無性生殖と有性生殖

1950年代以降、カエルの卵核を体細胞核で置き換える実験が行われてきた。
これらの研究は、「分化の仕組みを知りたい」という好奇心から行われたのだが、
それが、ク口−ン動物を生むことになってしまった。

 研究者の中には、卵(母)細胞の核を、体細胞核と交換して、子供をつくる現象を、
「無性生殖」と呼んでいる人がいる。これは間違いである。
 動物の生殖には、生殖細胞が行う有性生殖と、体細胞が行う無性生殖がある。
有性生殖には、卵が受精しないで発生する処女(単為)生殖もあるが、
これと無性生殖を混同するようでは、生物学の素養が疑われる。そんな専門家がいるとは(絶句)。

 ク口―ン動物は、生殖細胞(卵)の細胞質と体細胞の核が一緒になって
通常の有性生殖の発生過程を経てできるから、これは有性生殖に属するものである。

 そして、無性生殖は自然界で日常ごく普通に行われている。イソギンチャク、ヒドロ、
ゴカイ、コケムシ、カイメン、プラナリア、ヒトデ、クラゲなどに見られる。
  (国立科学博物館ニュース第405号のクローンと無性生殖を参考に)

有性生殖  生殖細胞が行う有性生殖、処女(単為)生殖、クローン
      要するに卵細胞の発生が見られるものすべて
無性生殖  体細胞が行う無性生殖 (ジャガイモの増殖も挿し木も)