韓国・北朝鮮・在日コリアン社会がわかる本
    辛 淑玉  シン・スゴ

東京生まれの在日朝鮮人三世が書く
韓国、北朝鮮、在日コリアン社会

日本人の観光客は、目つきに温かみがないから韓国人にはわかるらしい。
日本人は韓国人に比べて感情表現がおとなしく、怒っているのか、喜んでいるのか、
嫌なのか、何を思っているのか理解できないからのようである。
淡々とした表情の日本人は、温かみが欠けているように思われるのだろう。
そういう著者も激情型と自覚しているのに、韓国の市場で日本人と間違えられるという。

日本人の観光客は、韓国ではボラれるという。在日コリアンも同じようにボラれる
そうである。日本人は植民地時代に韓国人のあらゆるものを収奪したのだから、
少しくらい高く売りつけてもかまわないと思っている韓国人もいるようだ。

キムチにつきものの白菜が韓国で大量に収穫できるようになったのは
日本人母と朝鮮人父をもつ「禹(う)長春(ながはる)」のおかげである。
彼は1898年日本生まれの国籍も日本人で東大卒業の後農林省に勤務したが
朝鮮人を父にもつゆえ出世からはずれていた。
1950年に韓国から白菜の品種改良の研究を依頼され、当時は日本の国交のない
韓国に相当の決意で渡っていった。
研究中に母親が亡くなり「必ず戻るから」と日本帰国を頼んだが
朴大統領は、豊かな日本に帰れば2度と貧しい韓国には戻らないだろうと考え
許可を許さなかった。当時の韓国の人々は禹先生の気持ちは知らず、禹先生は
粗末な研究室で泣いていたという。
日本では無名の学者であるが、韓国では教科書にも載っているという。

昔は犬汁(ケジャングク)といっていたが、1988年のソウルオリンピックから
補身湯(ポシンタン)、四節湯(サチョルタン)、栄養湯(ヨンヤンタン)、
ワンワン湯(モンモンタン)などという名に変わった。
ペットの犬ではなく、食用の犬の肉である。高価な食べ物であるそうだ。

韓国の女性は相当数の女性が整形(成形)をしている。
韓国の男性の女性の整形の愚かさを語れば、ブスな女性と毎日いるより
美しい女性と毎日いたいからいいじゃないかと言われるそうな。
女性が「性」以外の能力で生きられる社会の容量が小さいことと関係があると
著者は言う。

韓国への入国審査のとき、審査官が母国語のできない在日コリアンに侮蔑的な態度を
とると、在日コリアンは韓国人が在日コリアンをバカにしていると感じる。
逆に在日コリアンは韓国人をバカにする傾向があるそうだ。
在日コリアンは日本人と同じ目で見て、その経済力で国家を判断するからだ。
だから、日本の経済発展は自分がしたとさえ錯覚している。
何でもお金に換算するものの考え方は問題だと著者は指摘する。
まあ在日コリアンも日本にいて何らかの仕事をしているから、日本の経済発展に
少しは協力したかもしれないと私は思うけれど。

韓国と日本が仲良くなるにはどうしたらよいか。
著者は、それは難しいと考えている。韓国人は儒教精神を尊び、過去にこだわりをもつ。
日本人は、過去よりも、前を向いた未来志向である。それが今日の発展の原動力であろう。
価値観や文化が違うから、それぞれの個性を尊重してつき合うのがよい。
隣だから仲良くしなければならないと考えるのは、日本人の強迫観念であろう。
世界を見ると、隣同士はあまり仲が良くないものである。たとえば、ドイツとフランスは
長い間に何度も戦争をしてきた。仲良くならなくても大人のつき合いをすればよい。
会えば挨拶をし世間話をする。困ったときは助け合い、地震がくれば協力する。
そういう関係がよろしいという著者はなかなか良いと思う。