Bはみんなと別れて、18時25分には天竜峡の駅に着いたはずだが、どうも夜の10時頃には平塚の犯行現場にいたようなのだ。 しかし、Bがその頃に平塚にいるには、みんなの乗った豊橋発19時44分のこだまに乗るしかない。 その後のこだまでは小田原に21時46分に着くので、東海道線上り22時4分発では平塚には22時24分になってしまう。 だがみんなの乗った飯田線の17時44分中部天竜発の上り列車に乗っていなかったし、豊橋19時44分発のこだまのホームでも見かけなかったことを女性たちが証言している。 (17時44分中部天竜発の上り列車の次の列車に乗れば、豊橋19時44分発のこだまには間に合わず、結局平塚に10時に着くのは無理だ) しかし、現地に行って別ルートがあることを発見する。 それは中部天竜発16時49分のJRバスに乗れば18時27分西鹿島着となり、遠州鉄道に乗り換えると西鹿島18時47分発、新浜松19時23分着なのだ。 新浜松駅から10分歩いて浜松駅の新幹線のホームで19時59分のこだまに乗ればAと合流できる。 (中部天竜発16時49分のJRバスは鉄道と並んで走っているので、飯田線の駅と乗り換え可能なので、たとえば飯田線中部天竜発16時50分で佐久間着16時52分、JRバス佐久間発16時55分に乗れば18時27分西鹿島着となる) 犯人Bは午後22時頃には平塚の犯行現場にいたことになる。 そこまでは推理できたが、Bは早朝に実家に帰って附近の家を訪ねしっかりアリバイも作っている、。 では、犯人Bは早朝7時半頃に天竜峡に着いたはずなのだが、そのルートがわからない。 そんなに早い時刻では豊橋から飯田線は走っていない。 だが。ついに見つける。 平塚22時24分発で横浜22時57分着、横浜23時3分発で東神奈川23時7分着 東神奈川23時23分発で八王子0時27分着、八王子0時40分発で辰野4時37分着 辰野4時48分発の飯田線で天竜峡7時36分着。 ここでは夜行急行アルプスが使われている。(現在この列車はない) ところで、この小説の冒頭で誘拐事件が起こり、その犯人たちが横浜駅を中心に非常線をはられて逮捕されたことが述べられている。 実は、この非常線に犯人Bはひっかかっていない。 つまり、Bはこのルートを利用しなかったので注目されなかったことになる。 こうしてどんでん返しが続き、最後にBは相模線を利用したことがつきとめられる。 それは平塚22時24分発で茅ヶ崎22時29分着、茅ヶ崎から22時32分発の相模線で橋本23時38分着、橋本発23時45分発で八王子23時58分着なのであった。 鮎川哲也の喜ぶ鉄道ダイヤのトリック。