jade 玉(ぎょく)
中国で古代からもてはやされた。おもに今の新疆ウイグル自治区崑崙山麓のホータンでとれ、 玉門関を通って皇帝のもとにもたらされた。 jade には軟玉と硬玉とがある。 軟玉は角セン石の微細結晶の集合物であるネフライト nephrite である。 モース硬度6〜6.5 硬玉は鉱物学的にはヒスイ輝石(ジェダイト jadeite)の微細結晶の集合物である。 モース硬度6.5〜7 硬玉は半透明、不透明だが良質のものは透明に近くて、希少価値があり珍重された。 ヒスイは、古くから中国や朝鮮、日本において珍重されてきた。 通常ヒスイと呼ぶ場合は、本ヒスイつまり硬玉を指す。硬玉は中国に産せず、 ビルマ(現ミャンマー)北部のカチン州が主な産地である。 硬玉はこのほか日本(新潟県、鳥取県)、ロシア(シベリア)、アメリカのカリフォルニア州 でも産出される。 中国では、殷・周時代より清朝時代まで玉や玉器を珍重してきた。 れらは軟玉であり、その主産地は新疆ウイグル自治区のホータン地区である。 そのほか軟玉の産地にはニュージーランド、シベリア、アラスカ、カナダ、 アメリカのワイオミング州、台湾などがある。 本来翡翠とはカワセミの中国名のことであり、羽根は緑色、腹は赤色、 背から尾にかけて青色であり、各色をもつという意味でこの名前が使われた。 翡は赤色を、翠は緑色を示し、それらの2色をもつ硬玉および軟玉を翡翠玉と呼んだが、 いつしか翡翠が石そのものの名前となった。 翡翠には緑色だけではなく、白色、黄色、橙色、赤色、青色、ラベンダー色、黒色 などがある。 中国では、白色や緑色の軟玉が主流であって、硬玉が用いられるようになったのは 明・清時代以降のことである。それらの硬玉は雲南、ビルマ産のものとされている。 朝鮮半島にはヒスイの産地はないので、古墳から見つかるヒスイの勾玉(まがたま)は 日本から移入したものではないかと思われる。 「魏志倭人伝」に倭の特産物として記されている「青玉」や、中国に贈ったとされる 「青大勾珠」は日本産の硬玉であろう。 本物の翡翠は中国と朝鮮半島には産しない。だから、翡翠の漢字を当てた中国では ずっと軟玉をさしていたのに、明代以降になって翡翠のことがよくわかってきて 硬玉を珍重するようになったのであろう。そして、本当の翡翠の鉱石成分も明らかに なったのである。 ドイツ人モースの考案したモース硬度計 モース硬度と標準鉱物名 1.滑石(タルク) 2.セッコウ(石膏) 3.方解石 4.蛍石 5.リン(燐)灰石 6.正長石 7.石英 8.黄玉 黄色トパーズは宝石 9.鋼玉(コランダム) アルミナ結晶、美しいルビー(紅玉)やサファイアは宝石 10.ダイヤモンド 金縷玉衣(きんるぎょくい) 翡翠展 翡翠展 翡翠展