最後のロシア皇帝ニコライ2世

悲劇の皇帝は日本嫌い
訪日時に切られ頭に大けが 大津事件

 ロマノフ朝18代目にあたり、約300年の帝政時代に幕を下ろした二コライ2世は、 皇太子時代の1891年の日本訪問の際に、巡査に刀で切りつけられて頭部に大けがを した。「大津事件」である。以来、大の日本嫌いになった。  なぜ日本に来たか。 それは、ロシアとギリシアの皇太子が長崎の刺青師に東洋の伝説の龍を 彫らせにやってきたから。 首尾よく彫り物は終わったが、そのまま帰ればよかったのに、 せっかくだからと明治天皇が国賓として国内を招待したのがあだになってしまった。 ニコライは大津事件の時、自分の命を助けてくれたゲオルギオスに大変感謝した。 ゲオルギオスは母の兄の息子でつまり従兄弟にあたる。 もしかすると日本の長崎に行って刺青を彫ることを提案したのは、ゲオルギオス かもしれない。なぜなら彼は年少の時英国海軍に見習士官として入隊しており、 海軍での経験から日本に刺青のあることを知って、それがかっこいいと思ったのかもしれない。 (飯沢匡:異史明治天皇伝、新潮社)