某大学の機械工学科の先生が学生にアンケートをとった報告がありましたので
紹介します。
・現在コンピュータがこれほどまでに発達し、データを打ち込めば画面に図面が
できあがってくる時代に、手書きでしかも時間のかかる製図書きというものに
どれほどの価値があるのだろうか。
(先生のコメント)CAD教育に対する誤った知識がよくあらわれている。
CAD教育の限界については私の論文を見てほしい。
(私宮本のコメント)やはり最初は自分で書かなくては製図の約束ごと
などが理解できないと思う。少しわかってからならCADもいいだろう。
・勉強をしなくても単位をくれる教員の存在は大学に入学してショックだった。
というのは、授業に熱心さを見せない教員が非常に多いからである。ひどいケース
になると休講ばかりだったり、教科書丸写しの教員がいるのは大学を甘く見る原因になる。
(先生のコメント)痛烈な本学科の教育批判だ。この回答を同僚教員に見せたのに、
知らんふり。
(私のコメント)新聞に出ていたが、ある作家が某大学教育学部の非常勤講師
を勤めたとき、申告した学生には出席欠席に関係なく単位をつけたことを学生から抗議
されたと書いてあった。その非常勤講師の作家はそれでよいという考え方だった。
このアンケートからもやはり無責任な非常勤講師といわれるのではないか。
・毎年ほとんど変化しないテストや授業中にやった問題しかでないテストでは
先生がさぼっているとしか思えない。教科書の文字を黒板に写して90分終わる先生もいる。
(私のコメント)なかなか真面目な回答だと思う。だが、たいていの学生は
傾向と対策にそった教員のテストを評価しているのではないかと思う。
・今までは学生に簡単に単位を与える先生が良い先生だと思っていたが、そうで
ないことがわかった。
(私のコメント)この先生の真面目な論文を読んだ学生の感想である。
しかし、これは考え方であって、簡単な先生もいれば、なかなか単位を与えない先生
も同じ大学にいることが世間の反映ともいえることではないだろうか。
・いいかげんな単位のやり方をする科目をなくしてから、学生に文句を言ってほしい。
・学生全員に機械についての興味を持たせることは無理でないかと思う。
(先生のコメント)機械工学科に入学したのが間違いであった学生であろう。
今からでも遅くない、さっさと転校した方が身のためであろう。そして、そのような
意識を持っているからこそ留年するとも考えられる。
(私のコメント)機械にそんなに興味が無くても、そこそこに勉強して
単位を取って卒業できたら、それもいいのではないだろうか。卒業生にはいろんな
タイプがあった方が学科も卒業生も発展すると思うのだが。ここがいかにも建設工学
科的な考え方だろうか。
・大学はこれだけの場ではないと思うのです。サークル、アルバイトなどの活動も
大切ではないでしょうか。
(先生のコメント)いかにも現代っ子というところが良く出ていると思う。
筆者なら自分の飯の種を優先順位第1位にするが。
(私のコメント)できたら、勉強の他にサークル、アルバイトの体験も
将来のものの見方、考え方の広がることはあると思う。しかし、本業をおろそかにして
しまえば、サークルもアルバイトもない。
(牧博司、留年についての私見:東京理科大学の一事例、工学教育 46巻2号 1998年3月)