ふとしたきっかけで、平成10年7月18日に一関オフラインに参加して、
岩手県をあげて行うマルチメディア祭の平泉フォーラムに参加することになりました。
主催の話せばわかるコンピュータの会(略して はなコン)の会長の佐藤先生は
岩手のインターネットで昔からの知り合いだし、話せばわかるコンピュータの会の
会員の何人かの皆様と蔵ビールを飲みながらインターネットを語り合ったのです。
そして、県南の情報化に熱心に取り組み、岩手の情報発信を語る情熱にひかれ、
これからも、はなコンの皆様と交流を深めるのは良いことだと思ったからです。
ここでは、当日のフォーラムからオフラインまで含めて報告して、自分の資料とも
したいと思います。
フォーラム日程 会場 平泉郷土館 〒029-4102 岩手県西磐井郡平泉町字花立44 0191(46)4012 期日 平成10年9月5日(土) -------------------------------------------------------------------------------- 15:00開始〜17:00終了 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 助言者 宮本 裕 岩手大学教授 15:00 1 山浦玄嗣 山浦医院(VTR参加) 2 稲葉 暉 一戸町長 3 鳴海正人 岩手県体操協会 15:30 4 斎藤健司 岩手医科大学 5 高橋義徳 水沢医療情報ネットワーク事務局 6 関 洋一 ザ・オフィス関 16:00 7 石澤祐治 桜町中学校 8 佐藤清忠 話せばわかるコンピュータの会 9 小原 修 岩手県林業技術センター 16:30 10 佐藤徳男 狐禅寺公民館 11 千葉敏浩 老松公民館 12 宮本 裕 (まとめ) フォーラム終了後 毛越寺レストハウスへ移動 情報交流会 平泉町平泉字大沢62-1 TEL 0191(46)4000 宿泊所 太幸邸 胆沢郡前沢町七日町58 TEL 0197-56-6330 -------------------------------------------------------------------------------- 発表時間は5分で、質疑応答を5分としますので、よろしくお願いいたします。 レジメ50部の準備ですが、準備できない方はそのままでかまいません。 また原稿を用意していただければ、当日、コピーいたします。 会場には、オンライン接続の端末がありますので、ホームページにて、資料が 参照できます。
稲葉暉(一戸町長)さんの講演
なにしろトップの人が情報処理に理解があるから、この町はすごい。
一戸町役場はホームページを公開している。
保育園児から、小・中・高までの一貫コンピュータ教育を行っている。
地区公民館などで子どもから高齢者までを対象としたコンピュータのセミナーを
実施している。
小鳥谷中学校では、コンピュータ利用教育を通じて読売教育賞優秀賞を受賞した。
奥中山農協ではFAXで市況情報の提供や野菜出荷数量の予約も行っている。
情報処理設備を地元に定着させ長続きさせるには、ニーズが必要である。
情報処理技術者の人材確保のため、専門学校の設置を考えている。
また地元に情報産業を誘致し、産学官の連帯をはかりたい。
医療と保険福祉にネットワークをつくりたい。遠隔健康管理システムや
健康データの情報共有化をめざしている。
レセプトが一元管理できれば、病院のはしごということもなくなるだろう。
しかし、カルテの公開に医師が消極的であるように情報公開の壁は多い。
医療保険についても、国保と共済組合などあって、それらのデータベースは別の
ものとなっている。社会制度が縦割りになっていて情報化をすすめるのに乗り越え
なければならない問題は多いが、社会はそれを解決する方向に向かうだろう。
しかも、情報処理技術者不足を地元に専門学校を作って解決しようという
スケールの大きいこと。やがては地元にソフト産業を育成して若者を
定着させる計画です。国民健康保険のデータベースを作ろうとしたら、
共済保険のデータペースと別データになっていることに気がつき、
国の縦割り行政の矛盾を指摘していました。
インターネットでもこの壁はありますね。だんだん壁は壊される。
鳴海正人(県体育協会)さんの講演
ハンディキャップをもつ人のトレーニングに独自のアイデアを出し
新製品が続々誕生。インターネットに載せることにより、全国から
問い合わせがあったという。
鳴海さんは岩大人社学部の体育のO先生の先輩に当たるそうです。
O先生とは学内で会ってよく挨拶します。
斉藤健司(岩手医大)さんの講演
一戸町長さんの指摘のように、日本では縦割り行政がどこにもある。
インターネットの世界も、我々国立大学は文部省のSINET、
そして一般の商業ネットとは別組織。盛岡市内にいるI大学のK先生と
A社のTさんと共同研究をして、連絡に電子メールを送っても
いったん東京まで送られて、そこで違うネットワークに送られ
また東京から逆戻りして盛岡に帰ってくる。電気だから早いけど
実は往復1000キロの道をいつも通っている。
ばかばかしいし、盛岡市内を結ぶルートができたら効率はよいし
バックアップ経路も確保される。ということで岩手大学情報処理センターが
中心になり、このような研究をしています。ネットワーク最前線。
Q1.実際にIXの実験をしていますか?
