Faculty Development

Faculty Development 教育業績の評価 講演会に参加してきました。
学長、学部長も参加。
その内容は
・講師阿部和厚教授のこの分野の仕事の背景      5分
・北大の点検評価の流れ              15分
・ワークショップ型FDの設計・実施・効果     10分
・学生参加型授業                 10分
・教員の総合評価 教育業績(+管理運営、社会貢献)30分
・進行中の教育改善                10分
でした。 (最初に配分時間も示すのはえらい 私もこの方式をとりいれたい)

北海道大学での教員の総合的業績評価のページ

簡単な講演メモ

大学は社会のニーズに基づき、学生の教育のために存在する機関である。
その理念・目標の実現のために方略があり、その教育結果の評価を受けて、
反省のもとに、再び新たな理念・目標、方略が提案されることになる。
そして、理念・目標には基準があり、評価というものは、この基準にてらしあわせて
行わねばならない。
北大をどのような大学にするか
北大の教育機能を十分に発揮するには、どのような改善計画、企画をするか
北大の理念・目標を実現するための具体的提案
北大の売りをつくる企画

なされた教育業績のデータベース化、つまり業績評価はWWWに掲示される必要がある。
そこには、日常の教育活動や関係資料も具体的に提示されていると、参考になる。

大学の主役である学生による、教育業績評価が必要である。北大では以下の手順でしている。
 学生の自己評価(自分の学習に対する姿勢など評価)
 学生による授業評価
 教員による学生評価
出席の良い学生、良くない学生に評価の差はない。
阿部先生は、学生アンケートで、意欲はあるが発言しないという消極的な学生は
矛盾していると述べた。しかし、これは日本人の典型的特性であろう。

シラバスは標準化されるべきである。学生もそれを参考にしてよりよく学ぶことができる。
北大も、しだいに全学部のシラバスが整ってきた。

業績としての授業時間はシラバスに書かれてある時間ではなく、実際にした時間とする。
たとえば臨床の教授の場合忙しいから、たいていは助手に手伝わせている。
実際に教授が1時間しか授業を行わなかったら1時間と報告する。
そして、その間に手術などで使われた時間を、別項目で何時間と報告する。

教育としては、講義だけではなく、学生の授業外指導は大事だから、業績評価の
資料とする。特別学習指導もある。

教育改善への積極的行動、努力の記録は意義がある。
それは教育をする者の努力のデータと同時に、他の教育者の参考資料にもなる。

学生の課題探求能力の育成がよく言われる。
北大では、一般教育実習(1年生、20人クラス)の科目があり、120クラス
の中から選べる。少人数教育なので、希望人数を越えたら第2希望に移動する。
阿部先生の場合、数名の教官で担当し、阿部先生が受け持つのは5〜10名
程度である。医学とことば 学生グループにテーマをえらばせ、自分で調べて
発表させる。コミュニケーション技術を学ばせる。

他にも阿部先生は、医学専門の学生に自分で調べさせる方式の講義をしている。
医学史の中で、歴史上の人物を選び、その人物が過去および現在において
どのような影響を与えたかしらべて、みんなの前で発表する。
どこの本にも書いていないことなので、自分で調べるほかはない。

これらのことは、一方通行にならないで、自分たちでテーマを見つけて発表する
ものであるから、学生の啓発をうながすことになる。

学生参加型授業
調査研究 文献
     人物インタビュー
     現場取材
共同作業 → 成果 個人レポート・グループ発表
役割分担 リーダー、記録係、発表係、発表資料作成係
互いに影響しあうことて多くの多様なプロダクト
教師は、ガイド、コーチに徹する

教育業績
A.教育指導に関わる実績
 1 教育経験年数
 2 最近5年間の担当科目
 3 教育指導の実績 科目、時間、単位数、受講学生数、講義資料など
   卒業論文指導 単位数、直接面談指導時間、指導人数
 4 時間外学生指導 クラス担任、特別学習指導、工場見学、クラブ活動指導時間
 5 大学院教育 指導年数、修士課程科目、博士課程科目、担当大学院生数、論文審査数
B.教育改善への積極的行動
 1 教科書、翻訳書、教育改善の論文、メディア教材
 2 教育に関するFDへの積極的参加 教育活動に関する講演、発表、研修会担当、受賞
 3 教育に関するFDへの受講参加
 4 社会人学習への対応 一般社会人対象(公開講座)、高校生など啓蒙、大学紹介資料
 5 専門性と関係した作品 文学作品、芸術作品、建築作品など
C.教育改善への積極的行動、努力の記録

最後の質疑応答

印象的なことをメモ書きで紹介しましょう。
・学部によって学科によって、価値判断は異なるから、一律の基準で教育業績を
 評価するのは困難であろう。
 しかし、たとえば4段階評価(A良い Bやや良い C直すべき点が少しある
 D悪い)というような評価はできるだろう。
・それぞれの大学には目標(○○大学の教育像)があるはず。
 それに基づいて、学部を越えたコアカリキュラムがあり、それの実践としての
 教育各論があるはずである。
・日本の学生の消極性にくらべて、米国の大学生の学ぶという意識は高い。
 米国の大学生はよく質問をする。日本の大学生の意識改革をさせるような教育が必要。
・データとして出てきた教育業績のほかに、目に見えない面があるのではないか。
 たとえば卒業後に評価が変わるということもある。
・これからの先生は教育にインターネットを使わないといけないようです。
・こうして出てきた教育業績の評価データがすぐ給料に反映するというのは難しい
 (違う分野を同じ基準で評価できない)。
 またそうなったら、ある基準わくのもとに教育がおしこめられて、
 自由な発展は期待されなくなる。
・いろんなことの訓練(この講演会のような)をうけながら教官が反省と発展して
 いくと、学生にとっては良い教育環境が整うから、効果があるはずである。
・教官にとっても、自己研鑽、自己発展というメリットがあるのではないかと思う。

    講師の阿部教授

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