平成17年度自然災害東北地区部会講演の原稿です。
1月6日、7日に福島大学で行われます。

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道路橋設計における雪荷重について

      岩手大学工学部 宮本 裕 岩崎正二 出戸秀明 藤井智里          miyamoto@iwate-u.ac.jp  道路橋設計における雪荷重について            岩手大学工学部 ○宮本裕、岩崎正二、出戸秀明、藤井智里  まえがき 道路橋を設計するときは、積雪地帯の橋であれば、雪荷重を考慮する必要がある。 東北の積雪地域における雪荷重を、実際の橋梁設計に反映して、他の荷重たとえば 死荷重や地震荷重などと大きさを比較する。これは積雪状態に地震力を受けたとき の構造物の状態を把握するのに重要である。  雪荷重 道路橋示方書には 「雪荷重を考慮する必要のある地域においては、雪荷重を架橋地点の積雪状態や管理 の実状を適切に考慮して設定するものとする」(2.2.12)と書かれてある。 (1)十分に圧縮された雪の上を自由に車両が通行する場合    通常は1kN/m2 (圧縮された雪で15cm厚) (2)積雪がとくに多くて自動車通交通が不能となり、雪だけが荷重としてかかる場合  雪荷重の計算式  SW=P・Zs          (1)   ここで   SW:雪荷重(kN/m/m)    P:雪の平均単位重量(kN/m/m/m)    Zs :設計積雪深(m)  架橋地点における再現期間10年に相当する年間最大積雪深を考える。   例として1.5mなら   3.5(kN/m/m/m)*1.5m=5.25kN/m/m  計算例 具体的な計算例として、橋の構造形式は今回はゲルバートラス橋を選んだ。 雪のデータについては、横手市における 1892〜2003年の積雪記録を利用した。  荷重 死荷重(1主構あたり) 舗装(5cm厚) 22.5*0.05*6.0/2=3.375kN/m 床版(15cm厚) 24.5*0.15*6.0/2=11.025N/m 地覆 24.5*0.3*0.4=2.94kN/m ハンチ(仮定)        1.2kN/m 高欄(仮定)         0.4kN/m 雪       1.0*6.6/2=3.3kN/m 鋼重(2kN/m2と仮定) 2.0*6.0/2=6.0kN/m 等分布死荷重 w=28.24kN/m ここで、雪荷重は最大積雪深、最小積雪深、平均積雪深の3パターンについてとりあげる。 @最大積雪深(1974年 259cm) 式(1)より  SW=3.5(kN/m/m/m)*2.59m=9.065kN/m/m 単位長さ当たりの雪荷重は9.065*6.6/2=29.91kN/m となり、全死荷重に相当する。 A最小積雪深(1989年 36cm) 式(1)より SW=3.5(kN/m/m/m)*0.36m=1.26kN/m/m 単位長さ当たりの雪荷重は1.26*6.6/2=4.158kN/m となる。 B平均積雪深(1892〜2003年 121.3cm) 式(1)より SW=3.5(kN/m/m/m)*1.213m=4.2455kN/m/m 単位長さ当たりの雪荷重は4.2455*6.6/2=14.01kN/m となる。 これらにより、最大積雪深では道路橋示方書の雪荷重の約9倍にもなることがわかる。  あとがき 下路式アーチやトラスでは、水分の多い雪が上弦材に積もったとき、横構や弦材が 破壊することが報告されている。限界状態設計法において、雪荷重と地震荷重の組み 合わせを考えることは設計上重要である。トラス橋以外の他の橋についても研究を すすめる予定である。 参考文献  (社)日本道路協会:道路橋示方書・同解説(平成14年3月)

OHP原稿その1(タイトル)