果があ ったようだ。黒板、プロジェクター、言葉など違うメディアを使って、音楽のバリエーシ ョンのように大事なテーマを繰り返して示すことは、それなりの効果があるかもしれない。 大事なことを繰り返すのに同じメディアを使うと慣れの現象が出てきて効果が薄れるとい うこともあるだろう。このように、大事なことを種々のメディアで繰り返すことが効果的 なのであろう。  昨年の発表でふれたが、半期の一連の講義が終わるとき、こうして作られた毎回の講義 メモは自己評価の資料になりうるものである。これを修正を加えることで、次年度の講義 資料はだんだん充実してくることが期待される。実際に2年目の今年の講義は、昨年度の 反省もふまえて教材が着実に充実してきた。必要な資料も、ホームページの自分用ブック マークから探し出すこともできるようになった。  このように、見たいときにすぐ探し出せるので、講義や資料全体に十分な考察を加える ことができると思う。資料を置く場所とか見せる時間を取らない点は他のメディアにまね のできない良い点であろう。 3.大教室での利用に関するいくつかの試み  昨年に加えて色々なアイデアを取り入れてみたので、それを紹介する。  課題未提出者の学生番号を画面に表示すると違うメディアの刺激があるのか、わり あい提出状態がよくなった。学生用掲示板を見るよりも、全員の顔を見渡せる所で 直接未提出者を発表することで彼らにも臨場感があるのかもしれない。  優秀な提出答案をホームページに掲載しておくと、学生の励みとなり、次回には さらに優良な回答が出そろう傾向がある。また、昨年度の回答例を参考にすることで、 より良い回答を学生が作ることもできる。  教官が作ったホームページであるが、このホームページにおいても他の著書からの 引用にあたって、著者からの了解を受けていることを紹介するのも、学生の将来の 情報処理に対するマナーやエチケットの心得になるので、教育効果があると思う。その 反対の、電子メールのトラブルや電子マネーの落とし穴などを講義の合間に紹介する のも、これまた教育になりそうである。  宿題(作文)を電子メールで送ってくるものもいる。たいていはレポート用紙に書 いて提出するわけだが、それらの中から(名前は書かないで)おもしろかったものを 教官が入力してホームページに載せている。講義の感想などを電子メールで受け取り 、コメントなど付けてホームページに載せておけば、次年度の学生の参考にもなると 思う。  提出された課題結果についても、良い例だけでなく悪い例をホームページに残すことで、 これまた次年度の教育に参考になることが考えられる。   学内回線状態が悪いと教室でホームページが見られないこともある。他にも、先月 まで見られた海外のページがある日突然サービスを止めて見られなくなったりする ことがある。そういうことを見せるのも、インターネットは万全ではないことを教える 一つの教材と考えられる。 4.個人のPCでの利用に関するいくつかの試み  大教室で多数の学生にホームページを見せるのではなく、個人が自分の研究室や私有の PCで、この教育用ホームページを利用する方式も行っているので紹介する。  大学院の講義で、毎回与えられる課題に対して回答の提出状況をホームページに、最新 情報を掲示することで、徹底できる。また、補助資料の計算プログラムや図表や前年度の 模範解答などをホームページに提示しておくことで、教育効果をあげている。  卒業研究の研究室学生の特別ゼミでも、このホームページを利用して、補助資料や模範 解答などを提示している。研究室の学生にはホームページ作成法(html言語)を教え ているが、昨年度の学生の作ったホームページの例や簡単な実例を、ホームページにも載 せておいたら、昨年度3名の作成者に対して、今年度はすでに倍以上の学生がホームペー ジ作成に成功している。これは学ぶための資料がだんだん整備され、それにともなって教 育効果が上がっていることを示しているのである。 5.利点と欠点  この方式の利点と欠点を列記する。 利点 ・新しい刺激を与えるメディアとして使える。 ・毎年の教材資料が効率的に整備され改善できる。 ・画像を見せるときなど、黒板、スライド、OHPなどを別に操作せず  ひとつのメディアですませることができる。 ・作成者みずからの思考活動を高めることができる。 欠点 ・LANや機材設備に経費がかかる。 ・教室の管理運営に人手がかかる。 ・ネットワークの管理運営に人手がかかる。 ・著作権の問題を考える必要がある。 6.あとがき  ホームページを教育研究に利用することは、利用者に効果を与えるが、同時に作成する 自分自身の反省と考察と編集の機会を与えてくれるものである。誰よりも自分のために、 今後もホームページ作りを続けていくつもりである。

OHP原稿その1(タイトル)