A1.まだです.これから希望的観測のあるISP1社と実験を始めたいと
考えています.
Q2.国内でこの実態(一極集中)を変えるのは無理じゃない?
A2.縦割り構造や過当競争の中ではなかなか難しいと思いますが,
誰かが音頭を取らないとだめだと思います.
(私もメンバーに入れていただいていますが、専門用語はちんぷんかんぷん)
小原 修(林業技術センター)さんの講演
仕事がら、外にコンピュータを持っていって使うことでは
岩手県でも一番とか。モバイルですね。
GPSも実際に使うと受信できなかったり、
数百メートルの誤差で違う沢を歩いていたりする
という現場の苦労話をしていました。
こんなにコンピュータ使いの方が、今のPCは使いにくい
こんなPCはもうたくさんと述べていたのが印象的でした。
関洋一(ザ・オフィス関)さんの講演
ホームページを開設しても、半年も更新しないのはどうかと思う(私も同感)。
ホームページはやはり何のためにという目的が大切。自分はコンテンツを
日頃から育てていて、協力者(ばっくん)に電子メールを送ると、
彼がちゃんとhtml言語で作ってくれ、それを修正することで完成し、自分
のホームページは今日も活性化しているというお話でした。
ホームページに載せる内容は、出処を明らかにし、
数量や時間も明らかにし、目的や性格も把握しておこうという指摘は、
まことにそのとおりと思いました。ホームページの目的や性格づけを
きちんとしてから公開したということに関連して私は考えることがありました。
歴史観などの例のように、見る人の立場や年代や性別によって、
事実は1つでも、それをどう理解するかは千差万別。
そこで、伝えたい事実があるなら、それをそのままホームページに載せ
その記事の判断や活用は読者にまかせるのもいいのではないかと
よけいなお世話的感想を述べてしまいました。(関さん、すみません)
ある人のホームページに対して、別な見方のあることを電子メールでもらっても
いいし、そういう風なコミュニケーションをとりながら、みんな認識が深まる
ということもあるかと思うのです。
さて、協力者がいるのはとてもいいこと。
<私もホームページに岩手県の歴史散歩シリーズを載せています。
キーワードで検索できるように作ってくれたのが、先に紹介した岩手医大の斉藤さ
ん。
もともとは岩手大学のネットワークニュースに連載した記事です。
協力者はありがたい。自分でも調べたいとき歴史散歩シリーズの検索を使います>
石澤祐治(桜町中学校)さんの講演
新100校プロジェクトを新任早々の学校で引き継いだ。
話せばわかるコンピュータの会のメンバーとの情報交換や技術支援が
ありがたい。
インターネット利用として生徒たちがカナダ在住者と英語の電子メールの交換を
した。また中学校卒業生(OB、OG)との間で電子メールの交換をした。
教師だけでなく生徒にもホームページ制作に参加させた。
コンピュータを利用して教育に効果をあげている人たちの
研究会があり、そこで定期的に会誌を発行している旨を紹介しました。
この研究会がCIECであり、私はCIEC主催のPCカンファレンスにも
参加しているわけですが、
はたしてCIECに興味を持ってくれた人がいたでしょうか。
後で石澤先生にCIEC会誌を送ってあげた方がいいかなと思ったのでした
佐藤清忠(話せばわかるコンピュータの会の会長)さんの講演
一関高専の先生ですが、岩手大学時代にもマイコン研究会を作り
会長だったのです。岩手大学が岩手のインターネットを作るとき、技術の
世話人の人はたいていこのマイコン研究会メンバーだったことを知りました。
ボランティアとはいいながら、日常活動を続けて普段から足腰の強い組織を
