世界人名ものがたり その4

梅田修:世界人名ものがたり、講談社現代新書1437
これを参考にしながら、自分のおそまつ知識も加えて書いていきましょう。

イギリス建国の祖、征服王ウィリアム
征服王ウィリアム(William 在位1066-1087)は、イギリスで John についで
人気のある男性名。
ウィル(Will)、ウィリー(Willie)、そしてビル(Bill)やビリー(Billie)などが
短縮形となる。

米大統領も正式な名前は William Jefferson Clinton であるが、
一般には Bill Clinton で通っている。

ウィリアムはドイツ語ではヴィルヘルム(Wilhelm)である。

征服王ウィリアムにあやかる英語名 William はノルマン的であるが、
本来はフランク人に人気があった名前である。
フランス語ではギヨーム(Guillaume)となる。

フランス南西部のアテキーヌ公国ギヨーム1世(在位898-918)は、910年に
ベネディクト修道会に修道院を寄進し、自らも修道士となった。
彼が寄進したクリュニー修道院は中世キリスト教の発展の原動力となり、
ギヨーム1世はこの功績により聖者に加えられた。

ロバート、ロベール
イギリスの男性名ロバート(Robert)はウィリアムと同じく、フランク的な名前だが、
中世後半にはノルマン的な名前として人気が出た。

カロリング王家と対立し、同王家に次いでフランスを一時支配したロベール家の
先祖は、後のノルマンディー地方となるフランク王国西部のロベールという男だった。

10世紀から14世紀までフランスを支配したカペー王朝の創設者
ユーグ・カペー(Huges Capet 在位987-996)は、ロベールの曾孫である。

シチリアや南イタリアを征服しシチリア王国の基礎を築いたロベール・ギスカール
(Robert Guiscard 1015-1085)も、ノルマンディー公家と親戚にあたるとされている。
彼は、教皇と神聖ローマ帝国皇帝の叙任権闘争において、神聖ローマ帝国
ハインリヒ4世に占領されたローマからグレゴリウス7世を救出した。