改正された道交法では、シートベルトや駐車違反など 軽微な交通違反を重ねて、最も短い三十日間免停処分 を受けたドライバーを対象に、(1)座学と適性検査に 加え、駅前の自転車整理など交通安全につながる ボランティア的活動の「社会参加活動」、(2)安協講習指導員 を同乗させて実地の指導を受ける「実車指導」、のどちらか を選択、実行すれば免停処分が取り消されることになった。 出勤ラッシュの慌ただしさが残る朝の盛岡市中ノ橋通の 交差点。県交通安全協会職員と二人でイスに座り、 過ぎ去る車を一台一台チェックしながら、シートベルト 着用調査が進められた。通行人はだれも気付かないが、 これが免停になった男性(23)のボランティア講習 となった。県内で初めての「社会参加活動講習」には、 この男性一人が受講した。県安協によると、約二時間半の シートベルト着用調査を終えた男性は「勉強になった。 運転席はともかく、助手席でのシートベルト着用率が低かった」 と話していたという。 一方、四人が受講した「実車指導講習」では、二人ずつに 分かれた違反者が安協指導員を助手席に乗せて車を運転。 同免許センター内コースを約2キロ走って、これまでの 悪い運転癖を指導員に指摘してもらった。また降りてからは 指導員を交えながら、お瓦いの運転についての話し合いが もたれた。 実車指導を終えた男性は「教習所で習った基本をずいぶん 忘れていることが分かった」と話していた。 初めて実施された違反者講習だが、実車指導を選ぶ人が多い のが特徴的。これは社会参加活動は住居地周辺で行うことと なっているため、免許センターに行く日と合わせ、盛岡地域 以外では、二日がかりになってしまうためと見られる。
(産経新聞 平成10年10月24日)
産経新聞社岩手支局から掲載許可を受けています。