情報見抜く力こそ重要

                弁護士 牧野二郎 ネットワークを利用した犯罪が数多く報道されている。だから規制が 必要だ、と言われている。 便利なツール(手段)はその便利さゆえに、いつの時代にも良くも悪くも 利用されてきた。 誘拐犯人が電話を使ったり、自動車を使ったりしたことを考えても明らかである。 人間社会には多くの矛盾や犯罪、各種の病理現象がある。我々が社会でくらす 以上は、情報ネットワークの新しい積極的な利用方法が期待される反面、 犯罪者がネットワークを悪用して犯罪を犯すのもさけられないことである。 情報をコントロールすることで、犯罪防止や危険を避けようとすれば、 その反面、ネットワークが使いにくいものになり、正常な利用者にとって 不便なものになってしまう。たとえば検問を厳重にすると、本来の利用者が 入構するのに時間がかかってしまうように。 今求められるのは情報ハイウエーに関所を設け、情報の流通自体を阻害 したり、情報内容を恣意的にコントロールして、無害な情報のみを流 すことではない。 今必要なのは、違法情報の的確な摘発と、関係者の情報能力の強化である。 伝言サービス事件では、呼び出しに簡単に応じ、知らない人の車に乗ったり、 もらったばかりの意味不明の薬を簡単に飲んでしまったりしている。 警戒心が無い若者たちに、社会の怖さや、犯罪の存在を教える必要がある。 伝言サービスを禁止しても、若い人の情報能力の欠如は直らない。 それが禁止されても別の新しい情報ツールが登場し、被害が生まれるだろうから。 今我々がなすべきなのは、情報ツールを禁止することではない。情報 をコントロールする能力の強化なのである。 間違った情報と真実の情報とを区別する能力、様々な誘惑や危険性を 排除するたくましさを身につけなければならない。 進歩する情報化社会に生きていくためには、情報化されたものを上手に コントロールできるように成長することである。火を使えるとは、 火のコントロール方法を知るということであった。火の使用を禁止 したらやけどもしないが、火の本当の便利さ、怖さを知ることもでき ない。情報もまた同じである。 大切なことは、危険情報には手を出さず、必要な情報を活用するという 賢い情報コントロールが身につけさせる教育をすることだ。   インターネット弁護士協議会代表

1999.1.20 讀賣新聞の記事を参考に要約してみた。

ネットワークは便利なもの。便利なものには落とし穴がある。

だから、ネットワークにも規制は必要であろう。
性能の良い車が高速で、子どもの通学路や一般道路を走ってはならないように。

火は便利なものだからといって、幼い子どもに使わせはしないであろう。
テンプラを揚げて火事になった時のため、消火方法を考えておくのも
必要なことであろうから、インターネットにも規制が必要であろう。

便利なものを禁止することはないが、使い方を学ぶことは大切である。
その背中あわせの危険なことも知っておくことは必要だし、問題が起きたときの
解決策を考えておくべきであろう。