舞姫エリスの真実

『鴎外の恋 舞姫エリスの真実』(六草いちか著、河出文庫)では、 著者が発掘した資料(教会簿の出生記録、洗礼記録)により決定的な新事実が明らかにされているので、 「エリスの正体探しは、これにて一件落着」といってもいいほど、説得力がある。 著者の結論は、「エリスは、1866年9月15日生まれのエリーゼ・マリー・カロリーネ・ヴィーゲルト」である。 鴎外に出会った時は、20〜21歳。 父親フリードリッヒはベルリンの銀行員であったが、エリーゼが14歳の頃、他界したため、 エリーゼと妹・アンナは裁縫で生計を立てる母・マリーの女手一つで育てられたというのだ。 さらに、ドイツに帰国後のエリーゼが帽子製作会社の意匠部に勤めたことも突き止めている。


舞姫エリスの真実