平成16年度自然災害東北地区部会講演の原稿です。
1月6日、7日に山形大学農学部で行われます。

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台風時における送電用鉄塔の最大耐力算定

           岩手大学工学部 宮本 裕 岩崎正二 出戸秀明 大友悠央          miyamoto@iwate-u.ac.jp 1.研究の背景と目的  現在の送電用鉄塔の設計は、クレモナ解法が用いられている。クレモナ解法では、材料特性は線形と仮定し、部材の変形に伴う2次応力の影響を考慮しない代わりに、部材強度を安全率で除して小さく評価した許容応力度設計法を用いて、予期せぬ荷重や2次応力の影響に対応している。  ところが、台風時の風荷重により送電用鉄塔の崩壊が報告される中で、一律の安全率を取り、不確定要素は安全率で対応しようとする設計法に限界があると考えられるようになってきた(たとえば平成14年台風21号により茨城県潮来市で送電鉄塔7基が倒壊し2基が折損した.)。特に大規模な送電用鉄塔ほど、その傾向は顕著である。  さて、送電用鉄塔の崩壊までの変形挙動を把握するためには、複雑な降伏条件下での弾塑性解析などの材料学的非線形解析と、大変形などの幾何学的非線形解析を同時に考慮した複合非線形解析が必要である。このような複合非線形解析は有限要素解析を用いるのが一般的であるが、送電用鉄塔のようなトラス構造の耐力は、主に部材の座屈強度によって決まる場介が多い。このような座屈現象は、一般的には圧縮応力が作用したときの釣り合い状態に材料の降伏現象が加わった不安定現象によって生ずる。従って、送電用鉄塔の崩壊メカニズムを解析的に把握するためには、材料の非線形性と有限な変位を考慮した複合非線形解祈が必要である。  そこで、本研究では送電用鉄塔の最大耐力及び崩壊までの挙動、最大耐力後の挙動を複合非線形解析により明らかにし、さらに解析から分かった倒壊の原因となる崩壊部位を取り上げ、その局部モデルで解析を行い詳細に解明した。. これらの各解析、送電用鉄塔の部材の断面形状が崩壊にどのような影響を与えるかを把握するために、断面形状が等辺山形鋼と鋼管の2種類について検討した。  また、架渉線の鉄塔への影響を解明することを目的とし、単独鉄塔の倒壊実験を想定した解析と同様の実験を想定した解析を鉄塔と架渉線から成る速成系モデルで行い検討した。 なお、本研究における最大耐力とは弾性限界荷重時のことであり、崩壊時の耐力ではない.。 2.研究の概要  本研究では、2次元および3次元の単独鉄塔の最大耐力と崩壊までの挙動・最大耐力後の挙動を解明する方法として、汎用有限要素プ口グラムCOSMOS/Mを用いて複合非線形解析を行った。 鉄塔の崩壊挙動では、荷重が極大点を超えた後も、荷重が減少すると同時に変位も減少するような挙動を示す場合がある.そこでCOSMOS/Mの増分制御法の中がら、極大点を超えて安定に解析を進めるために、弧長増分法を使用した。 次のように実大鉄塔を想定したモデルの非線形解析を行った。.  ・2次元実大鉄塔モデル  ・3次元実大鉄塔モデル  (断面形状はいずれも等辺山形鋼か鋼管) これらのモデルで、一部材あたり2要素モデルと4要素モデルについても検討した。 さらに、この解析結果から崩壊の原因となった部位を取り上げ、下記のモデルを作成し非線形解析を行い詳細に検討した。. ・2次元、3次元ブライヒ結構モデル ・2次元、3次元ダブルワーレン結構モデル (断面形状はいずれも等辺山形鋼か鋼管) このモデルでも、一部材あたり2要素モデルと4要素モデルについて解析した。.  また、単独鉄塔の倒壊実験を想定した解析と、同様の解析を鉄塔と架渉線から成る速成系モデルで行い、架渉線の鉄塔への影響を解明するために下記に示す2つのモデルを作成し比較検討を行った。  ・2次元実大鉄塔モデル  ・3次元実大鉄塔モデル  (断面形状はいずれも等辺山形鋼か鋼管) 3.結論  本研究の結論を以下に述べる (1)等断面積の部材を使用した鉄塔の場合、実大鉄塔平面骨組モデルでは変形挙動、最大耐力はほぼ一致したが、実大鉄塔立体骨組モデルでは等辺山形鋼モデルのほうが約2倍の風連111.8m/sとかなり大きな値を示した。局部モデルにおいては、ブライヒ結構1パネル平面面モデルで、最大荷重はどちらも風連約70m/s時と等しかったが、立体モデルでは、やはり実大鉄塔モデルにおける解析結果と同様に等辺山形鋼のほうが大きな値となったブライヒ結構モデルでは下部に応力が集中し座屈を起こすことが分かった。ダブルワーレン結構2パネルモデルでも等辺山形鋼が大きい耐力を示した。これらの原因として、等辺山形鋼を3次元で骨組構造として組んだ場合に、部材単体の持つ耐力をはるかに上回ると考えられる。また、等辺山形鋼モデルの鉄塔は、下部から座屈を起こし、鋼管モデルの鉄塔は中間部がら崩壊に至る傾向があることが明らかとなった。 (2)本研究では、架渉線を考慮した速成系モデルは単独鉄塔に比べ約1.2倍の最大耐力を持った。このことから、架渉線は送電用鉄塔を繋ぐことで全体の耐力を上げる効果があると思われる。しかし、最大荷重以降の耐力は単独鉄塔のほうが大きく一気に崩壊に至ること分かった。  大友悠央:非線形解析による送電用鉄塔の最大耐力算定に関する研究 (岩手大学大学院修士論文、平成16年3月)

OHP原稿その1(タイトル)