私の場合、半期ごとの講義の最終回に無記名で、その講義の感想を書かせます。
良かった点、悪かった点、どうしたら改善されるか具体的な提案
等書かせると、あんがい健全な意見が述べられたりします。
たとえば、開始20分後にドアの鍵をかけて遅刻者は入れないという件は、
7割以上の学生がよいと回答しています。
彼らの提案の中で実行しているものもあります。
それとは別に、学科あるいは大学で行う講義のアンケート調査もあります。
「構造力学2」 毎週の小テストはおおむね好評だった。
ここでは、平成16年度後期に学科で行ったアンケートについて、特に感想を
とりあげて、私がどう対応したかを披露しましょう。
黒板の字をもっと大きく書いてほしい、書き写すまで消さないでほしい
というアンケートも数件あった。
もっとわかりやすく説明してほしいというものが4名ほどいた。
ここ30年以上も同じ科目を教えていて、私がマンネリになっている
「建設設計製図」 3年生の演習(講義をする)で試験はしないで
かもしれないが、学生の学力そのものが低下しているような印象である。
計算力が足りない学生が増えた。家で復習する時間が不足と思われる学生が
目立つ。わからないという学生には、たとえば家で毎週何時間復習しているか
という質問をして、自分でももっと勉強しなくてはいけないと反省させる
必要がある。
黒板の字はなるべく大きく書くようにしている。また、全員が写し終わるまで
待ってから消すようにしている。
同じことを5回くらい繰り返して説明しないと理解できない学生もいるので
大事なことは、何度も繰り返して説明している。
結局、講義の時間をできるだけ利用して説明することが大切なので
講義開始直前から教室に入り、小テストも時間いっぱいあてるほか
次の講義の休憩時間にまでくいこむこともある。
質問に対してはその都度答えるようにしているし、電子メールででも受け付ける
し、典型的な質問は他の学生の参考のためにもホームページに回答も載せている。
宿題を出したり、最終の設計製図提出で成績をつけている。
添接の具体的な計算例の紹介は好評だった。具体的な説明は理解しやすい。
建設工事などのビデオを何度か見せたのも好評だった。
説明が難しくて、もっと詳しくわかりやすく説明してほしいというものや
黒板に書く量が多くて写すのに忙しいというものが合計すると8件くらいあった。
教科書の間違いを指摘したり、講義と教科書との関連を質問するものがいた。
先輩の就職活動のスピーチを、次年度の彼らの就職活動ために取り入れているが
これは好評であった。
設計の理論は、構造力学に比べるとむずかしい。
構造力学はまさに理論のかたまりであるが、設計の理論は力学だけでなく
材料の特性や製作の条件や経済的なことや維持管理のことなど様々な要因が
入ってくるので、経験的なものになってしまうから。
したがって、受講する者としての心構えは、構造力学を理解するような理解の
しかただけではなく、理由はよくわからなくても経験法則として受け入れるのだ
という学習態度も必要ということを説明する。
講義の内容がそういうわけで広く深いため、学生によっては理解度に差がつくが
やむをえないものとして、成績優秀者を対象としたレベルの高い講義を続けていく。
そこまで到達しない学生でも、必要最小限の設計計算はできるように教育する。
手作り教科書ついては間違いもあるので、見つけては訂正している。
講義の中で、教科書の記載のなるべく関係のある部分のページや図や表などを
紹介している。
構造力学でも述べたが、最近の学生は積極的にものごとを考える習慣にとぼしい
ものがいるので、講義の初めと終わりに、今回の講義のポイントを板書して
何を学んだかを確認することにしている。
私以外の上級生の話とか社会で活躍する先輩の講演の機会をできるだけ取り入れる。