石器
日本にもあった旧石器 前・中期旧石器遺跡捏造事件から3万年以前の石器については慎重になっているが すくなくとも3万年前の後期旧石器については確実に存在したものとされ 研究が続いている。 その石器の材料であるが、黒曜石が多いようだ。 アメリカの外科医の中には黒曜石をメスの代わりに使用することもあるという。 しかし、黒曜石は切れ味はよいが、ガラスのように割れやすい性質もある。 より強度のある旧石器では、ヨーロッパのフリントストーンや、日本の硬質頁岩がある。 黒曜石は鉱物学的には黒曜岩である。 黒曜岩 obsidian ガラス光沢を有する流紋岩(石英粗面岩) デイサイト(酸化珪素SiO2に富む火山岩・マグマのこと)質のガラス質火山岩 要するにマグマからできたガラスで、十勝石と呼ばれる北海道十勝のものや 長野県和田峠に産するものが有名。 色は黒の他に赤や灰色の石もあるが、成分にFe2O3が多く含まれると赤くなる。 江戸時代から「漆石」「黒羊石」「雷公墨」「烏石」「唐墨」「星糞」などと 呼ばれていたから昔から知られていた石であるが、石器と結びつけられたのは 明治になってからである。明治11年、東大理学部助教授和田維四郎(つなしろう)が Obsidianの訳として黒曜石をあてた。 堤隆:黒曜石3万年の旅、NHKブックス(2004)