ペトロフ事件 22列車    新京22:55  奉天6:55  10:21大石橋 急行18列車  大石橋10:45  14:18周水子 607列車    周水子14:23  14:38夏家河子 610列車    夏家河子15:32  15:49周水子 22列車    周水子16:05  16:18大連 作者は肋膜炎の余後を養っていて、退屈をまぎらすため「ポンスン事件」をじっくり 読んでいた。理解しやすくするため、自分で鉄道の時刻表をつくってみた。 何時にどこどこ駅に着くという細かいメモは理解を助け、「ポンスン事件」の読後感 はなかなかよかった。 そうした頃、畳の上に寝ころがって満鉄の時刻表をながめているうちに、アリバイ・ トリックに利用できる列車を発見し、興奮して発熱し、一両日ほど寝床の中ですごさ なくてはならなかった。 ショックを受けると熱をだす癖のある作者は、テレビである土俗楽器の制作者をえがいた 映画を見ているうちに、その気障っぽさに当てられて気分が悪くなり、発熱して寝込んだ という。  こうして昭和18年か19年の頃に「ペトロフ事件」ができたのだった。