育てています。岩手県や地元企業の協力があるが、会員の熱意と献身が
県南のマルチメディアの能力を高めています。
佐藤徳男(狐禅寺公民館)さんの講演
千葉敏浩(老松公民館)さんの講演
どちらも、地域のマルチメディアの潜在能力を高めるため、話せばわかる
コンピュータの会の協力を受けて、講習会などを定期的に行い成果をあげて
いました。
感心したのは、このフォーラムの前に中学生に歴史クイズを
そして、フォーラムの講演の際に、講演者のホームページを
出題していました。それも、離れた数カ所の公民館を結んで。
(テレビ電話もできることを見せていた)
インターネットで見せていたのには本当に感心した。
当たり前のように思うかも知れませんが、何度かインターネットの学会や
発表会に参加して、画面が暗くて見えにくかったり、ソフトや端末機器の
仕様の違いなどでうまくホームページが見えないことがよくあったので
一度も問題なく処理しているのには感心しました。
私が7月に半田市で発表したときも、会場で係の学生たちが走り回って
なんとか画面を見られるようにしていたのです。
こちらは、平泉町長さんや一関郵便局長さんや県の関係者、毛越寺のお坊さんも
来られていました。
平泉情報交流会の写真
こちらもすごい。
深夜まで語り合う。鉢巻きをしめて酒を飲むのは、飯場を思わせるものでした。(^^)
話せばわかるコンピュータの会(略して"はなコン")の皆さんはみんなタフですね。
いろいろ書きたいこともあるけれど、岩手県南技術研究センター事務局長の
佐藤守彦さんから「大学の先生も企業との共同研究で儲けて、
高級外車を乗り回すようになってほしい」と言われたことで、国立大学の先生は
個人で報酬をもらえないことになっていると返事したことです。
地元の企業に協力するのはやぶさかではないけれど、我々の仕事としては
立派な論文を書いて、卒業生の研究指導や技術の相談にのれればいいと思います。
それにしても能力のある先生には、会社との共同研究をどしどしやってもらい
研究費も研究室だけでなく先生個人にも入ってくるような制度があってもいいですね。
また佐藤守彦さんは、Windows3.1の機器では古すぎるから
Windows98に変えてほしいと盛んに攻められていましたね。
予算をつぎこんで新しい機械を導入しても、2〜3年たったら古くなってしまう。
やはりシステム更新をあたまにおいた予算計画が望ましいのですが
なかなか予算がつかないのでしょう。
大学もその問題を長い間かかえて悩みました。
今は情報処理センターの予算がレンタルで認められるので
4年たったら新しくなります。
私は古い機械でも使いこなして教育に効果をあげるよう努力しています。
まだDOSマシンも使っています。
大学や小中高校どこでも、ハードウェアやソフトウェアの管理に手間がかかったり、
更新に手間がかかって悩んでいます。
日常的なメンテナンスはもはやボランティアだけでは間に合わず、
定常的に対応できる組織づくりが大切ということに気がつきます。
私もいろいろ体験してきましたが、岩手大学は岩手県内で最先端あたりを走っている
のではないかと思いました。
インターネット導入の際の技術導入、管理から運営支援までの組織作り、
ボランティアの協力体制と、うまくいっていると思います。
(それぞれ問題がないわけではありませんが)
他の組織も、みなネットワークのハードやソフトの問題、機器やソフトの更新、
日常世話する人のことなど、問題点は共通ですから。
お互いに交流を深めて、情報交換したり知恵を出しあうのは良いことです。
そして、岩手大学を中心にCOZMIXがIXの研究をして実施に向かっている
のは心強いことだと考えます。たえず前進する力。