授業を魅力的にする作戦(教員編)
いつも富山大学(筒井洋一先生、向後千春先生)からおくられてくる
げんごひょうげん
その中で、授業を魅力的にする作戦(教員編)
のまとめの表がありました。
うまくまとめられているので、紹介しましょう。
げんごひょうげん No.7 1999 富山大学言語表現部会 1999年度報告書
■注意(Attention)<面白そうだなあ>
A1 目をパッチリ開けさせる(知覚的喚起 Perceptual Arousal)
・教室の環境をそれらしく整え、授業に対する「構え」ができるように工夫する
・眠気防止の策をあみだす(コーヒーブレイクをいれる、息抜きの体操をさせる、音楽をかける)
A2 好奇心を大切にする(探求心の喚起 Inquiry Arousa)
・なぜだろう、どうしてそうなるのかという疑問や驚きを喚起するように工夫する
・今までに習ってきたことと矛盾するようなことを提示する
・自分で応用問題を作らせ、それを解かせる
・不思議に思ったことをとことん、芋づる式に調べさせる
・自分とは違ったとらえかたをしている仲間の意見を出し合わせる
A3 マンネリを避ける(変化性 Variability)
・ときおり授業のやり方や環境を変えて、気分転換をはかるようにする
・飽きる前に別の作業をさせ、少し時間をおいてからまた取り組ませる
・学生に勉強のやり方を工夫させ、それを楽しませる
・ダラダラやらずに時間を区切って始める
■関連性(Relevance)〈やりがいがありそうだなあ>
R1 自分の味付けにさせる(親しみやすさ Familiyity)
・自分に関心がある得意な分野にあてはめさせて、わかりやすい例を考えさせる
・説明を学生なりの言葉で(つまりどういうことか)言い換えさせる
・今まで勉強したことや知っていることとどうつながるかをチェックさせる
・新しく習わせることに対して、それは○○のようなものという比喩や「たとえ話」をする
R2 目標を目指させる(目的指向性 Goal Orientaion)
・与える課題を受け身にこなさせるのでなく、自分のものとして積極的に取り組むようにさせる
・自分が努力することでどんなメリツトがあるのかを考えさせ、説得する
・自分にとってやりがいのあるゴールを設定させ、それを目指させる
・課題自体のやりがいが見つからない場合、それをやりとげることの効用を考えさせる
たとえば、評判があがる、報酬がもらえる、肩の荷がおりる、感謝される、苦痛から開放される
R3 プロセスを楽しませる(動機との一致 Motive Matching)
・学生の得意な、やりやすい方法でやるようにする
・学生のベースで勉強を楽しみながら進めさせる
・勉強すること自体を楽しめる方便を考える
たとえば、友達(彼女/彼氏)と一緒に勉強させる、友達と競争させる、ゲーム感覚で取り組ませ
る、後輩に教えさせるなど
■自信(Confidence)<やればできそうだなあ>
C1 ゴールインテープをはらせる(学習要求 Learning Requirement)
・努力させる前にあらかじめゴールを決めさせ、どこに向かって努力するのかを意識させる
・何ができたらゴールインとするかをはっきり決めさせる
・現在の自分ができることとできないことを区別させ、ゴールとのギャップを確かめさせる
・当面の目標を「高すぎないけど低すぎない」「頑張ればできそうな」ものに決めさせる
・自分の現在の力にあった目標がうまく立てられるようにさせる
C2 一歩ずつ確かめて進めさせる(成功の機会 Success Opportunities)
・他人との比較ではなく、過去の自分との比較で進歩を認めさせるようにする
・失敗は成功の母:失敗しても大丈夫な、恥をかかない練習の機会を設ける
・千里の道も一歩から:可能性を見極めながら、着実に、小さい成功を重ねさせる
・最初はやさしいゴールを決めて、徐々に自信をつけさせる
・中間目標をたくさんつくり、どこまでできたかを頻繁にチェックさせて見通しを持たせる
・ある程度自信がついたら、少し背伸びをした、易しすぎない目標にチャレンジさせる
C3 自分で制御させる(コントロールの個人化 Personal Contro|)
・やり方を学生に決めさせ、「幸運のためでなく自分が努力したから成功した」といえるようにする
・失敗しても自分自身を責めたり「能力がない」「どうせだめだ」などと考えさせない
・失敗したら、自分のやり方のどこが悪かったかを考えさせ、転んでもただでは起きないようにさせ
・うまくいった仲間のやり方を参考にさせ、自分のやり方を点検させる
・自分の得意なことや苦手だったが克服したことを思い起こさせ、やり方を工夫させる
・何をやってもだめという無力感を遊けるため、苦手なことより得意なことを考えさせる
・自分の人生の主人公は自分:自分の道を自分で切り開くたくましさと勇気を持たせる
■漢足感(Satisfaction)<やってよかったなあ>
S1 無駄に終わらせない(自然な結果 Natura1Consequences)
・努力の結果を自分の立てた目標に基づいてすぐにチェックさせる
・一度身に付けたことは、それを使う/生かすチャンスを自分でつくらせる
・応用問題などに挑戦させ、努力の結果を確かめ、それを味わわせる
・本当に身についたかどうかを確かめさせるため、だれかに教えさせてみる
S2 ほめて認める(肯定的な結果 Positive Consequences)
・困難を克服してできるようになった学生に何かプレゼントを考える
・喜びをわがちあえる人に励ましてもらったり、ほめてもらう機会をつくる
・共に戦う仲間を持たせ、苦しさを半分に、喜びを2倍にする
S3 自分を大切にする(公平さ Equity)
・自分自身に嘘をつかないように、終始一貫性を保たせる
・一度決めさせたゴールはやってみる前にあれこれいじらせない
・できて当たり前と思わず、できた自分に誇りをもち、素直に喜ぶようにさせる
・ゴールインを喜べない場合、自分の立てた目標が低すぎなかったかをチェックさせる