岩手山の火山研究の第一人者
地熱エンジニアリング(株)
岩手大学客員教授  土井宣夫先生

平成11年7月9日 科学談話会の講演からメモを紹介します。
実は土井先生には、ちょうど8年前の平成3年8月の科学談話会でも、
岩手山の火山活動の講演をしていただきました。
当時は、過去の噴火の分析だけで、また将来噴火するかもしれないというコメント
はありましたが、岩手山は静かでした。

私のメモなので学問的に正しいかどうかあやしいのですが(土井先生の話を不正確に
メモしているかもしれない)、ともかく紹介します。

最近の岩手山の様子を見ると、火山にふるえがきている。マグマが深い地下から
浅いところに上がってきたようだ。低周波地震(比較的長周期)は液体が関与している。

2月に雪の解けている場所が見られたが、あれはその地域が高温になっているからだ。
笹や木の枯れが広がっているのは、雪が解けてわかった。雪がそう解けず、
笹が枯れたのは、もしかすると塩酸や硫酸などを含む酸性水のためかもしれない。

現在の兆候は、西岩手が活発である。ハザードマップの推定があたっている。
ハザードマップでは、偏西風を考慮して、火山灰は西側ではなく東側に多く降る
ようになっている。

過去に東岩手に群発地震が起こり、1年後に噴気があった。
その例からして、西岩手に昨年群発地震があって、今年噴気が見られるのは
傾向としてあっている。

これまでの地震と火山を考察すると、三陸の海溝型(プレート)地震が起こって、
数年後に、岩手山や秋田駒ヶ岳が活発になっている。
今回の場合も、三陸はるか沖地震の後に、岩手山の火山活動が活発になったから、
秋田駒ヶ岳に何か変化がないか気をつけている。