カメムシの臭いは嫌われる。虫のにおいは強烈なものがある。
ところが、たで食う虫も好きずき。
中国南部や東南アジアでは、タガメは美味しいものとして好まれるという。
タガメが珍重されるのはよいにおいを出すからで、それは胸に開孔する2つの
細長い袋状の器官に由来する。タガメは、蒸したり、煮たり、焼いたりして食べる。
料理に独特の風味を与えるスパイスやソースとして用いられるそうだ。
タイワンタガメのオスの腹線から性フェロモンが抽出された。
カメムシの分泌液でアリたち逃げ出す。アリにこの分泌液を塗りつけると
麻痺がおこったり、ひどいときには死亡する。しかし、オサムシやカマキリは
平気でカメムシを食べてしまう。
アブラムシの一種のボタンヅルワタアブラムシの一齢幼虫の中に、他とは違う
前脚と中脚が異常に太くがっしりした形のものが混じっていた。
観察すると、これは同じ親から生まれたアブラムシであるが、仲間のために
外敵と戦う兵隊の役割のアブラムシであった。彼らは一齢のまま脱皮も成長も
しないで、仲間を守るため死んでいくのだった。
不思議な昆虫社会の例(北大大学院生の青木重幸氏の研究)
オオスズメバチとニホンスズメバチとセイヨウスズメバチの3すくみ
オオスズメバチがニホンミツバチの巣にやってくると、数百匹のミツバチが
オオスズメバチの体におおいかぶさり、侵略者を倒す。
しかし、セイヨウスズメバチは集団で戦うことを知らず、単独でオオスズメバチ
に向かっていくため、たちまちかみ殺される。セイヨウミツバチの養蜂家は
全国いたるところでオオスズメバチの被害を受けている。
おっとりしたニホンミツバチは新しく来たセイヨウミツバチにすみかを追われ、
養蜂家からも、効率のよいセイヨウスズメバチが好まれたため、在来の
ニホンミツバチは山野にほそぼそと巣を作っている。
最近ではセイヨウミツバチよりも低い温度で活動するから、低温期に開花する
ウメやスモモなどの果樹の受粉に役立つことがわかり見直されている。
最近日本本土に定着した蝶
誰かが話したホソオチョウはともかく、九州に定着が確認されているのは
カバマダラとタテハモドキである。やはり温暖化の影響であろうか。
ホタルは光るのはオスだけで、メスは光らないと思っていたけれど
観察してみるとメスも光ることがあるという。
小川のそばでオスが光りながら飛んでいる。メスのいる場所から15センチメートル
のところの葉にとまり、不規則にぱっと強く点滅する光を出してメスに近づいて
いった。
さらに10センチメートルのところに移動してそこで止まってから、ぴかぴかと4
〜6回(約15秒)いわゆるフラッシュ発光を繰り返す。
10秒休んでまた5回光った。すると2度目のフラッシュ発光の時、メスがぴかっと
1度だけフラッシュ発光して光った。
とたんにオスはメスに近づき結婚が成立。 しかし、いくらオスがそばで光っても、
メスがフラッシュ発光で応えないと、オスは何度でもフラッシュ発光を繰り返して、
メスのそばに近づこうとしない。
つまりメスも1度光る。
アメリカにも大型のホタルがいる。この大きなホタルのメスは、自分たちの仲間の
オスに光信号を与えることは日本と同じ。ところが、このアメリカのホタルは、
他にも技がある。
すなわち別の種類のホタルのメスの光信号のまねができる。メスが休んでいると、
他の種類のホタルのオスが飛んできて近くで発光の合図をしているのを見て、
偽のメスのフラッシュ発光をするという。
とたんに別の種類なのにそのオスが近寄ってくる。そこには自分たちのメスとは
似つかぬ巨大なホタルのメスが待っている。
そう、大きなメスのホタルは、おびきよせたあわれな別種のオスを餌として食べて
しまうのだった。
参考にしたのは、梅谷献二編、虫のはなし(全3巻)、技報堂でした。