PCカンファレンスの原稿(1次案)です。
8月2〜4日に北海道大学で行われます。
原稿締切は6月末です。
1行47文字(以下45文字にする)
43行
2ページ
−−−−−−ここから−−−−−−
ホームページは便利な私の図書館
岩手大学工学部 宮本 裕 岩崎正二 出戸秀明 miyamoto@iwate-u.ac.jp 1.まえがき 岩手大学では、インターネットを使って、種々の教育・研究・連絡などに成果を上げている。一昨 年と昨年のPCカンファレンスでは、階段教室で手作りのホームページを見せて、建設環境工学科の 学生教育に効果を上げている例を報告した。また、構造力学や設計の講義・演習に活用した経験につ いて、その利点と欠点を整理した。 ホームページを教育研究に利用することは、学生にとって便利なものであるが、同時に教官自身に とっても、年々充実していく電子教材資料を編集しながら考察を加えたり、反省する機会も与えられ る価値あるものである。 ここでは、色々の実践例の中から、手作り教科書について利用している例について報告する。 2.教科書のホームページ 以下に著者らが書いた数冊の教科書についてのホームページを紹介しながら、具体的な活用の様子 を説明する。なお、教科書のホームページのアドレスは下記の通りである。 http://structure.cande.iwate-u.ac.jp/textbook/textbook.htm 2.1「構造工学の基礎と応用」「構造工学」 それぞれは、構造力学の問題集と教科書に相当する。1年生から2年生まで、これらの教科書を使 って講義と演習を行っている。長年使っていくうちに、教室での質問、学生が理解しにくい箇所、説 明のポイントなどが明らかになってきている。 増刷の度に気のついた間違いを訂正して、正しい教科書になっていくが、それでもなお間違いが発 見される。また補足的な説明をつけたほうが良いこともある。そういうことをホームページに書き込 んでおくと、学生にとっても便利である。そのうちのいくつかは次期改訂版に反映されることになる。 2.2「橋梁工学」 構造物の設計の理論や演習を学ぶための教科書である。この教科書についても発行後に発見された 間違いをホームページに載せている。また、橋の写真集(画像)をホームページに載せて、橋の具体 的なイメージをとらえる補助としている。本四架橋の維持管理(公団)や橋梁製作メーカ(会社)の ホームページにリンクして、学生の自主的興味を引き出す試みも行っている。 2.3「情報リテラシー」 今年から岩手大学でも、全学的に情報処理が必修となった。そこで、自分の学科の1年生から情報 処理の基礎を教えるために、この教科書を作り4月から使って電子メールやホームページの使い方を 教えている。全員ではないが、やる気のある1年生から講義のホームページを工学部の計算機端末室 で見ることで、講義の理解が深まり、質問や課題の回答に電子メールを使うことで効率を上げている 学生もいる。なお、全員に教室で講義に関するホームページを見せている。こうして一部のやる気の ある学生から積極的にインターネットを使わせ、彼らが周りの友人に教えたり(教えることで自分の 勉強にもなる)、あるいは先進的な学生の姿に啓発され他の学生もインターネットの世界に入ってい くということが、自然な教育スタイルと思われる。これは風呂のお湯が一部熱くなり対流しながら全 体が熱くなっていく過程にたとえられるだろう。 この教科書には簡単なホームページの作り方を説明してある。つまり簡単なタグの説明が中心であ るが。卒業研究の研究室学生の特別ゼミでも、この教科書を使ってホームページの作り方を説明する と、昨年度の学生の作ったホームページの例や簡単な実例を、ホームページにも載せておいたら、全 員がホームページ作成に成功している。これは学ぶための資料がだんだん整備され、それにともなっ て教育効果が上がっていることを示しているのである。 この本は市販されていて、読者は前書きに書かれてあるホームページに載っている掲示板のアドレ スに質問や感想のメールを送れば、著者らと連絡できるようになっている。 2.4「時刻歴地震応答解析法」 骨組構造物の地震応答解析法の本である。大学院を対象にして書かれた本であり、内容は高度であ る。しかし、一部のところ(1質点系の固有周期や固有値問題)は就職試験対応として学部生でも必 要なので講義で教えている。 この本の最後にFORTRANの計算プログラムと入出力データを載せている。最初は大型計算機 で動くプログラムであったが、PCでも使えるよう一部を書き直した。このPCで使えるプログラム の入力データの例は、卒業研究で過去の計算例のものがあると大変便利なので、年々代表的な計算例 の図や入力データはホームページに載せてある。 3.あとがき ホームページを教育研究に利用することは、利用者に教育効果を与えるが、同時に作成する自分自 身の反省と考察と編集の機会を与えてくれるものである。講義の補助資料、課題の提出状況、模範解 答、Q&Aなどをホームページに載せるだけでなく、手作り教科書に関するホームページも作成し、 読者や学生からの意見や感想を受けて、それらを有機的に活用すれば、将来インターネット利用環境 はさらに発展することが期待される。これらはまた教官の自己評価の資料ともなるものである。 参考文献 1)宮本裕他(1999.6):ホームページを利用した力学系教育について、1999年度日本建築学会東北支部研究報告会、東北大学 2)宮本裕他(1999.8):インターネットを使った力学系教育の活用例、PCカンファレンス、信州大学 3)宮本裕他(1999.11):自己評価のための情報処理利用教育、文部省主催平成11年度情報処理教育研究集会、東北大学 著者らの研究室のホームページ http://structure.cande.iwate-u.ac.jp/index.htm 講義のためのホームページ http://structure.cande.iwate-u.ac.jp/education/lecture2000.htm