PCカンファレンスの原稿(1次案)です。

2002年8月6〜8日に早稲田大学で行われます。
原稿締切は6月17日です。
1行47文字(以下45文字にする)
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ホームページによる教育研究資料の保存と活用

 岩手大学工学部建設環境工学科 宮本 裕 岩崎正二 出戸秀明 miyamoto@iwate-u.ac.jp   木更津高専環境都市工学科 佐藤恒明   長野高専環境都市工学科  永藤寿宮 1.まえがき  これまでPCカンファレンスにおいて、ホームページ(以下HPと記載)を作って、学生教育に 効果を上げている例を報告した。また、力学系科目の講義・演習に活用した際の利点と欠点を整理し た。HPを教育研究に利用することは、学生にとって便利なばかりか、教官自身にとっても、年々充 実する電子教材資料を編集したり考察したり反省でき、教員の業績評価の資料として役立つ。最近の 状態を述べながら利点と欠点を改めて整理する。 2.教育に使った場合  昨年の金沢大学でのPCCでは、北大で行われている教育業績評価:Faculty Development(FD) を紹介しながら、我々の実施している、A.教育指導に関わる実績の中の、特に情報処理に関する教 育(情報処理技術を教えるための時間数やHP・電子メールを教育に活用した例)や、B.教育改善 への積極的行動の中で、教科書執筆に関わるインターネット活用例についても報告した。今回は毎週 の講義における運用例を述べながら、この方式の将来の可能性や問題点などにふれることにする。 3.講義に利用した例 ここでは特に断らない限り、著者の中の宮本の行っているものを記述する。 3.1「構造力学1」(1年生前期 2単位)  著者らが書いた数冊の教科書「構造工学の基礎と応 用」および「構造工学」を使って講義と演習を行っている。また毎週の講義の中で簡単小テストを行 う。この小テストは乱数を利用して各自に異なる数値の組合せの問題を出して、あらかじめコンピュ ータで計算しておいた解答とてらしあわせて採点する。また模範解答も作り、HPに載せる。これら の採点作業や模範答案の作成などはTA(ティーチング・アシスタント)にさせる。その予算も年度 当初にとっておくのである。 3.2「鋼構造設計学」(3年生前期 2単位)  これも著者らが作った教科書「橋梁工学」を使っ ている。これは橋梁設計のための教科書である。 教科書を使って講義で説明するほかに、橋の写真 画像をHPに載せたり、本四架橋の維持管理(公団)や橋梁製作(会社)などの先にリンクして、学 生の自主的興味を引き出している 3.3「フーリエ・ラプラス変換」(3年生前期 2単位)  この科目は著者の中の宮本や岩崎が担 当している。毎回の講義の項目メモを書いたり、むずかしい式の誘導や証明については、学生からの 要望に応えてHPに載せている。課題に対して提出されたレポートなどの優秀作品も載せている。他 の科目についても同様であるが、フリーのレンタル掲示板を設けて学生たちの質問や感想を書かせ意 志の疎通を計っている。なるべく生の声を引き出すよう書き込みに対するこちらの応答に工夫をして いる。他にも毎週提出する出席カードに、その講義でわかったことやわからなかったこと質問などを 書かせ、それらの要点をHPに紹介している。 3.4「建設環境工学特別演習1」(4年生前期 1単位)  これは我々の研究室の4年生の卒業研 究のための特別講義と演習である。具体的には剛性マトリックス法を使って、平面トラス、連続梁、 平面ラーメンなどの構造物の解析方法と数値計算例を説明して、FORTRANやBASICなどの数値解 析プログラムを使って数値計算をする課題を毎週出している。そして、その際にパンコンを利用して 数値解析プログラムを使うノウハウについてはTAの積極的な活用を行っている。HPの利用として は、毎回の講義の項目メモを掲載し、提出された模範答案を掲載し、かつ誰が何回提出したかをHP に載せている。その際にはプライバシー にも気を使い、学生の氏名は載せず学生番号を載せている。 3.5「構造工学特論」(大学院博士前期課程 2単位)  大学院の講義で、自分の研究室の学生の 他に学科全体の大学院生を対象にして、有限要素法の基礎となる理論を説明し、また格子桁、平板の 曲げ問題、平面応力(平面ひずみ)などの具体的な計算例を説明して、毎週課題提出している。こち らも計算量が多くなるから、TAを積極的に活用して各自にパンコンで数値解析プログラムを使いな がら計算問題を解くよう指導している。HPには、毎回の講義の項目メモを掲載し、提出された模範 答案を掲載し、かつ誰が何回提出したかをHPに載せている。また、留学生の提出する英語で書かれ た解答も載せている。それは今後の留学生教育に役立つものである。 4.最近のHP利用の利点と欠点  前にもこの方式の利点と欠点を整理して発表したが、最近の状況をもとにすると利点は次のよう になる。電子メールやフリーの掲示板を利用して活発に意見や感想を書いてくる学生が増えてきて、 こちらも反応をみながら教育できて手応えを感じるようになった。またTAの活用は教育の質を高め 教材の蓄積が更に期待できるようになった。それに対して欠点は、HPを見ようとしても端末数が全 学生に対して十分ではなく、自宅でインターネットを利用していても、回線容量などのため画像デー タを見るのが遅いなど問題は残されている。HPのサーバーのPCの容量が限界にきているせいか、 管理者がHPを見ようとしても数十分かかることがあり、現在新しいPCに更新中である。 5.あとがき  講義の補助資料、課題の提出状況、模範解答、Q&A、教科書に対する学生の意見や感想などを HPに載せて、それらを有機的に活用して教育効果を上げてきた。HPの教育における利用は、学生 のみならず、作成する側自身の反省と考察と編集の機会を与えるものである。これらの一連の研究は 教育工学の学会などで発表してきたが、昨年12月に文部科学省主催の工学教育プログラム改革推進 研究発表会、一橋記念講堂(学術総合センター)で依頼され講演をした。全国の大学の教官が集まり 大変好評であった。著者らは今後もこの研究を続けてHPを教育研究に活用していくつもりである。 参考文献 1)宮本裕他(1999.11):自己評価のための情報処理利用教育、文部省主催平成11年度情報処理教育研 究集会、東北大学 2)宮本裕他(2001.8):教員の教育業績の評価のためのホームページ、PCカンファレンス、金沢大学 3)宮本裕他(2001.12):教員の自己評価のためのホームページの利用、工学教育プログラム改革推進 研究発表会、一橋記念講堂(学術総合センター)  講義のためのホームページ   http://structure.cande.iwate-u.ac.jp/education/lecture2002.htm  教科書のホームページ     http://structure.cande.iwate-u.ac.jp/textbook/textbook.htm

長野高専情報処理教育風景       長野高専情報処理教育風景

OHP原稿その1(タイトル)