佐竹邦彦先生の【岩手の自然とチョウ】
県立博物館での講演会に出席しました。
要旨 「岩手の自然とチョウ」 生息という言葉の定義を、岩手県内でライフサイクルのすべてを 過ごすことのできるとするなら、岩手県で見つかる蝶のうちの いくつかははずれてしまう。 本州以南の温暖地で発生すると思われる蝶が毎年県内で記録される。 特に秋になると決まって多数の個体が飛来するものがある。 台風の時、南方の蝶が偶産的に記録されることがある。 北海道や本州中部の山岳地帯に分布して、岩手県の北部にも分布する という北方系の種や全国的にもきわめて局所的に分布する種などが 見つかることがあるが、これらの中には安定的な山地が確認されず、 生息することが疑わしいものもある。 温暖化にともない宮城県以南にしかいなかった種が、県南部に記録されたり 大陸からの種が北海道や青森を経て沿岸北部に定着しつつあるものもある。 ・絶滅種 オオルリシジミ、ヤマキチョウ、オオウラギンヒョウモン ・新現種 ホソバセセリ、キタアカシジミ、オオモンシロチョウ 人間の開発で滅びた種と生きのびた種 宅地造成(食草絶滅)、草地造成(食草絶滅、水脈切断)、森林荒廃 チョウセンアカシジミ(バット材生産の切株から出たひこばえと若木) (天然状態では川の氾濫で新木が誕生) 森林荒廃で落葉多く栄養過多、キノコは栄養の少ない林に。 岩手県の動植物の調査不足の理由(竹原明秀先生の見解) 同好会の会員の高齢化と減少化、若者の自然観察離れ、 大学研究者は国内より海外に目を向ける(研究優先)